- あらすじ
- 幼い頃から殿下の婚約者だった私は、物心つく前から妃教育と公務に悩まされ続けてきた。
そんな私にとっての唯一の癒しは、婚約者との親睦を深める束の間のお茶会だった。政略であれども彼を好きになっていた。
けれど三年前、突然聖女が現れ、殿下は瞬く間に夢中になった。
悲しかった。いつしか、誰も私の言葉を聞かなくなった。でもいちばん悲しかったのは、そんな私を省みる者が居なくなっていたことだろう。
夜会を早退したその日の夜、私は屋敷の書庫で古い本を読んでいた。そこに記されていたのは魔の森の魔女についての書物であった。
彼女は、あらゆる薬を作る女とされていた。
「恋心を消す薬です」
気がつけば、私はそっとポーチの中にある小瓶を握りしめ、深呼吸をしていた。
これを飲めば楽になる。それは頭ではわかっている。だからあとは、このカップの紅茶を飲み干すだけ。これを飲むだけで、私の中にある身を焼く炎は、一瞬で焼失する。
……そう、思っていた時だった。
「ひと口ちょうだい!」
「はい? えっ、ちょっ、まっ──」
聖女が身をズイっと乗り出し、私が今まさに手にしようとしていたカップを風の如く掻っ攫っていく。
「わぁっ、美味しい! 殿下もひと口飲んで」
満面の笑みでそう言って、私のカップを彼女は殿下に差し出す。
「ああ、頂こう」
「いや、まっ──」
咄嗟のことだったので反応できなかったとは言え、曲がりなりにも、私はこうして殿下に、得体の知れない薬を盛ってしまったのだ。 - Nコード
- N0952ML
- シリーズ
- 異世界恋愛?短編集
- 作者名
- 星キノ
- キーワード
- 恋心を消す薬 恋心を無くす薬 恋心をなくす薬 聖女 自己嫌悪マシマシ系 誠意 謝罪 毒味は大事
- ジャンル
- 異世界〔恋愛〕
- 掲載日
- 2026年 07月07日 20時04分
- 最終更新日
- 2026年 07月13日 07時43分
- 感想
- 7件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 43件
- 総合評価
- 2,004pt
- 評価ポイント
- 1,918pt
- 感想受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 11,753文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋心を消す薬を飲むつもりが、間違えて婚約者と聖女が飲んでしまった件
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N0952ML|
作品情報|
短編|
異世界〔恋愛〕
幼い頃から殿下の婚約者だった私は、物心つく前から妃教育と公務に悩まされ続けてきた。
そんな私にとっての唯一の癒しは、婚約者との親睦を深める束の間のお茶会だった。政略であれども彼を好きになっていた。
けれど三年前、突//
N3060FB|
作品情報|
連載(全280エピソード)
|
ローファンタジー〔ファンタジー〕
高校の入学式を終えた星野彗は、帰りの電車で突然魔法使いによるテロに巻き込まれ、魔法使いへと『進化』してしまう。
そして彗は宇宙を股に掛けるギルドに保護され、思っていたよりも科学の進んだ魔法界に戸惑いつつも、宇宙人と魔//
N7162MG|
作品情報|
短編|
ホラー〔文芸〕
異世界に転生したと気付いたのはいつだっただろうか。特に頭を打ったとか高熱が出たとかは無かった気がする。
よくある乙女ゲー系転生か〜と期待に胸を膨らませていた所にわいてきた違和感で、はっと気付いた。
そこからもう違和//
N4017ME|
作品情報|
短編|
異世界〔恋愛〕
王立セルファ学園には、ひとつ奇妙な噂がまことしやかに囁かれていた。
『卒業式の日、第二王子デニス殿下が婚約者であるハルム・ローグ公爵令嬢を断罪し、真実の愛を見つける――』
そしてその真実の愛こそが、学園中で聖女のよう//
N5967LS|
作品情報|
短編|
異世界〔恋愛〕
王太子の背後で名前を呼ばれたのは平民のカリーナ・グラジオーゾ。
「母上のように大いなる器をもつこのカリーナと新たに婚約を結ぶ。これは既に王妃殿下を通して各地の許可を既に得ている決定事項だ!!」
カリーナは平民でありな//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。