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第3話: 騎士の反逆

 石の冷たさじゃなかった。


 頬の下にあるのは、藁の感触。


「……ここは」


「動くな」


 短い声が、部屋の隅から飛んできた。


「レオン、さん」


「……起きたか」


「ここ、は」


「リンデン村の外れだ」


「リンデン、村」


「そうだ」


「神殿、じゃない」


「ん」


「夢、ですか」


「夢じゃない」


「ほんとう、ですか」


「ほんとうだ」


「……起きてて、いいんですか」


「いい」


「ここに、いて、いいんですか」


「いい」


「だれの、家ですか」


「空き小屋を、借りた」


「……借りた、って」


「文句があるか」


「いえ、その」


「無いなら寝てろ」


「神殿は」


「置いてきた」


 置いてきた。

 まるで、傘か何かを忘れてきたみたいに。


「あの、レオンさん」


「ん」


「……ありがとう、ございます」


「礼はいらん」


「でも」


「いらん」


 短い。それで終わり。


 彼は私のそばに膝をついて、藁の上に水袋を置いた。木の栓を抜く音が、火の音より大きく聞こえる。


「飲めるか」


「……はい」


「もう一口」


「平気、で——」


「無理を言ってない。飲め」


「は、い」


 水は生ぬるかった。それなのに、喉を通る瞬間、骨の芯まで冷えた。


「もう一口」


「……はい」


「肋、痛むか」


「少し」


「『少し』の幅が広すぎる。動けるか動けないかで答えろ」


「動け、ます。ゆっくりなら」


「分かった」


 言葉は命令の形をしていて、声は低かった。けれど、水袋を支える指は、震える子どもを抱える親みたいに慎重だった。


「眠れそうか」


「はい」


「無理なら、起きてていい」


「……眠ります」


 目を閉じた。


 暗くなった瞼の裏に、夜の鐘が、また鳴り始める。




 大神殿の回廊は、夜になると音が反響する。


 昼の祈りの声が消えたあと、残るのは自分の足音と、遠くで燃える蝋燭の匂いだけだった。


「目を閉じてろ」


「は、い」


 耳のすぐ上で、声が鳴った。返事をするのが精一杯で、私は瞼を落とした。


 暗闇の中で、鎧の胸当てが頬に触れる。金属はひんやりしているはずなのに、なぜか温かかった。


——落とさない。絶対に。


 そう言葉にしないまま、腕が言っていた。


 角を曲がった先で、低い声がした。


「——護衛騎士。そこにいる者は」


 神官の声。続けて、甲冑の擦れる音。


「通る」


「許可証は」


「無い」


「ならば——」


 甲冑が擦れた。柄に手が置かれた金属音。一拍。


 硬い音がして、息が詰まった。誰かが壁に叩きつけられた音だった。


「……っ」


 喉が鳴りそうになって、歯で噛んで止める。


「動くな」


 布越しに、声が落ちてきた。


「は、い」


「もう少し、辛抱しろ」


「はい」


 レオンは何も言わずに歩き出した。躊躇のない足取りで、石の回廊を切り裂いていく。


 布の内側で震えながら、思った。

 ああ、この人は——反逆している。神殿にも、命令にも。聖女を縛る、すべてに。


「レオン、さん」


「ん」


「……いえ」


 名前が、勝手にこぼれた。


「言え」


「呼んだだけ、です」


「そうか」


 返事はそれだけ。けれど腕が、ほんの少しだけ強くなる。それが返事みたいで、胸が痛んだ。




 大神殿の裏手には、倉庫と厩舎きゅうしゃが並んでいる。


 昼間は奉納品の荷車が行き交い、夜は見張りがにぶる——はずだった。今夜は違う。誰かが、早くからざわめいている。灯りが、いつもより多い。


