六十二 鄒忌、褒め言葉を信用するな
ある公卿が、女房たちに自分を褒めさせて満足している。彰子は『戦国策』にある鄒忌の話を引き、過剰な賛辞ほど危険だと見抜く。彰子方の女房には、褒める時ほど具体的根拠を添えるよう指導する。結果、彰子の言葉は軽薄なお世辞より重く受け止められる。承認欲求に群がる女房たちとの差が出る。
褒め言葉は、甘いものです。
「さすがでございます」
「お見事でございます」
「誰にも真似できませぬ」
「この世に二つとなき御才でございます」
言われれば、悪い気はしません。人間です。私だって、前世で資料を作って「分かりやすい」と言われれば嬉しかったですし、会議で自分の案が通れば少し誇らしかった。
まして、この宮中です。歌を褒められる。衣の色合わせを褒められる。香を褒められる。字を褒められる。振る舞いを褒められる。褒めることも、褒められることも、社交の一部です。
よい褒め言葉は、人を励まします。努力しているところを見つけてもらえる。自分でも気づかなかった長所を示してもらえる。次も頑張ろうと思える。それは、たしかに大切です。
けれど。褒め言葉は、毒にもなります。特に、相手の承認欲求に合わせて、根拠もなく盛られた褒め言葉。耳に甘く、心を太らせ、判断を鈍らせる言葉。それは、香の強すぎる部屋に似ています。
最初は気分がよい。けれど長くいると、頭がぼんやりしてくる。そして気づけば、外の空気が分からなくなる。
その日、藤壺に届いた噂は、たいへん分かりやすいものでした。
「某の公卿様が、近頃たいそうご機嫌でいらっしゃるそうでございます」
常盤が、いかにも「これは面白いですよ」という顔で言いました。
「常盤」
「まだ何も広げておりません」
「顔が広げている」
「では、顔を慎みます」
常盤は一応、真面目な顔を作りました。
3秒で崩れました。
赤染衛門がため息をつきます。
「それで、その公卿様がどうなさったのです」
「女房たちを集めては、ご自分の歌や政の見立てや昔の武勇を語り、それを褒めさせておられるとか」
「褒めさせて?」
小少将が眉を上げました。
「はい。直接『どう思う』とお尋ねになり、女房たちが口々に『さすが』『深い』『古今に並ぶものなし』と申し上げると、たいそう満足なさるそうで」
菅原の君が首を傾げました。
「褒められるのがお好きなのですね」
「好き、で済めばよいのですが」
赤染衛門が低く言いました。
「褒めぬ者を遠ざけるようになったという話もあります」
場の空気が、少しだけ重くなりました。
「なるほど」
私は扇を開きました。
「承認欲求に、女房たちが群がっているのね」
「しょうにん……?」
春枝が紙箱を抱えたまま首を傾げました。
「認められたい心、です」
「それなら分かります」
有子が控えを取りながら言いました。
「認められたい心は、誰にでもございます」
「ええ。誰にでもあります」
私はうなずきました。
「問題は、その心が飢えすぎて、何でも食べるようになることです」
前世でも、よく見ました。部下からの「すごいですね」だけを聞きたい上司。耳の痛い報告を嫌がり、都合のよい資料だけを上げさせる役員。会議で反対意見が出ると不機嫌になり、結局、周囲が忖度するようになる人。
そういう場所では、真実より機嫌が優先されます。そして、機嫌を取る人が出世します。最初は小さな歪みです。けれどそのうち、誰も本当のことを言わなくなる。気づいた時には、失敗が大きく育っています。
「で、その公卿様は、どのような褒め言葉を好まれるの?」
私が尋ねると、常盤は待ってましたとばかりに身を乗り出しました。
「『御歌は昔の名人を超えた』とか、『御判断は帝のお耳にも入れるべき』とか、『御若き日の御姿は、絵に描いたように凛々しく、まるで昔物語の貴公子のよう』とか」
「盛りすぎですね」
小少将が即座に言いました。
