第7章-105 病院へ
お嬢様とコウが笑い合う中、スタスタとリュウが歩いてきた。
「お嬢、ゼロユイを回収しました!
だけど、やっぱり動かないんですよね。
大丈夫ですかねこれ?
あと、外の馬にも水をあげたいんですけど……って、ガーディとコウさんと……知らない人じゃないですか。
どうもどうも、フィナとお嬢がお世話になってます。」
リュウはゼロユイを担いだまま、三人に挨拶をした。
ゼロユイはぐったりとして、まったく動かない。
それを見たコウの顔が僅かに歪む。
ガーディとサクは息を飲んだ。
「こちらこそ、お世話になっています。
リュウさん、子供がぐったりしていますよ。
離してあげてください。」
リュウは困ったように首を横に振った。
「いや、さっき離してはいるんですけど、逃げられたら困るし……お嬢、どうします?」
「コウの言う通りにして。」
「じゃあ、そうします。」
リュウは肩に担いだゼロユイからパッと手を離した。
支えを失ったゼロユイの体が、リュウの肩から地面に落ちていく。
「ゼロユイ!!」
サクが叫び、コウが目を見開いた。
落ちる寸前で、ガーディが受け止める。
コウの目が吊り上がった。
「リュウさん……あなた……。」
「うわっ!ごめんごめん。
うっかりして……マジ、すみません。
コウさん、怒らないでくださいよ。
コウさんが怒るとお嬢の機嫌が……。」
リュウの後ろでは、お嬢様が冷たい目で立っている。
「リュウ……先に馬車に戻ってるから。」
「えっ、ちょっ……お嬢、ごめんなさいって!待ってくださいよ!
馬達、私の言う事しか聞かないですよ!?」
お嬢様とリュウが去っていく。
ガーディは地面に座り、ゼロユイを守るように、ずっと抱きしめている。
サクはガーディに寄り添うように隣にしゃがんだ。
「ガーディ、もう大丈夫だ。
お嬢様達は行ったから、離してやれ。」
だがガーディは動かない。
じっとゼロユイを見つめている。
「どうした?」
「サク、ゼロユイさんの顔が赤いです。
呼吸も苦しそうです。」
コウはお嬢様達の後ろ姿を見ていたが、ガーディの言葉にすぐに反応した。
「ガーディさん、見せてください。」
コウはゼロユイの呼吸や脈を確認した。
「握られたか、抱えられたか……。
かなり強く胸や首を圧迫されたようです。
念のため検査をしましょう。
サクさん、医務室が使えるよう手配をお願いします。」
「はい!」
サクは走っていった。
「ガーディさん。ゼロユイさんを医務室に連れて行きますので、僕の後ろについてきてください。
ゆっくりお願いしますね。」
「承知いたしました。」
ガーディは頷くと、苦しそうに息をするゼロユイを大切に抱え、コウの後ろについていった。




