- あらすじ
- 成田行きの長距離便では、隣の席が空いていることを「普遍的な真理」だと信じてきた。人との距離の取り方に慣れきった青年は、数学と論理の世界に身を置き、自分の感情を過剰に分析する癖を持っている。バンクーバー国際空港での一時間の遅延の中、彼は巨大チェスボードの前で、ネイビーのパーカーを着た一人の女性と出会う。
言葉を交わさずチェスを動かし始めた二人は、やがて機内の52Hの席で再会する。彼の隣の席に、彼女がいた。成田までの長い飛行の中で、テーブルを拭くささやかな心遣い、互いの旅の記憶、そして観ていた映画(『ドライブ・マイ・カー』と『リメンバー・ミー』)の感想を交わしながら、二人は静かな親密さを育んでいく。
しかし、自分の感情を「過剰分析」や「生理反応」として論理の陰に押し込め続けた彼は、名前すら訊けないまま、成田空港のコンコースで彼女と別れてしまう。
あれから毎年、彼は同じ52Hの席を予約し、同じ便に乗り続けている。二度と会うことのない彼女の記憶と、あの日知ったキウイジュースの酸っぱさを抱えながら——。 - Nコード
- N0718MX
- 作者名
- 数式舞
- キーワード
- ESN大賞11 ネトコン15 秋の文芸展2026 現代 空港 カナダ 日本 短編小説 文学 創作 文芸 ヒューマンドラマ
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 10月17日 14時27分
- 最終更新日
- 2026年 10月30日 22時17分
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