↓ ↑ページトップへ

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ミトコンドリア王国の、最後の女王

短編
あらすじ
人の体の中に、もう一つの王国がある。「ミトコンドリア王国」が生み出すエネルギーこそが、人が動き、考え、生きることを可能にしている。そしてこの王国を統べる女王の資質は、必ず母から娘へと受け継がれる。父方の血では、この炎は継げない――これが「炎の法」だった。

現女王が急逝した。残された継承者は十九歳のマリア一人。幼い頃に母を亡くし、女王になる覚悟も自信も持てないまま、王国のエネルギーが底をつきかけている今、選択の余地はなかった。

大臣ソフィアはマリアに「試練の旅」を命じ、護衛として「炎無き者」と呼ばれる騎士・ジウを選んだ。ジウの母は炎の一族の傍系だったが、彼に受け継がれた炎は「継承に不十分」と判断され、近衛を追われた経緯がある。炎を持てない者として外縁を生きてきた男だった。

旅の中で、ふたりは少しずつ本音を零していく。マリアは「女王になりたくない」と告白し、ジウは「炎がなくても命は守れる」ことを身をもって示す。試練は三段階。エネルギーの生成、外からの共生、世代を越えた継承――それぞれがミトコンドリア王国の本質を問うものだった。ジウはどの試練にも直接参加できないが、マリアが倒れかけるたびに別の方法で支え続けた。

旅の終盤、記録が明らかになる。ジウの体内には「完全には消えていない」母のmtDNA痕跡が残されていた。烙印は、真実ではなかったかもしれない。

最終儀式の夜、マリアの炎が危機に瀕したとき、ジウが炎に反応した。「炎無き者」が女王の炎に手を伸ばした。理屈では説明できない反応が、「炎の法」を問い直す瞬間となった。

「あなたが女王になった後、私は何になるのか」というジウの問いに、マリアは答えた。「あなたがいなければ、私はここに来られなかった。それは炎じゃないの?」

女王になったマリアが最初にしたことは、「炎の法」の解釈を変えることだった。「継承は母から娘へ。しかし守ることに炎の有無は問わない。」ジウの烙印は、女王の権限で正式に消された。
Nコード
N0758MT
作者名
水野虹仁 医療系異世界恋愛ファンタジー
キーワード
アイリスIF9大賞 シリアス 女主人公 西洋 職業もの 魔法 冒険 ハッピーエンド
ジャンル
異世界〔恋愛〕
掲載日
2026年 09月13日 18時38分
最終更新日
2026年 09月20日 15時17分
感想
0件
レビュー
0件
ブックマーク登録
2件
総合評価
14pt
評価ポイント
10pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
16,991文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N9898MT| 作品情報| 短編| 異世界〔恋愛〕
十九年間、素手で触れた相手の生命を損なう《接触性命蝕症》に苦しみ、黒手袋を外せない公爵レオナード。生命触診師エレナが初めて彼の指へ触れても、有害反応は起きなかった。原因を探るため、毎晩六時に診察する二人。触れることが治療//
N9891MT| 作品情報| 短編| 異世界〔恋愛〕
侯爵令嬢エレナは二十歳になるまで六回「体炎最弱」と診断され、七回目も同じ言葉を聞くつもりで炎診院へ来た。ところが炎診師カイルは十分以上診察し、過去六回の診断書を一時間読み続けてから「全部、誤診です」と告げる。エレナの体炎//
N9879MT| 作品情報| 短編| 異世界〔恋愛〕
辺境の《命の卵の術師》アメルに届いた依頼は、十年間で六十九回の受胎術に失敗した王妃ソリアの七十回目。王国は後継者を求め、王妃へ圧力をかけ続けている。それでもレオン王は一度も妻を責めず、ソリアも諦めなかった。アメルは過去六//
N9872MT| 作品情報| 短編| 異世界〔恋愛〕
王宮薬師の娘イリスに届いた命令は、百年間外部調査を拒んできた《不老の村》の村長へ嫁げ、というもの。目的は村の長寿の秘密を探ること。村長テオドールは「俺も縁組には同意していない」と冷たい。けれど彼の料理、百年続く食卓、週に//
N9864MT| 作品情報| 短編| 異世界〔恋愛〕
十九歳の令嬢ルーシェは、生まれつき魔力ゼロとされ、婚約まで破棄された。王立医術院で出会った ZGA 術師ファルだけが、彼女の魔核核を見て「ゼロではない。潜在型だ」と言い切る。覚醒の窓は三日間。途中で止めれば回路は閉じる。//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。