「絵に描いたよう、というのは衣装によります」
「そこ?」
菅原の君が小声で言います。
「そこです」
小少将は真顔です。
「姿を褒めるなら、どの色、どの立ち居振る舞い、どの場面かを言うべきです。漠然と『絵に描いたよう』と言われても、褒めているのか飾っているのか分かりません」
「よい指摘です」
私はうなずきました。小少将は、褒める時も見るべきところを見ます。
「歌については?」
菅原の君が少し考えました。
「昔の名人を超えた、は危険でございますね。比較対象が大きすぎます。しかも、具体的にどこが優れているか申しておりません」
「そう」
私は言いました。
「褒め言葉が大きすぎる時は、中身が空のことが多い」
春枝が紙箱を撫でながら言いました。
「大きすぎる包み紙の中に、小さな文しか入っていないようなものですね」
「春枝にしては分かりやすい」
「姫様、褒めておりますか?」
「褒めています。具体的に」
春枝は嬉しそうにしました。よろしい。私は少し考え、中国の史書から一つの物語を引き出しました。
「唐土に、『戦国策』という書物があります。そこに、鄒忌という男の話があります」
菅原の君の目が光りました。もう条件反射です。
「唐土の物語でございますか」
「ええ。鄒忌は、自分と、国で一番の美男子と、どちらが美しいかと周囲に尋ねました。妻も、妾も、客も、皆が口を揃えて『あなたの方が美しい』と褒めそやしました」
「まあ」
女房たちが、少し身を乗り出しました。
「けれど、実際にその美男子に会ってみると、自分の方が劣っていた。そこで彼は考えたのです。なぜ皆、自分を褒めたのかと」
有子が言いました。
「なぜですか?」
「妻は私を愛しているから。妾は私を恐れているから。客は私に頼み事があるから。皆、それぞれの事情と利益のために、真実を曲げて褒めたのだ、と」
赤染衛門が静かに頷きました。
「耳に甘い言葉の裏には、理由があります」
「その通り」
「そして鄒忌は、それを王に説いたのですね」
「ええ。王の周りにいる者は、皆、王を恐れるか、王に頼みがある。だから王の耳に入る褒め言葉は、真実から遠く離れていると。それに気づいた王は、正直な諫言を奨励し、国を強くしました」
場が静かになりました。菅原の君が、少し青ざめています。
「褒め言葉には、裏があるのですね」
私は扇を少し伏せました。
「もちろん、すべての褒め言葉が嘘だとは言いません。けれど、私はこの故事を読むたびに思います」
赤染衛門が警戒した顔をしました。
最近、私が「思います」と言うと、だいたい物語を事務的に斬るからです。
「褒め言葉の評価基準がない」
「姫様」
赤染衛門が目を閉じました。
「雅が」
「雅で国が傾くよりましです」
私はきっぱり言いました。
「王であれ公卿であれ、褒めた者が得をし、正直な者が損をする仕組みを作れば、出てくる言葉は真実より利益に寄ります」
常盤が小さく手を上げました。
「では、その公卿様の周りも同じでしょうか」
「近いでしょうね」
私は言いました。
「褒めれば近づける。褒めれば覚えがめでたい。褒めなければ遠ざけられる。そうなれば、女房たちは競って褒めるようになります」
「競って褒める……」
有子が呟きました。
「はい」
私はうなずきます。
「褒める側にも利益があるのです。だから、褒め言葉は必ずしも善意だけではありません」
藤壺の女房たちは、互いに顔を見合わせました。思い当たることがあるのでしょう。
宮中では、褒めることがそのまま政治になります。誰の歌を褒めるか。誰の衣を褒めるか。誰の判断を褒めるか。誰の前で、どのくらい褒めるか。褒め言葉は、ただの感想ではありません。立場表明にも、取り入りにも、牽制にもなります。
「では、褒めてはいけないのでしょうか」
若菜が静かに尋ねました。
「いいえ」
私は首を振りました。