「聖女様が消えた!」


「捜せ!」


「裏門だ!」


 遠くで叫び声。背中が粟立あわだった。


 消えた。

 名前じゃない。いつもの通りだ。機能が無くなった、という言い方。


「気にするな」


「は、い」


「もう、あんたの名前じゃない」


「……はい」


 レオンは厩舎の影に身を滑らせた。壁沿いに歩き、戸口の前で止まる。扉に手を伸ばす前に、一度だけ、私を見た。


 外套の隙間から、目が合う。月明かりが薄く差して、灰色の瞳が刃みたいに冷えていた。底だけが、揺れていた。


「凛」


「は、い」


「乗れるか」


「乗る、って」


「馬だ」


「は、はい」


「鞍は無い。手綱だけだ。しがみつけ」


「はい」


「振り落とされたら拾えない」


「落ちません」


「言ったな」


「言いました」


 扉が開く。馬の匂いが濃くなる。鼻を鳴らす音。鎖が鳴る音。


「黒い奴を出す」


「はい」


「乗せるぞ」


「はい」


 レオンが先に私を背に乗せて、すぐ後ろに乗った。腰に腕が回り、手綱を取る指が私の指先に触れる。冷たい手袋越しでも、骨の硬さが分かった。


「行くぞ」


「はい」


「掴まれ」


「はい」


 馬が、走り出す。




 裏門を抜ける瞬間、鐘が鳴った。


 一つ。二つ。三つ。


 夜の空気を割る音。逃げる者にられる、罪の音。


「止めろ! 門を閉めろ!」


「逃がすな!」


「弓だ! 弓を持ってこい!」


 背後で叫ぶ声。足音が増えた。


 馬の蹄が石を叩き、火花が散る。風が顔を打った。涙が勝手に滲むのに、寒いのか怖いのか、分からない。


「曲がるぞ」


「はい」


 肩が彼の胸に押しつけられて、鎧が軋む。


「もう一回、曲がる」


「はい」


「歯、食いしばれ」


「はい」


 空気を裂く音。


「伏せろ!」


「えっ」


「下だ!」


 言葉と同時に、レオンの腕が私を引き寄せた。身体が低く沈む。矢が、頭の上をかすめて、路地の壁に刺さった。


 息が、止まる。


「大丈、夫——」


「言うな」


 ぴしゃりとした声。


「えっ」


「もう大丈夫って嘘つくな」


 遮るように、低い声が落ちてきた。


 息が、別のところで止まった。


 大丈夫です——その四音を、十二年、私は呪文みたいに使ってきた。前世も、今世も。それを最初に、嘘と呼んだ人。


「……はい」


「他に、言葉あるだろ」


「えっと、」


「無理なら、無理と言え」


「……無理、です」


「分かった」


「すみません」


「謝るな」


「……はい」


 他に、返す言葉が見つからなかった。


 レオンは何も言わず、馬の首を曲げた。路地へ滑り込む。市場の裏。夜更けでも、酒場の灯りが漏れていた。


 遠くで、知らない誰かが笑っている。


「世界が回ってる」


「えっ」


「あんたの外で、ふつうに」


「……はい」


「悔しいか」


「……分から、ないです」


「そうか」


 レオンの指が、あばらのあたりに一瞬触れた。痛みの場所を知っているみたいに、押さえる。その触れ方が、優しさなのか、機能確認なのか、分からない。


 分からないのに、胸が跳ねた。




「右だ」


「はい」


「次、左」


「はい」


 頷く暇もなく、馬が角を曲がる。身体が傾いて、レオンの腕がすぐ支えた。


「落ちない」


「はい」


「俺が、落とさない」


「……はい」


 追手の足音が、近い。路地の石畳を蹴る音。鎧の金属音。犬の吠える声。


「聖女は必ず取り戻せ!」


「逃がすな!」


「殿下の御意ぎょいだ!」


