第7章-127 森へ
リュウを僕の部屋に連れてきた。
「見たらすぐ帰ってね。」
「分かりましたってば。」
鍵を開ける。
リュウは部屋に入ると、キョロキョロと探索を始めた。
僕は紙袋をテーブルに置いた。
「ホウッ!」
寝室からフクが飛んでくる。
「フク、ただいま。」
飛んできたフクを抱き留めた。
フクは僕の腕の中で、リュウを訝しげに見つめた。
「ごめんね、フク。
どうしても、リュウさんが部屋を見たいって言うから……この後、森に行こうね。」
一通り探索を終えたリュウが戻ってきた。
「マジで驚いた。
キッチンもトイレもあるし、椅子も机も子供サイズじゃないですか。
それなのに、ベッドはデカいし……いや、学生って羨ましいですね。」
リュウは感心したように壁に寄りかかった。
「ま、お嬢の屋敷の方が立派ですけど。
そういや、寝室の花瓶に入ってる羽は、虹色の鳥ですよね。
よく拾えましたね。
あれ、なかなか落とさないのに。」
「あれは拾ったと言うか、もらったというか……。
フクが鳥達に挨拶したら落ちてきたんだ。」
「へえ、そいつは凄いや。
鳥同士の友情とか愛情ってやつ?」
リュウはフクをまじまじと見た。
フクは睨むようにリュウを見返した。
「あの羽……もらっちゃおうかな。」
リュウが寝室へ視線を送る。
「ギッ!!」
フクは強く鳴くと、サッと寝室へ飛び込んだ。
虹色の羽を咥えて僕のバッグに入れた。
フクは羽が入ったバッグを守るように、翼を広げた。
「ギー……。」
「冗談ですって、何マジになってるんですか?」
ケタケタ笑うリュウの手を掴んだ。
「揶揄わないでよ!
その羽はフクの宝物で、ずっと大切にしてるんだ!!
それより、もういいでしょ?
僕達はこれから出かけるから、そろそろ帰ってよ。」
リュウは笑うのをやめると、軽くフクに手を合わせた。
「悪い悪い。
私もイタズラが過ぎた。
お詫びに出かける場所まで連れていくからさ。
どこに行きます?」
「別にいいよ。歩いて行けるから。」
「いやいや、それは悪いって。
連れて行ったらまっすぐ帰るから。」
引かないリュウを前に、僕はフクを見た。
フクも呆れたような顔をしている。
「分かったよ。じゃあ、森まで連れて行って。
フクをそこで遊ばせるから。」
「森?フクを遊ばせるなら、光る木の広場の方が良いんじゃないですか?
あっちの方が気持ちいいし、広いですよ。」
不思議がるリュウに、僕はフクを抱き上げて説明した。
「よく見てリュウさん。
フクは黄色い鳥で珍しいでしょ。
誰かに見つかったら、売り飛ばされてしまうかもしれない。
だから、目立たない場所が良いんだ。」
リュウは納得したという顔で頷いた。
「確かに売り飛ばされるのは嫌ですもんね。
よし、それじゃあ行きましょうか。
安全な場所へ!
馬の準備してきます!!」
リュウはウキウキした様子で玄関に行き、手招きをしている。
僕はフクを見た。
「フク、大丈夫?」
「ホウッ」
フクは落ち着いている。
「森に着いたら、リュウさんには帰ってもらおう。たくさん遊ぼうね。」
「ピィッ!」
僕はフクをリュックに入れ、リュウについて行った。