「褒めること自体は大事です。よい仕事をした人に、何も言わないのはよくありません。人は見てもらえなければ疲れます」
澄子が小さく頷きました。
「香炉の灰も、整えても誰も見ぬと、少し寂しゅうございます」
若菜が驚いたように澄子を見ました。澄子は淡々としています。珍しく、灰の気持ちを代弁したのでしょうか。
「だから、褒める時は具体的に」
私は言いました。
「何がよかったのか。どこに工夫があったのか。どの場面で助かったのか。どんな結果につながったのか。それを添える」
赤染衛門が筆を取りました。
「心得を作りますか」
「作ります」
「題は」
「お世辞リスク管理表」
「却下でございます」
「では、褒め言葉心得」
「それでお願いいたします」
もはや恒例です。春枝が紙を選びます。
「褒め言葉の心得なら、少し明るい紙で」
「派手すぎないもの」
「はい。薄い山吹はいかがでしょう」
「よいと思います」
春枝は嬉しそうに紙を出しました。有子が筆を整え、赤染衛門が題を書きます。
――褒め言葉心得。
一、褒める時は、具体的な根拠を添えること。
一、大きすぎる比較を軽々しく用いぬこと。
一、相手が聞きたい言葉だけを並べぬこと。
一、改善すべき点を隠すために褒めぬこと。
一、褒める相手から得をする時ほど、自分の言葉を疑うこと。
一、褒め言葉と判断を分けること。
一、耳に痛い言葉を言う者を、すぐ敵と思わぬこと。
赤染衛門が最後の一文で筆を止めました。
「これは、受け取る側の心得でもございますね」
「そうです」
私はうなずきました。
「褒める側だけでなく、褒められる側にも必要です」
小少将が言いました。
「衣を褒める時も、ただ『美しい』では足りませんね」
「たとえば?」
「今日の御衣なら、薄紅に灰桜を重ねたところが、季節の移ろいに合っております。派手すぎず、けれど顔映りが柔らかく見えます、と申します」
女房たちが、ほう、と息を漏らしました。完璧です。
「それなら、言われた側も次に活かせます」
私は言いました。
「ただ『この世で一番美しい』と言われても、何を続ければよいか分かりません」
菅原の君が考え込みます。
「歌なら……『上の句の景と下の句の心がつながっている』とか、『結びの一語で余韻が残る』とかでしょうか」
「そう」
「では、『古今に並ぶものなし』は?」
「使うなら、本当にそう思う時だけ」
「ほぼ使えませんね」
「ほぼ使えません」
菅原の君は少し残念そうでした。大げさな言葉が好きなのです。でも、物語係なら言葉を大事にしなければなりません。
「若菜なら、香をどう褒める?」
私が尋ねると、若菜は少し考えました。
「今日の香は、始めに梅が立ち、後に沈が残ります。強すぎず、長く座っても疲れませぬ。御籠もりの場には、ちょうどよいかと」
「よい褒め方です」
若菜の頬が少し赤くなりました。
「澄子は?」
「灯の位置を褒めるなら、顔を照らしすぎず、手元は見える。語り手が緊張せず、聞く者が表情を失わぬ。そう申します」
「すばらしい」
澄子は、静かに頭を下げました。本当にこの人は、褒めても揺れません。でも、少しだけ目元が和らいだ気がします。
「春枝は紙を褒める時、どう言う?」
「繊維の揃いがよく、墨の吸いが穏やかで、文の内容を邪魔しません。折り目も美しく出ます。香を移しても紙の匂いが負けません」
「非常に具体的」
「紙ですので」
そうですね。紙ですものね。
こうして、藤壺ではしばらく「具体的に褒める練習」が行われました。最初は、女房たちも照れていました。
「今日の有子の字は、いつも通り美しゅうございます」
「具体的に」
「ええと……行の間が揃っていて、あとから探しやすいです」
「よろしい」
「常盤の報告は……面白いです」
「具体的に」
「出所が怪しい時も、怪しいと分かるように言うところが助かります」
「それは褒めておりますか?」
常盤が不満そうにしました。