 命令。いつも聞いてきた、命令。


 その言葉に、反射みたいに「はい」と言いそうになって——喉が締まる。


「……っ」


「凛」


「は、い」


「呼吸を、止めるな」


「……はい」


「吸え」


「はい」


「吐け」


「……はい」


 あんた、と呼ばれてきた人から、初めて名前で呼ばれた。それだけで、肺の底にあった何かが、ほどけた。


「もう一回、吸え」


「はい」


「吐け」


「はい」


「いい。続けろ」


「はい」


 レオンの呼吸が、背中に当たっていた。速い。乱れていない。私の背に回された腕だけが、少しだけ硬い。


 逃げることが、彼にとって日常みたいに正確だった。

 だからこそ、思う。

 この人は、何を背負ってきたんだろう。




 城門が見えた。


「ぃ……っ」


「言うな。喉、傷める」


「はい」


「掴まれ」


「はい」


「強く」


「はい」


 レオンが馬の首を叩いて、速度を上げた。風が、耳を持っていく。


「止まれ!」


 門番の怒号。


「止まらないですよね」


「止まらん」


「跳ぶ、んですか」


「跳ぶ」


「えっ」


「歯、食いしばれ」


「……はいっ」


 馬が、跳ぶ。


 私は声も出せず、ただ歯を食いしばった。次の瞬間、身体が浮いた。


 木の柵を越え、土の斜面へ。夜露の草が頬を濡らす。背後で怒鳴り声と足音が入り混じった。門の内側で、灯りが乱れる。


「降りる」


「はい」


「抱える。耐えろ」


「はい」


 レオンは馬を降り、私を抱え上げた。その動きに迷いがない。馬を手放すのにも、迷いがない。


「馬は、置いていくんですか」


「ここからは森だ。脚を傷める」


「……はい」


「走れるか」


「……はい。走り、ます」


 私は、自分の声に少し驚いた。「はい」だけじゃなく、後ろに何か付け足したのは、いつぶりだろう。


「行くぞ」


「はい」


 レオンは私の手首を取って、引いた。


 握るのではなく、逃げないように確かめる、ような掴み方。痛くない。けれど、離れられない。




 森に入ると、街の灯りが背後で小さくなった。


 枝が顔をかすめ、土が靴を引く。息が白い。自分の呼吸が、うるさい。


「犬、ですか」


「そうだ」


「匂い、ですよね」


「神殿の香。あんたに染みついてる」


「……はい」


「気にするな。消す」


「消せる、んですか」


「やってみせる」


 その事実が、冷たい針みたいに刺さった。どこへ行っても、見つけられる。私の身体は、私のものじゃない。


「立ち止まる」


「はい」


「ここ。動くな」


「はい」


 息を整える間もなく、彼は自分の外套を脱ぐ。地面に擦りつけて、泥と草の匂いを擦り付けた。それを、私の肩に掛ける。


「重い、ですか」


「いえ」


「肩、痛むなら言え」


「……平気、です」


「『平気』も後で禁止する」


「えっ」


「……いや、今はいい」


「禁止、ですか」


「そうだ」


「『大丈夫』も、ですか」


「ん」


「他に、何を言えば」


「『嫌だ』」


「……嫌だ」


「『無理だ』」


「……無理、だ」


「『助けて』」


「……助けて」


「言えるじゃないか」


「……はい」


 言葉じゃなく、手が、全部言っていた。


 追手の声が、近づく。犬の鼻を鳴らす音が、木々の隙間で生々しい。


 レオンは私の前に立った。剣は抜かない。抜けば光が出る。月明かりが刃に映る。代わりに、短剣を逆手に持った。影のまま、殺意だけを固める。


 犬が、目の前を通り過ぎる。

 一歩。二歩。三歩。


 背後で、誰かが舌打ちをした。


「こっちじゃないのか」


