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第11稿:『断章』

 蝋燭の灯りにゆらゆらと影は揺れて。


Ah... (だけど、)Et Gudy, (ああ、)Nea(完成した) Fealy(失敗じゃない)


 かたりと術具を机に置くと、赤髪の男は嬉しそうに呟いた。

 一歩下がると、ほうと息をつき、男はソレに愛おしそうな視線を向ける。


 それは、丸い硝子で出来た、一抱えほどの大きさの容器だった。

 密閉されたその中は、墨色の水で満たされている。

 その中に、大きさも色もばらばらの小さな硝子玉がたくさん浮かんでいた。


Ya Et Gudy(完成した) Nea Fealy(失敗じゃない)


 もう一度、確かめるように男は言うと、

「Patit!! Patit! Wia'z(私たちの) buiet ana(夢が)et jastnat(叶った!)


 子供がするように両手を叩いて喜び、部屋の外にいる友人たちを呼びに行く。


 後に残ったのは、机の上の硝子容器のみ。

 それは蝋燭の灯りに揺らめいて、きらりきらりと、色とりどりの光を放っていた。


 ◇ ◆ ◇


「あら。それはあなたにはまだ早いわ」


 あなたがその『本』に目を通していると、背後からそう声をかけられた。

 女とも、男とも取れる声。


 あなたの体は、こわばって動かない。


 そっと、あなたの後ろから伸びた『手』が、黒い表紙の古書を、あなたの手から抜き取った。


「この『第11稿』は、『断章』と処理しましょうか。ねぇ、あなたはどう思う?」


 声の主は、そっとあなたの両肩に手を置いた。


「あなたは、何も見なかった。

 あなたは、何も読めなかった。

 あなたは、今日、何も読まなかった」


 ぐっと、肩に力が込められた。


「どう?」


 あなたは答えようとして、声ひとつ、出せなかった。


――――

 ■■■■にて


ah アー けど、だけど

et エト そして/接続詞

Gudy グァディ 完成する、できる

nea ネア 違う

Fea フェア 失敗する

-y/-ly - 強調したいもの。主題。


ya ヤ 〜です

patit パティット 嬉しい、喜んでいる 感情を示す

Wia’z:Wia az の短縮。「私たちの」

Buiet ブイエット (憧れる)夢、目標、願い

ana アナ ~が 助詞

Jastnat アスタネット (目標や夢に)叶う、達成する



初出:2011/04/19

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