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君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki
第7章ー世界の裏側ー

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121/160

第7章-121 二つの病院

僕はコウから“体の異常はない”と診断され、昼ごろには退院できた。


今はフクと馬車で寮に向かっている。


「フク、見て。

可愛いお店……あ、あっちで楽器演奏してる。」


フクは体を左右に踊るように揺らしながら、窓の外を見ている。


「嬉しいな。僕、ずっとフクと馬車に乗ってみたかったんだ。」


「ピィ!」


「お金はけっこうかかっちゃったけど……。

寮には、まだコウさんからもらったお金が沢山あるから、また乗ろうね。」


フクは窓を見たまま翼をバサバサと振った。


「そうだ。明日からまた授業だから……また、フクにはお留守番してもらうね。」


フクは体を揺らすのをやめ、僕の顔をじっと見つめた。


僕はフクの頭を撫でた。


「早く卒業するから、たくさん遊ぼう。」


フクはその言葉を聞くと、目を細め再び窓の方を向き、体を大きく揺らした。


寮の近くで馬車が停車した。

フクが入ったバッグを背負い、学校の寮の自室に向かった。


途中、教員に話しかけられた。


「ゼロユイ、戻ったのか。体調はどうだ?」


「先生、朝はお見舞いありがとう。

もう大丈夫だよ。」


「そうか、それは良かった。

それと……少し話があってな。

荷物を置いたら、職員室に来られるかい?」


教員の顔が曇っている。

僕は理由が分からず、ただ頷き自室へと急いだ。


「先生、どうしたのかな?」


部屋の鍵を開け中に入る。

急いでバッグを開けフクを自由にした。


「僕は先生のところに行ってくるから、お留守番お願いね。」


「ホウッ」


フクは素直に鳴いた。


「うん。行ってくるよ。」


僕は再びバッグを背負い、学校の職員室へ向かった。ドアをノックする。


「ゼロユイです。失礼します。」


中に入ると、全ての教師達が僕を見た。


思わずたじろぐ。


数人の教師達が僕を囲んだ。


「こんな幼いのに……いったい何をしたら、こんな奇跡を起こせるんだ?」


「貴方、あんな大きな病院から指名が来るなんて凄いじゃない。」


「コウ医師って総合病院の統括リーダーだろ?

その人からの直々の推薦なんて、ヤバいだろこれ。」


盛り上がっている教師達の後ろから、教員が走ってきた。


「皆さん!ゼロユイにはまだ話してないんです。

それに決めるのはゼロユイです。

落ち着いてください!!」


珍しく教員が声を張り上げている。


「ゼロユイ、部屋を変えようか。」


教員が僕の手を繋ぐが、他の教師達が必死にまとわりついてきた。


「コウ医師は、裁判長の主治医じゃなかったか?

そんな人からの推薦を無下にするのか?」


「今すぐに了解の手紙を送った方が良い。時間が経つと取り消されるぞ!」


「待って、いったい何をしたか私も知りたいわ。」


教員は、他の教師達から守るように僕を抱き抱え、振り払うように職員室を出た。


「ごめんな。びっくりしただろ。」


教員は近くの倉庫に僕を連れて行った。

そこには、低学年から高学年までの子供用の服がたくさん置かれていた。


教員の息は荒かった。

ゆっくりと床に下ろされる。


「少し狭いがここで話をしよう。」


教員は、僕の見舞いに来たあと、

コウから、僕を病院の専属ボランティアにするよう、速達で推薦状が届いたことを教えた。


「すまない。

他の教師達には少し雑談で話しただけだったんだが、みんな盛り上がってしまって。」


教員は床にしゃがみ込み、深いため息をついた。


僕は教員の頭を両手で包むように押さえた。


「先生、僕は大丈夫。庇ってくれてありがとう。」


教員は息を吐いた。


「……ありがとな。

それで、ゼロユイはどうしたい?行きたいか?」


「行かなかったら、先生は怒られたりするの?」


「それは……まあ、いや。

子供がそんな事を気にするな。

ゼロユイの人生なんだから、ゼロユイが決めないとな。」


教員はニカリと笑ったが、歯切れの悪さに違和感を覚えた。


「先生……僕、コウさんの病院にも行くよ。」


「ん?病院……にも?」


教員は驚いた顔をしている。


「コウさんの病院と、今行ってる町医者にも行くよ。

僕、町医者からも専属になってほしいって言われたんだ。」


教員は暫く黙っていたが、笑顔で僕の頭を優しく撫でた。


「2つの病院の専属なんて、凄いじゃないか。

卒業生でもなかなか居ない。


それなら、両方行けるように手続きをしよう。


……ちゃんと、自分で決められて偉いぞ、ゼロユイ。」


「うん。頑張るよ。」


僕は教員に笑顔を向けた。

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