「匂いが薄い。川へ向かったか」


「戻るぞ」


「ああ」


 足音が、遠ざかる。


「……行った」


「は、い」


「凛、息」


「はい」


 レオンが、ゆっくりと息を吐いた。それを聞いた瞬間、私の肩が勝手に震え出した。


 震えを隠そうとして、指先に力を入れる。


 その瞬間、レオンの手が、私の指先に触れた。

 握らない。ただ、指を押さえる。


「震えるな、とは言わん」


「……はい」


「ただ、ここに、指を置いとけ」


「はい」


 手袋を外していた。さっき外套を私に掛けたとき、脱いだのだろう。硬い指。剣だこの感触。なのに、触れ方だけが、信じられないくらい慎重だった。


「すまん」


「えっ」


「巻き込んだ」


「ち、違います」


「違うか」


「違います」


「言ってみろ」


「巻き込まれたんじゃ、ありません。連れ出して、いただいた、んです」


 言いながら、自分でも驚いた。神殿で十二年、私はずっと「ご迷惑をおかけして」と頭を下げ続けてきた。「連れ出してもらった」と言葉にしたのは、初めてだった。


「……そう、捉えてくれるのか」


「はい」


「そうか」


 それだけ。けれど、その一音が、なぜか胸の真ん中に落ちた。




 森を抜けたとき、東の空が薄く白み始めていた。


「あれ、村だ」


「はい」


「リンデン村」


「レオンさんの、ですか」


「故郷だ」


「……そう、ですか」


「気に入らないか」


「いえ。あの、嬉しい、です」


「嬉しい?」


「はい。連れて、来てくれたのが」


「……そうか」


「ありがとう、ございます」


「いいから、歩け」


「はい」


 訊いてしまったあとで、訊いてよかったのか分からなくなった。彼の故郷に、彼の手で、こんな夜に運ばれていく。それが意味するものを、私はまだ言葉にできない。


 村の外れ、壊れかけた小屋へ入る。扉はきしんだ。中はほこりだらけで、けれど雨は凌げる。


 レオンは火を起こし、水袋を開けた。私の唇に水を当てる。その距離が近すぎて、私は目を逸らした。


「飲め」


「……はい」


「もう一口」


「はい」


 水が、喉を通る。


 生きている、と思った。

 生きているのに、神殿の外にいる。それだけで、怖い。

 怖いのに——少しだけ、胸が、軽い。


「眠れるか」


「……はい」


「無理なら起きてていい」


「……眠ります」


 私は火の揺らぎを見つめながら、喉の奥で言葉を探した。訊けば、何かが崩れる気がした。


 だから、何も言わないまま息を吐いて、目を閉じる。


 暗闇が、来た。




「……起きてるか」


 呼びかけに、私は現実へ戻る。


「は、い」


「悪い。起こした」


「いえ」


「眠れてたか」


「……少し、だけ」


「水、飲むか」


「はい」


 リンデン村外れの小屋。小さな火。夜の虫の声。


 レオンが、私のほうを見ていた。その視線が、見張りみたいで、けれど檻みたいじゃない。


 私は外套の端を握った。握ると、布の皺が立つ。それが、今の私の生き方みたいで、少し笑いたくなった。


「レオンさん、手」


「ん」


「血が、ついて」


「……ああ」


「見せて、ください」


「平気だ」


「……見せて、ください」


「平気だと言ってる」


「もう、一回、お願いします」


 もう一度、同じ言葉を、少しだけ強く繰り返した。自分の声が、自分のものに聞こえた。


「……分かった」


 レオンは、しばらく動かなかった。それから、ゆっくり、私の手首を取って、引き寄せた。強くはない。「触れるなら、ここまでだ」と線を引くみたいに、私の指を、自分の手の甲へ置く。


