第7章-130 男湯から女湯へ
ガーディは僕を撫で終えると、僕にゆっくりと話しかけてきた。
「ゼロユイさん。
お嬢様に呼ばれていましたよね。
早めに行った方がいいです。
私も一緒に行きますので、先にお風呂に入りましょう。」
僕は小さく頷いて、フクを抱いたまま、ガーディと共にお風呂に向かった。
お風呂の入り口は2つあり、女湯と男湯があった。
「こちらが女湯で、反対側が男湯です。
ゼロユイさんは子供ですから、どちらにも入れます。」
「ガーディさんはお風呂に入るの?」
「はい。普段は拭き上げだけですが、お嬢様のお風呂は広いので洗浄します。」
「そうなんだ。
僕はガーディさんと入りたいな。
フクも一緒でいい?」
「ホウッ」
僕はフクの返事を聞いて、ガーディと共に男湯に入った。
湯気が立ち込めていて、とても温かい。
普通の湯の他に、薬湯や打たせ湯まであった。
「すごい。覗いたことはあったけど、こんなに広かったんだ。」
僕が背伸びをして浴場を見渡していると、ガーディがタオルや洗面器、石鹸を手渡してきた。
「こちらをどうぞ。」
「ありがとう。そういえばフクは?」
「あそこです。」
ガーディの指した方向を見ると、フクは薬湯にプカプカと浮いていた。
「フク、それは薬入りだから危ないよ。」
フクを抱きかかえようとしたその時、フィナの声が響いてきた。
「ガーディ、誰か一緒にいるの?」
天井を見上げると、男湯と女湯の間の壁に隙間があり、湯気が行き交っていた。
「はい。ゼロユイさんとフクさんが来ています。」
ガーディは声を少し大きくしてフィナに伝えた。
「本当に!?私も会いたい。
ねえ、ゼロユイ、フクちゃん。
良かったら、こっちに来てくれないかな。」
僕は思わず顔を赤くした。
ガーディが答える。
「そんな……酷いです。
私とは、お風呂に入りたいなんて言ってくれないのに……。」
「そ……それは当然でしょ?
ゼロユイは子供で、フクちゃんは鳥さんなんだから。
ガーディは、恥ずかしいの……私、今何も着てないし。」
「大丈夫です。
フィナは何も着なくても、絶対に綺麗です。」
「そ、そういう意味じゃないんだってば!
もう、ガーディの分からずや!!」
「すみません。怒らないでください。」
「怒ってないよ。
ちょ……ちょっと照れただけ!」
「では、今度少しだけ一緒に……。」
「そ、それはダメだってば!」
そこまで話した時、フクが勢いよく薬湯から飛び出した。
「ホウッ!」
力強く鳴き、天井の隙間から女湯に飛び込んだ。
フィナの声が響く。
「キャア!あ、フクちゃん。
来てくれたのね、ありがとう。
ちょっと、くすぐったいってば。」
「ピィッ」
「フクちゃんは優しいね。
羽も柔らかくてすごく綺麗。」
「ピッ、ピピ、ピィッ!」
「もう、本当に可愛いんだから。」
フィナとフクの声が響きわたる中、ガーディはしょんぼりと洗浄を始めた。
僕はガーディの背中をそっと洗ってあげた。




