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君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki
第7章ー世界の裏側ー

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124/160

第7章-124 恋人の宝物

ーお嬢様の屋敷ー


フィナはガーディを優しく抱きしめた。


「ガーディ大丈夫だから……座って、お願い。」


その時、風が強く吹いた。

フィナはガーディから手を離し、両手で自分の肩をさするように抱きしめた。


「寒いのですか。やはり部屋に戻りましょう。」


小さく頷いたフィナをガーディは抱き上げた。

屋敷の中に入り、ソファーに座らせた。


「少し待っていてください。」


ガーディは近くにあったクッションをフィナに渡し、キッチンに入った。


お湯を沸かし、果物を切って温かな果実水を1杯作り手渡した。


「ありがとう。」


フィナは果実水に息を吹きかけ、冷ましながら飲んだ。


ガーディはフィナの隣に静かに腰掛けた。


「すみません。

フィナの体調に気付けませんでした。」


「ううん。私も言わなかったから。」


2人は黙った。

短い沈黙のあとフィナがガーディの肩に触った。


「ガーディ、私と会った時のことを忘れたんだよね?

その……ガーディの覚えてる事を教えてくれない?」


「それは、私が覚えているフィナと会った時のことですか?」


「ううん。ガーディの記憶で一番古い記憶を知りたいの。」


ガーディは少し考えてから、記憶をなぞるように話し出した。


「覚えているのは……目の前に1人の大人の女性とサクがいたことです。


私はその時、すでに鎧姿で、何故か泥だらけでした。


女性は私に驚きながらも、裁判所に行って手続きをしてくれました。


ただ、鎧のせいか上手く私は言葉が話せず、名前は女性が決めてくれました。」


フィナはガーディの話を頷きながら聞いている。


ガーディは話し続けた。


「その頃から、私はフィナを知っていました。

言葉が話せるようになってから、フィナに会いに学校を時々抜け出していました。」


「……私も覚えてる。来てくれて嬉しかった。」


フィナは果実水の温かな湯気を見た。

柔らかな香りが漂っている。


「そのあと、サクが先に卒業し、就職しました。

私もその数年後に卒業して、サクと同じ裁判所の仕事がしたくて、警備隊に入りました。」


「うん。あの日、『警備隊になって自立したよ』って、直接言いに来てくれたよね。


その日に、私に告白してこの指輪をくれた。


工場で、自分を削って作ったんだって。」


フィナは指に嵌めた指輪を見た。

細くシンプルだが、小さな葉の模様が刻まれている。


「はい。そして、フィナも私にこのプレゼントをしてくださいました。


髪で刺繍したと聞いて驚きました。


私の一番の宝物です。」


ガーディは首に巻いた赤いスカーフを軽く掴んだ。

美しい銀の髪で、葉の紋様が施されている。


「全部、私の髪じゃないけどね。

サイズも大きく作りすぎちゃって……マントみたいになっちゃったし。」


「フィナがスカーフだと言うなら、これはスカーフです。」


「もう、ガーディったら……ありがとう。

……付き合ってから、いろいろあったよね。」


「ありました。

私を抱きしめて眠りたいと言った時は困りました。体を痛めてしまいます。」


「でも、ガーディは布団を体に巻いて、抱きしめさせてくれたでしょ。」


「フィナの望みは叶えたいです。」


フィナは少し寂しそうに目を閉じた。


「……私、覚えてるよ。

ガーディと会った日の事。」


ガーディはフィナを見た。


「それは……いつ?」


フィナは少し目を開けると、申し訳なさそうにガーディを見た。


「覚えてるけど、あまり話したくないの……ごめんなさい。

き……嫌いになった?」


「嫌いになる筈がありません。」


ガーディの即答にフィナは笑った。


「うん。落ち着いたら、ちゃんと話すから。」


ガーディは頷き、フィナの前に跪いた。


「本当に忘れてしまい申し訳ございません。

これからもフィナと話したいです。

どうか貴方が許す限り隣にいさせてください。」


「本当に大袈裟なんだから。

私だってガーディともっと話したい。

ずっと隣にいさせてね。」


フィナは目を潤ませながら、ガーディの手を握り返した。

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