第7章-128 世界一安全な場所
僕達を乗せた馬は森の近くで止まった。
だが、森の中には人がかなりいた。
森の中でお弁当を広げたり、飲み物を手に乾杯したりしている。
「……どうして?」
僕が馬の上から賑わう人達を眺めていると、リュウの声が上から振ってきた。
「多分、祭りが延期になった影響ですね。
祭りがなくなると、たまにこうして騒ぎたかった連中が隠れて集まるんですよ。」
僕はバッグの中のフクを見た。
フクは会話を聞いていたのか、じっと動かず僕を見ている。
「ごめんね、フク。今日は帰ろうか。
楽しみにしてくれていたのに……ごめんね。」
バッグに手を入れて、フクを撫でた。
フクは僕の手に顔を擦り寄せた。
再びリュウの声が降ってきた。
「こうなったら……。
よし、ゼロユイ、しっかり捕まって!
これから世界で一番安全な場所に行くんで。」
「へ?世界で一番って……。」
僕の言葉が終わらないうちに、リュウは馬を走らせた。
僕はバッグをしっかりと握りしめた。
「リュウさん!ど、どこに行くの!?」
「すぐだから、大丈夫ですって。
お前も着いたら、水を飲もうな。」
リュウは一瞬だけ手綱から手を離し、馬の体を軽く叩いた。
馬はさらに加速する。
「やっぱりお前は最高の相棒だ!
あ、他の馬達には内緒にしといてくれよ!!」
馬はリュウの声に応えるように声高らかに鳴いた。
僕はバッグを抱えてギュッと目を瞑った。
しばらくして、リュウの声が降ってきた。
「ゼロユイ、フク。もう目の前だ。」
薄く目を開けると、立派な門構えの白い屋敷が見えてきた。
門に近づくにつれ、徐々に馬のスピードが落ちてきた。
「よし、お疲れさん。」
リュウは僕をバッグごと下ろし、馬を引きながら門の鍵を開けた。
「お嬢様の家にようこそ。
……って、何度も来てるか。」
僕はよろけながら後ずさった。
「い……行かないよ。」
「何を言ってるんです?
フクを遊ばせるのに、最高の場所じゃないですか。」
「連れてきてなんて頼んでないよ。」
逃げようとした時、屋敷の中から懐かしい金属音と声が響いてきた。
「リュウさん、戻っていたんですね。
それと……そちらは、ゼロユイさん?
なぜここに?
ふらついてますが、大丈夫ですか?」
その姿は間違いなく、ガーディだった。
「ガーディさん……ガーディさんだ!!」
僕はよろめきながら、ガーディの方に歩み寄った。
リュウは門を閉め、馬を小屋へと連れて行った。