「褒めています。情報の扱いとして大事です」
「では、嬉しいです」
常盤は意外と単純です。ただし、褒めすぎると調子に乗るので注意が必要です。
数日後、件の公卿が藤壺の近くを訪れる機会がありました。名は控えます。ええ、控えます。
その方は、御簾の外でたいへん上機嫌でした。どうやら、どこかでまた盛大に褒められてきたのでしょう。
「近頃、私の歌を皆がたいそう褒めるのだ」
と、自らおっしゃいました。もう危険です。自分で言い始めると、かなり進んでいます。周囲の女房たちは、すかさず言いました。
「まことに、御才は昔の名人にも勝りましょう」
「御言葉には深き趣が」
「誰にも及びませぬ」
甘い。たいへん甘い。砂糖をさらに蜜で煮たような褒め言葉です。公卿は満足そうに頷きます。そこで、なぜかこちらへ話が振られました。
「中宮様には、どのようにお聞きいただけましょう」
場が、少し緊張しました。女房たちの視線がこちらに集まります。
ここで私が同じように大げさに褒めれば、丸く収まります。しかし、それでは藤壺の心得が泣きます。
私は扇を持ち直し、穏やかに言いました。
「先日の御歌は、秋の露を詠みながら、結びで人の老いへ移るところに趣がございました」
公卿の顔が少し変わりました。ただの「すばらしい」ではない言葉を受けた時の顔です。
「特に、上の句では景を広く取り、下の句で御自身の感慨へ引き寄せておられました。聞く者が、庭の景から人の心へ自然に移れるところがよろしゅうございました」
周囲の女房たちが黙りました。公卿は、少し戸惑った後、ゆっくり頷きました。
「……そこを聞いてくださったか」
「はい」
私は続けました。
「ただ、二首目は、少し言葉が重なっておりました。御心は伝わりますが、露と涙が続くため、結びの印象がやや薄くなったように感じます」
赤染衛門が、わずかに息を止めました。周囲の女房たちは、明らかに固まりました。この場で、軽い指摘を入れる者など、ほとんどいないのでしょう。
しかし、公卿は怒りませんでした。むしろ、眉を寄せて考え始めました。
「露と涙が……重いか」
「はい。どちらかを残し、もう片方を別のものに替えれば、余韻が立つかと存じます」
しばし沈黙。やがて公卿は、小さく笑いました。
「なるほど。皆、よいよいと言うばかりであったが、そう聞かせていただくと、直してみたくなる」
女房たちが驚いた顔をしました。
「御前にて、このように歌を細かくお聞きいただけるとは……ありがたいことです」
公卿はそう言って、少し機嫌よく去っていきました。常盤が、そっと息を吐きます。
「怒られませんでしたね」
「怒られる可能性もありました」
私は正直に言いました。
「相手によります」
「怖いことをなさいます」
「だから、言い方が大事です」
ただ否定するのではなく、まず具体的によかったところを言う。その上で、改善点を一つに絞る。人格ではなく、作品に触れる。相手が受け取れる形にする。前世でいうところのフィードバックです。ただし、この言葉を出すと赤染衛門にまた眉をひそめられるので黙っておきます。
後日、その公卿は自分の歌を少し直したものを、また人に見せたそうです。そして、こう言ったとか。
「ただお褒めいただくだけより、どこがよいかをお聞かせいただける方が、歌を直すにもありがたいものです」
常盤がそれを報告した時、たいへん誇らしげでした。
「藤壺の勝利でございます」
「勝ち負けではありません」
「では、差が出ました」
「それはそう」
承認欲求に群がる女房たちは、甘い言葉を差し出しました。けれど、甘いだけの言葉は、食べた瞬間は満たされても、後には残りません。
一方、具体的な言葉は少し重い。時には、耳に引っかかります。けれど、相手の中に残ります。何がよかったのか。何を直せるのか。自分はどこを見られていたのか。それが分かるからです。
