第7章-137 元の場所へ
目を覚ました僕は腕の中を見た。
フクが嘴をモゴモゴと動かしながら眠っている。
窓の外を見ていたガーディが僕に気づいた。
「ちょうど起こそうと思っていました。」
窓の外を覗くと、寮は目前だった。
馬車の速度もかなり落ちている。
「ゼロユイさん。フクさんをどうぞ。」
ガーディは、足元にあるバッグを広げてくれた。
僕はフクをそっと中に入れた。
ちょうど馬車が停車した。
リュウが馬車の扉を外側から開いた。
「着きましたよ。
ありゃ、フク、寝てるじゃないですか。」
僕はガーディに抱えられ、馬車を降りた。
「ガーディさん、ありがとう。
リュウさんは……次は勝手に僕たちを連れて行かないでね。
けっきょく、フクを遊ばせられなかったし……。」
「悪かったって、こうして寮まで送ったんだから、許してくださいよ。
はい、次。
ガーディは裁判所なんだから、早く乗ってくださいよ。
馬も寝させなきゃいけないんで。」
「分かりました。
ゼロユイさん、次はサクとも会ってくれたら嬉しいです。」
ガーディは軽く僕に頭を下げ、馬車に乗り込んだ。
リュウは馬の体を励ますように軽く手で叩き、手綱を振った。
馬車はリュウの合図とともに、素早く走り去っていった。
僕はバッグの中で眠っているフクを見た。
「フク、寒くない?
もうすぐだから、待っててね。」
急いで部屋に入り、寝室へ入った。
フクをバッグから出し、Tシャツで包み、布団の上にそっと置いた。
「これも元に戻しておくよ。」
バッグの底から虹色の羽を取り出し、空になっていた花瓶にそっと挿した。
羽は美しく輝き、スヤスヤと寝息を立てるフクの顔を照らしていた。
「良かった。フクの宝物を守れて。
そういえば、ランプがあるんだった。」
リビングのテーブルに置いた紙袋から、町医者にもらったランプを取り出した。
虹色の羽の横に置き、灯りをつけた。
優しい光が寝室を照らした。
「明日、フクが起きてランプを見たら、びっくりするかな。」
僕はベッドに横になり、寝ているフクを撫でた。
「おやすみ。
明日のボランティアも頑張ってくるからね。
明日は、コウさんの病院……だよ。」
僕は睡魔に襲われ、静かに目を閉じた。