 固い皮膚。剣だこ。温度。


「平気だ」


「……『平気だ』って、ずるい言い方ですね」


「ずるい、か」


「はい」


「どこが」


「『大丈夫です』と、似ているからです」


「……」


「平気じゃない痛みを、平気だって、隠してるでしょう」


「……」


「私と、同じ、です」


「言うな」


「言います」


「凛」


「はい」


 火がぱちりと鳴って、影が揺れた。


 レオンは、長く、私を見ていた。それから、視線を、火のほうへ落とす。


「あんたを、連れ出したら」


「はい」


「俺は、処罰される」


「……はい」


「分かってる」


「……それでも、ですか」


「それでも、だ」


「どうして」


 訊いてしまった。


 訊いた瞬間、また、十二年ぶんの恐れがせり上がってきた。理由を訊くのは、怖い。答えが、私を捨てる理由に、変わる気がするから。


 けれど、今夜だけは、訊いてみたかった。


「……理由が、いるのか」


「えっ」


「理由が、いるのかと、訊いた」


「……」


「答えが、欲しいか」


「……いいえ」


「そうか」


「いいえ、あの」


「ん」


「答えは、いらないです」


「ならいい」


「……はい」


 短い。それで、終わり。


 その一言が、胸の中に落ちて、熱を持った。


 火のほうを向いた横顔に、揺らめく光が触れている。いつも石みたいに硬い輪郭が、炎のせいか——少しだけ、やわらかく見えた。


「レオンさん」


「ん」


「ありがとう、ございます」


「礼は、いらん」


「いいえ」


「凛」


「もう一回、言わせてください」


「……」


「ありがとう、ございます」


 レオンは何も言わなかった。けれど、手の甲に置かれた私の指の上に、彼の親指が、ほんの一瞬だけ、重なった。


 それが返事だ、と思った。


 火がぱちりと鳴って、また、影が揺れる。


 レオンの唇が、もう一度だけ動いた。


「リアナ……」


「えっ」


「……いや」


「今、誰かの、名前を」


「忘れろ」


「言いました、よね」


「忘れろと言った」


「……はい」


「凛」


「はい」


「いつか、話す」


「……はい」


「ただ、今夜じゃない」


「……はい」


 名前。


 初めて、彼の口から出た、誰かの名前。


「寝ろ。明けたら、移動する」


「はい」


「外、見ててやる」


「……はい。お願いします」


「分かった」


「レオンさん」


「ん」


「眠れなかったら、起こしても、いいですか」


「いい」


「ほんとう、ですか」


「ほんとうだ」


「……はい」


 背中を向ける。私に見せるのは、鎧の硬さだけ。


 けれど、その背中が、今夜も私の前に立つのだと、分かってしまう。


 私は外套を胸まで引き上げた。微かに残る鉄の匂いと、泥の匂いと、彼の体温を吸い込む。


 夜の虫が、遠くで鳴いている。


 リアナ、という名前が、胸の中で、もう一度、鳴った。


 馬蹄。鐘。親指の重み。


 眠りに落ちる直前、瞼の裏で——辺境の星空が、ひとつ、瞬いた気がした。



第三話「騎士の反逆」をお読みいただき、ありがとうございます。


 v1では「逃走シーン」だった本話を、v2では「レオンの台詞が凛の十二年を打ち砕く夜」として書き直しました。鍵は、レオンの「もう大丈夫って嘘つくな」の一言です。


 凛の「大丈夫です」は、前世から続く呪文でした。それを、世界で最初に「嘘」と呼んだ人がレオンです。短いひと言で、十二年が崩れる——その瞬間を、矢の音と鐘の音の只中に置きました。


 また、レオンが初めて凛を「凛」と名前で呼ぶ場面も、本話で配置しました。「あんた」と呼ばれてきた彼女が名前で呼ばれた瞬間、肺の底で何かがほどける。その小さなほどけが、辺境での新しい呼吸の始まりです。


 会話の応酬を増やしたのも、本話の改訂方針です。逃走中だからこそ、短い言葉のやり取りで、二人の距離が縮まっていく——そのテンポを大切にしました。


 次話は辺境の朝。湯気の立つパンと、誰にも急かされない朝食。十二年ぶりに、凛は「凛ちゃん」と呼ばれます。どうぞお楽しみに。

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