藤壺の女房たちも、少しずつ変わりました。誰かを褒める時、ただ「すごい」と言わなくなりました。
「今日の文の控えは、日付が先に出ているので探しやすいです」
「常盤の噂は、出所の距離を言うようになってから扱いやすくなりました」
「若菜の香は、今日は少し軽くて、雨の日に合います」
「小少将の衣合わせは、語り手を目立たせすぎず、場を柔らかくしています」
「春枝の紙選びは、今回は箱を増やさなかったところが特によいです」
「そこですか」
春枝が少し不満そうにしました。
「そこです」
全員が言いました。春枝はしぶしぶ頷きました。
褒め言葉とは、相手を甘やかすためだけのものではありません。
見ていることを伝えるものです。よいところを、よいと示すものです。時には、次に進むための足場を置くものです。
だからこそ、軽く扱ってはいけない。斉の王は、鄒忌の言葉を聞き入れました。耳に甘い言葉を疑い、諫言を奨励することで、国を強くしました。異国の出来事です。けれど、藤壺でも教訓にします。
過剰な賛辞ほど危険。大きすぎる褒め言葉には、たいてい中身か目的がある。褒める時ほど、具体的に。褒められる時ほど、根拠を見る。そして、耳に痛い言葉を言う者を、すぐ敵と思わない。
その日の夜、藤壺の文箱には「褒め言葉心得」が納められました。薄い山吹の紙に、赤染衛門の整った字。派手ではありません。けれど、見るたびに思い出せる色です。
春枝が満足そうに言いました。
「この紙は、褒め言葉に合っています。明るく、しかし浮かれすぎません」
「具体的でよいです」
「ありがとうございます」
若菜が香炉の灰を整えます。澄子が灯を少し下げます。
常盤は、件の公卿が次に誰の褒め言葉を求めるか探りたそうでしたが、赤染衛門に止められていました。
「公卿様に群がる者を観察するのは、勉強になるかと」
「あなたの場合、勉強より噂になります」
「流しません」
「夢にも」
「流しません」
よろしい。
私は扇を膝に置き、静かに息を吐きました。
褒め言葉は、灯に似ています。正しく置けば、人の手元を照らす。行く先を見せる。寒い心を少し温める。けれど、近づけすぎれば燃やします。強すぎれば目を眩ませます。誰かの機嫌を取るためだけに掲げれば、影を濃くします。
だから、灯の位置を考えるように、褒め言葉の置き場所を考えなければならなりません。
高く掲げすぎず。近づけすぎず。相手の目ではなく、足元を照らすように。
藤壺の灯は、その夜も静かに揺れていました。
甘いお世辞の香りに流されず、言葉の重さを確かめながら。
〜 出典 〜
『戦国策』斉策 鄒忌諷斉王納諫
臣誠知不如徐公美、臣之妻私臣、臣之妾畏臣、臣之客欲有求於臣、皆以美於徐公。今齊地方千里、百二十城、宮婦左右、莫不私王、朝廷之臣、莫不畏王、四境之內、莫不有求於王。由此觀之、王之蔽甚矣。
(訳)私は北城の徐公ほどイケメンではないのですが、私の妻は私をひいきしているので、私のことを美しいと言います。妾は私を恐れているので、私の方が美しいと言います。客は私に何か頼みたいことがあるので、私を美しいと言います。みな、徐公より私のほうが美しいと言っていたのです。今、斉の国は千里四方の広さがあり、百二十もの城があります。宮中の女たちは、誰も彼も王をひいきしています。朝廷の臣下たちは、誰も彼も王を恐れています。国中の人々は、誰も彼も王に何か頼みたいことがあります。こうして考えてみますと、王は周囲の者たちによって真実を隠され、物事が見えなくなっていることは、私の場合よりもずっとひどいのでございます。
〜 舞台背景 〜
鄒 忌(すう き、生没年不詳)は、中国戦国時代に田斉に仕えた政治家。威王・宣王に仕えて宰相として辣腕を振るった。琴の名人として知られ、初めは宮廷で威王に琴を教えていた。美男子でも有名である。出典:wikipedia




