第7章-111 バッグの中身
コウとガイと僕は、ソファーに座り1つのテーブルを囲んでいた。
ガイがお茶を飲み、強くカップを置いた。
「コウ様、あのリュウという御者は何なのですか?
やけに俊敏で、まったく捕まえられません。」
「リュウさんは御者ですが、それだけではありません。
護衛も出来る多彩な方です。
一般常識や家事は苦手ですけどね。」
「どんなに多彩でも、常識が無さすぎる。
学校側は、よくあんな奴を卒業させたものだ。」
「ガイさん、リュウさんは……。」
コウが何か言いかけた時、僕は手を握りしめながら、コウに問いかけた。
「ねえ、コウさん。
僕、どうしてここにいるの?
早く帰らなきゃ……フクが待っているんだ。」
コウは穏やかに話した。
「理由が分からないのも無理はありません。
貴方がリュウさんに抱えられた時、体が圧迫され気絶していました。
それをガーディさんと、サクさんが助けてくださいましてね。
僕も近くにいたので、検査のためにお連れしました。」
「ガーディさんと、サクさんが?」
「ええ、今度お礼を言ってあげてください。
それと……。」
コウは持ってきた大きなバッグを、僕の前に置き、ゆっくりと開き始めた。
「今日は病院に泊まっていってください。
学校には連絡していますから。
ほら、貴方の大切なフクさんもここにいますよ。」
コウがバッグを開くと、そこには柔らかな毛布に包まれたフクが、うつらうつらとしていた。
僕はバッグの裾を掴んだ。
「フク!?コウさん、どうして?」
「外にいたんです。
僕がセキさんを裁判所へ送り出したあと、病院の窓を順番に覗いていました。
最初は僕に警戒しましたが、ゼロユイさんに会わせると話したら、大人しくなりましたよ。
フフッ、本当にとても利口な鳥です。」
僕は毛布ごと、フクを抱き上げた。
「……また、探しに来てくれたんだね。」
フクに声をかけると、フクは片目を半開きにして僕を見た。
「ピィッ」
嬉しそうに小さく鳴き、安心しきった顔をして、またスヤスヤと眠り始めた。
「フク……ごめん。疲れたよね。」
頭を撫でると、フクは目を更に細めた。
ガイはその光景を静かに見ながら小さく呟いた。
「俺は本当に……こいつらの何に脅威を感じていたんだか。」
ガイは残っていたお茶を全て飲み干した。
コウは静かに笑い、空のバッグを棚に置いた。




