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フィルム4



夏が終わってからは、あっという間だった。

先輩との距離感は変わらない。


「侑、今日は自習室で勉強してから帰るから先に帰って」

「はーい、頑張ってくださいね」


前は先輩の素直な気持ちを聞くだけで嬉しかった。

今は名前を呼ばれることが嬉しい。


それだけで良かったはずなのに。



「フミヤ先輩」


その日は文化祭の帰り道だった。

夕日が綺麗で、文化祭仕様に飾られた校門のアーチを赤く照らしている。


「俺の写真、撮ってくださいよ」


一緒に帰るつもりで、二人で校門を出た。

アーチを振り返って言った俺に、先輩も足を止める。


「…人は撮らないって知ってるだろ」

「知ってます」

「じゃあなんで」

「言ってみただけです。恋人特権で」

「そんな特権聞いたことないけどね」


笑って誤魔化された。

それ以上は言わなかった。



寒くなり始めた頃、帰り道に猫を見つけた。

もう一度、頼んでみる。


「猫かわいい」

「本当だ、美人さんだね」

「写真撮ります?俺込みで」

「侑はいらないかな」

「酷い!」


大袈裟に言う俺に先輩は笑っていた。

今度は俺が笑って誤魔化してしまった。



冬にもう一度。


「俺の応援姿、写真撮ります?受験がんばれーのやつ」

「いらない」

「即答!!」


今までで一番酷くなった。


でも、ふざけながらも渡したお守りは、大事にカバンにしまってくれた。

「ありがとう」って不意に頭を撫でられた。


「な、何ですか!急に!」


びっくりして掴んだ手。

戸惑い真っ赤に染まる顔。

先輩は掴まれた手をそのままに、涙が浮かぶほど笑っていた。


その瞬間。


なんだか胸がいっぱいになった。



先輩、俺は前よりもずっと、

どうしようもなく、

あなたのことを好きになっています。





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