第8章-139 コウの助手
僕は病院の裏口から中に入り、受付の女性に声をかけた。
「ボ、ボランティアに来た……ゼロユイです。」
女性は僕を見るなり、慌てた様子で僕にタオルを差し出してきた。
「大丈夫?息切れしてるけど。」
無理やり走った足はガクガクと震え、
全身から汗が流れていた。
「だ、大丈夫だよ。ありがとう。」
僕はタオルで顔や首の汗を拭った。
女性は心配そうな顔をしている。
「そこの部屋、休憩室だから少し休んで。
今、担当を呼ぶから。」
僕はお礼を言い、休憩室に入った。
椅子に座って待っていると、コウが部屋に入ってきた。
「ゼロユイさん、よく来てくれましたね。
嬉しいですよ。」
「コウさん?僕、ボランティアに来たんだけど……コウさんのお手伝いをするの?」
「確かに、普通のボランティアなら、在庫確認や荷物運びなどが多いです。
ですが、あなたは優秀ですからね。
僕の助手をお願いしたいんです。
手伝ってくださいますか?」
僕が頷くとコウは穏やかに笑った。
「ありがとうございます。
馬車の準備がもうすぐできますから、そしたら行きましょうか。」
「行くってどこに?」
「裁判所ですよ。
今日はセキさんと、レイさんの検診に行くんです。
その後は病院に戻ってガイさんを診ます。
よろしくお願いしますね。」
僕は体が震えた。
「あの、僕……前にセキさんに……。」
「ええ、尋問されてましたね。
でも、今回は大丈夫ですよ。
あなたは大丈夫だと僕が説得しましたから。」
「え、そうなの?」
「はい、安心してください。
それに、今日はその3人が終われば帰宅できます。
長引かせるつもりはありません。
もちろん、お礼も用意していますからね。」
僕はほっと胸を撫でおろした。
「僕は何をすれば良いの?」
「前に教えたでしょう?
バッグの中から必要なものを僕に渡して、僕が渡したものを消毒してバッグにしまう。
それだけです。」
「それならできそう。頑張るよ。」
「フフッ、心強いですね。
それでは、そろそろ馬車も来ますし参りましょうか。」
「うん。」
コウは医療バッグを持ち、出口へ向かった。
僕はその後ろについて歩いた。




