第7章-135 バカップル
僕はリュウと一緒にお嬢様の部屋を出た。
リュウはペンダントを外し、まじまじと見ている。
「めちゃくちゃ綺麗だな。
お嬢、マジで使わないのかこれ?」
「自分には似合わないって言ってたよ。」
「へえ、フィナの方が似合いそうですけどね。
まあ、フィナのアクセサリー箱は、ガーディの贈り物でいっぱいか。」
1階に降りると、フィナとガーディが待っていた。
2人が同時に声をかけてきた。
「ゼロユイさん、フクさん。」
「ゼロユイ、フクちゃん」
2人はお互いに顔を見合わせた。
フィナがくすりと笑い、ガーディが照れたように頭に手をやった。
リュウが拗ねた声を出した。
「このバカップル。
私には声をかけてくれないんですか?」
フィナが少し照れたように顔を軽く背けた。
「バカップルなんて言う人に、声はかけないからね。」
「バカップルじゃないですか。
いつも、会うたびにラブラブ、デレデレ、イチャイチャと。」
「そ、そんなにイチャイチャなんてしてない!」
頬を膨らませるフィナに対し、リュウは腕を組んだ。
「してるじゃないですか。
この間なんて、キスのタイミングが分からないとか、洋服をどうしようか、相談してきたり……。」
「黙って!」
2人の言い合いをよそに、ガーディは僕の前にしゃがみ視線を合わせてきた。
「ゼロユイさん、お嬢様とはいかがでしたか?」
「怖かったけど、なんとかなったよ。
それに、少しだけこの世界のことが知れたんだ。
でも、また来いって言われちゃった。
もうあまり話したくないよ。」
ガーディはこくりと頷いた。
「大丈夫です。
また来なくてはいけない時は、教えてください。私も一緒に行きます。
……今日は、フィナに会ってくださり、ありがとうございます。
フクさんとゼロユイさんに会えたと、とても喜んでいました。」
ガーディは窓の外を見た。
暗くなり始めている。
「そろそろ帰りましょう。
私も明日は仕事がありますから、ご一緒します。」
僕は頷くとガーディと手を繋いだ。
リュウとフィナはまだ喧嘩をしている。
ガーディがフィナの肩を軽く叩いた。
「フィナ、私達はそろそろ帰ります。」
フィナは少し寂しそうな顔で僕達を見た。
「もう帰っちゃうの?
ゼロユイと、フクちゃんも?」
僕は頷いた。
「うん、フィナさん。
フクとお風呂に入ってくれてありがとう。
あと、言うのが遅くなっちゃったけど、マフラー使ってるよ。
フクも、ポンチョをすごく気に入ってるんだ。」
フィナは照れたように笑った。
「私も羽ペンと便箋ありがとう。
あれをもらってから、手紙が上手く書けるようになった気がするの。」
話を聞いていたリュウは、軽く伸びをして、1人で玄関に向かっていった。
「ガーディもゼロユイも私が送るよ。
馬車と馬の準備してくる。」
「いや、僕は……。」
断ろうとしたが、ガーディに軽く頭を押さえられた。
「リュウさん、いつもありがとうございます。
私はあとでいいので、ゼロユイさんを学校まで先に送ってください。」
「はいよ!」
リュウは返事をして、庭に出ていった。




