第百四話「パニックタイム」
時刻は10時45分、まだ朝の早い時間。
職員達は突然の出来事に事態を重く見ていた。
事態は深刻になる一方の中、重い空気と苦く張り詰められた部屋の中。
理事長室で今でも会議は行われていた。
「理事長、今後・・あの馬鹿・・いや人間的クズを野放しにするなんて俺は学園の今後の未来としても反対だ、今すぐにでも退学させろ」
ディートリッヒは端から生徒の気持ちを考え。
いつもに増してトゲトゲしい怒りを放っていた。
「理事長!堕舞黒クンは言えばきっと分かってくれます!ここは話あいを・・」
反対に自分なりに優しさを精一杯だし、なんとか平和的解決ができないか。
そんな優しくもまだ困惑気味の様な鬼瓦。
「てめぇまだそんな甘ちゃんな事言ってやがんか?このもやしメガネッ!」
それには当然ディートリッヒは反対する。
鬼瓦の胸ぐらをつかみグラグラと揺らして怒りを表す。
「グッ・・彼は我が校の生徒だ!だったら・・僕達教師が最後まで見てあげるのが礼儀じゃないのかッ!?」
「違うねぇ?学生時代から親の力や周りの力でしか生きていけない肉片だけのミートは一度極寒の中を彷徨い地獄を体験させるのが真っ当な答えだ・・いいか、今が平和だのなんだの優しさなんてもんをかけてるからてめぇはいつまで経っても甘ちゃん・・スイートなんだよ?分かるか?」
「ち、違う!僕は生徒の為を思い・・」
「生徒の為を思うならこれもまた生徒の為だッ!お前みたいな甘やかす野郎がいるからいつまでもゆとり教育論が悪化する一方なんだよッ!誠心誠意生徒の為を思いやるっつうのは間違ってたら徹底的に教えてやる事だ!それが俺達教師の役目だッ!」
「それが教師だと?!この調教師がッ!」
「ンだとこの野郎ッ!!」
「ヤ、ヤメーテ!ストップ!ストップデース!ヨ~!リジチョもナントカイッテクダサーイ!」
ディートリッヒ、鬼瓦、マリアの三人の様子を見ても。
この状況が良くない事が一発で分かる理事長。
みんな内心どうすればいいのか分からないのだ。
いまどうやって・・学園を動かすのが正解なのかが。
「・・理事長、僭越ながら・・この津久井からもお願いです・・どうか、貴方の意見が聞きたい、今この場をどうするのかを・・」
「・・今は」
この時、その答えがまさか裏ではあんな事が起きていようとは誰も思いはしなかった。
誰にも理解できるはずがなかった。
その答えが、その言葉がどうして出て来たのか。
教師にすら理解できなかったのだ。
◆
暗雲の中、たった一つの発言で動き出した俺の風。
ずっと煮詰まりしていた。
だけど、この事によって・・大きく動き出す事ができたんだ。
「堕舞黒の事?」
「そう・・いまだからこそ・・いえ、今じゃないと話せないのよ」
「ど、どうして・・」
「・・ちょっと待って」
海王咲が俺との会話を中断し、なにやら耳に手を当てる。
なんだろう、何をしようとしているのだろうか?
「もしも・・うん私、堕舞黒の様子はどう?」
「(問題ない、今も先生が見張っているよ・・SPも起きてない・・今なら話せる)」
「分かった、ありがとうね霧島!流石は四天王の頭脳よ!」
「(照れくさいなぁ・・ご褒美は後にして、時間はないよ)」
「うん、後でたっぷり・・ね」
なんだ・・なんの話だったんだろう?
誰かと連絡を取っていたのは分かるけど・・。
「さて・・単刀直入に言うわね」
「お、おう」
「まず・・この学園は・・乗っ取られているわ」
「・・・・はいぃぃぃ?!」
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