第7章-122 僕が欲しいもの
教員と別れた僕は寮の自室に戻った。
「ただいま!」
フクは僕の肩に飛び乗ってきた。
柔らかい羽を撫でながら、椅子に腰掛ける。
「フク、よく聞いて。
僕ボランティアで町医者と、コウさんの病院、両方に行く事にしたんだ。」
コウの話が出た時、フクの目が少しキツくなった。
だが、静かに僕の話を聞いている。
「フクがコウさんが苦手なのは知ってるよ。
だけど、考えたんだ。
ズルいかもしれないけど……僕はお金が欲しい。
コウさんはたくさんくれるから。」
真剣に聞くフクをテーブルの上に乗せ、しっかりと目を合わせた。
「前に、サクさんと、ガーディさんにペンをプレゼントしに行ったよね。
僕、もっと良いものを贈りたいんだ。
それと、フクと馬車に乗った時、とっても楽しかったんだ。
フクはどうだった?」
「ピィッ」
フクは僕の目を見たまま、甘えるような声で鳴いた。
「町医者の先生からは、お金はあまり貰えないけど……。
だけど、コウさんの病院より患者さんと距離が近いから、何だか安心するんだ。
僕が役に立ってるって思えるから。
どっちの病院も人を助けてるのに変だけど、そう思ったんだ。」
「ホウッ!」
「うん。だから両方に行くんだ。
もちろん、行くからには、どちらも真剣にやるよ。フクは応援してくれる?」
フクは頬っぺに顔を擦り寄せてきた。
羽がくすぐったい。
「ありがとう。
そうだ、明日は町医者の病院に行く事になったんだ。
その後、どこか一緒に遊びに行こうよ。
森の方とかどうかな?
前に工場に行く途中に、開けた場所があったんだ。
人がいなかったから、フクもそこなら自由に飛び回れるかも。」
フクは羽をバタバタと振った。
「決まりだね。
明日はまた町医者のボランティアだから、終わったら、急いで迎えに来るよ。
じゃあ、そろそろお風呂の用意してくるね。」
「ピィ!」
フクは踊るように羽を振り続けた。




