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第百三話「一難は去る」

事態は一旦落ち着いて、生徒達もとい教師たち含めこの朝礼を解散。

もとい、中止である。

当然だ、こんな醜態になってしまえば続行は不可能。

第一にもう数時間の時が経ってしまった。

それだけでも大問題の朝礼だというのに、堕舞黒の件もあって学園は大騒ぎ。

数分の緊急職員会議の後に今日の予定を決めるらしい。

ディートリッヒ先生たち曰く、中止が最も可能性が高いらしい。

コレも当然だろう、生徒達の精神状態もといコンディションも最悪。

こんな状態で授業がまともにできない。

最悪だ、最悪の一日だ。

最悪の・・生徒会の始まりだ。

何もかもが全ての最悪の絶望の始まりだ。

悔しい、こんな時俺達はまた無力だ。

どんな時にも誰の力にもやってられない。

どんな最悪の状況にも対応してやれない。


俺達は・・何もしてやれない。

ただ、悔いばかりしていても仕方がない。

今はとにかく、自分で出来る事をやらなくてはいけない。

そう、海王咲を保健室へ運び、怪我の手当を頼んでやる事だ。

急ごう、今はただできる事だけを・・するんだ。


 ◆


「やれやれ・・一時はどうなるかと思ったが・・これで安心ですね」


「はわわ・・こんなに・・こんなに・・うう・・ごめんなさい・・先生・・何もできなくて・・うう・・これも・・これも・・こんなに恋のいざこざ・・」


「先生、それ普通に暴力沙汰で傷を負いました」


「ごべんなざぁぃ・・・」


「泣かないでくださいまし・・私が悪いんですから・・」


なんと静か、なんと静寂の間。

これはあまりにも見慣れない光景。

本来の海王咲はこんな物静かな者ではない。

いつも調子に乗ってて、いつも山田に勝負ふっかけて。

いつも上から目線で、いつも・・お前は美しくも頂点を目指して。

努力を惜しまず、どんなに山田に負けても敗北から学び。

毎回・・毎回お前はネガティブにならずに何度も。


なんでだよ、ただ普通にライバル心を燃やしぶつかり合った仲だけの奴が。

何で今、新生徒会長にボコられて保健室のベットの腕包帯やバンドエイドまみれになって。

こんなにも大人しくなっているんだよ。


「・・本当に・・最悪だ・・」


「・・・ごめんなさい・・」


「あわ・・ええっと・・あ、私・・ちょっと取ってくるモノありますから!席外しますね!」


気まずくなって出てってしまったか。

まあ、仕方がない。

さて、本当にどうしたモノかな。

海王咲とは特に話す事もないわけだが。

俺も、席をはずそうかな。


「・・ねえ、菊・・話いいかしら」


「・・えっ?お前・・なんで突然?」


このさらに静かになった深刻の雰囲気の中。

海王咲が話を持ち掛けて来てくれた。

窓を眺めて、一体その真剣な表情で何を語ろうとしている?


「ごめんなさい・・どうしても・・先生達には言えない・・から」


「いなくなるのを待っていたわけか・・で、どうしてだ?」


「貴方に言わなくてはならない事があるの・・」


「俺に?」


「そう・・知りたいでしょう?・・堕舞黒の事」


「!?」


この絶望の暗黒の空気の中、海王咲は暗闇の霧の中を突き抜けて。

光を持ってきてくれたんだ。


そう、これが・・もう一つの・・大きなこの物語の変動だった。


ここから俺の進路は・・何処までも果てしない・・道を進み始めたんだ。


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