↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【20話完結】冷徹な不倫夫にすべてを奪われた研究者の私が、16年前の小さな優しさに救われ、世界一愛されるまで。  作者: 杜英智


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/20

第20話 永遠の幸せ

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

第20話 永遠の幸せ


リンゴーン――。


澄み渡る青空へ。


祝福するように教会の鐘が鳴り響く。


今日。


私は、大好きな人と結婚する。


控室。


純白のウェディングドレスをまとった私は、鏡の前に立っていた。


「こんな日が来るなんて……。」


思わず笑みがこぼれる。


父が静かに隣へ立った。


「菫。」


「今度こそ幸せになれ。」


母は目に涙を浮かべながら微笑む。


「あなたには笑顔が一番似合うわ。」


私は二人へ深く頭を下げた。


「お父さん、お母さん。」


「今まで、本当にありがとう。」


その時だった。


「ママ!」


陽菜が笑顔で駆け寄ってくる。


「ママ、きれー!」


私はしゃがみ込み、陽菜を抱きしめた。


「ありがとう。」


「これからも、ずっと一緒だよ。」


「うん!」


控室の前では。


悠真さんが深呼吸をしていた。


そこへ菫の兄、智也がやって来る。


「悠真。」


「はい。」


智也は真剣な表情で悠真を見つめる。


「菫を泣かせたら。」


「俺はどこまでもお前を追いかける。」


「覚悟しておけよ。」


悠真は思わず背筋を伸ばした。


「……約束します。」


「菫さんは、必ず幸せにします。」


智也は満足そうに頷く。


「ならいい。」


そう言って去っていった。


悠真は小さく息を吐く。


その時。


「ゆうまパパ!」


陽菜が嬉しそうに駆け寄ってきた。


悠真はしゃがみ込み、優しく頭をなでる。


「陽菜ちゃん。」


「一つだけ、聞いてもいいですか。」


「なあに?」


「私が、お父さんになっても……いいですか。」


陽菜は満面の笑みで頷いた。


「うん!」


「ゆうまパパ、だいすき!」


ぎゅっと抱きつく。


悠真は優しく抱きしめた。


その温もりに。


あの日の九条会長との会話が蘇る。


――――――


九条会長は、目の前の悠真を見つめた。


「……失礼ですが。」


「あなたと菫さんは、どういうご関係なのでしょうか。」


悠真は少しだけ目を伏せる。


「私の、片思いです。」


「十六年前から。」


九条会長は、わずかに目を見開いた。


「……十六年前?」


悠真は穏やかに微笑む。


「はい。」


「あなたのご子息が、菫さんを手放してくださって。」


「本当に良かったと思っています。」


九条会長は眉を動かした。


「……ほう。」


「望みは何だ。」


「一つだけです。」


「陽菜ちゃんを。」


「お母さんのもとへ返してあげてください。」


「それだけです。」


――――――


「……パパ、どうしたの?」


不思議そうに覗き込んでくる陽菜に、


「なんでもありませんよ」


悠真はいつもの優しい笑顔を向けた。


その時だった。


控室の扉がゆっくりと開く。


純白のドレスをまとった私が姿を現す。


悠真さんは思わず息をのんだ。


しばらく言葉が出ない。


私は少し照れながら笑う。


「変……ですか?」


悠真さんは静かに首を横へ振った。


「いいえ。」


「こんなにも美しい方と結婚できるなんて。」


「私は、本当に幸せ者です。」


思わず顔が熱くなる。


「そんなに見つめないでください……。」


悠真さんは照れ笑いを浮かべた。


私は恥ずかしさに頬を赤く染めながら、小さく笑った。


「行きましょうか。」


「はい。」


二人は並んで、教会の扉へ向かって歩き始めた。


教会の扉がゆっくりと開く。


温かな拍手に包まれながら。


私たちは祭壇へと歩き出した。


神父が静かに問いかける。


「健やかなる時も。」


「病める時も。」


「互いに支え合い。」


「生涯愛することを誓いますか。」


「はい。」


二人の声が重なる。


指輪が交換される。


神父は穏やかに微笑んだ。


「それでは。」


「誓いの口づけを。」


悠真さんは優しく私を見つめる。


私は少し照れながら頷いた。


悠真さんはそっと私を抱き寄せる。


優しく唇が重なった。


「きゃー!」


「おめでとう!」


大きな歓声と拍手が教会いっぱいに響き渡る。


私は思わず照れてしまう。


悠真さんも少し恥ずかしそうに笑っていた。


教会の外へ出ると。


大勢の人たちが待っていた。


「おめでとうございます!」


白い花びらが舞う。


降り注ぐ祝福の中。


私は悠真さんと顔を見合わせて笑った。


「ママ!」


「ゆうまパパ!」


陽菜が嬉しそうに駆け寄ってくる。


私たちは二人で陽菜を抱きしめた。


「今日から。」


「本当の家族だね。」


「うん!」


陽菜は満面の笑みで頷いた。


少し離れた場所では。


一人の男性が、その光景を静かに見つめていた。


恭弥だった。


純白のドレス姿の菫。


心から幸せそうな笑顔。


その笑顔は。


かつて自分だけに向けられていた。


「私は……。」


「菫を。」


「愛していたんだ……。」


気付くのが、あまりにも遅すぎた。


「幸せにな。」


誰にも聞こえないほど小さな声だった。


そして。


二度と振り返ることなく歩き出す。


私も。


悠真さんも。


その姿に気付くことはなかった。


悠真さんは私の手を優しく握った。


「菫さん。」


「愛しています。」


「これから先も。」


「あなたと陽菜ちゃんを。」


「必ず幸せにします。」


私は涙を流しながら微笑む。


「あの日。」


「あなたが助かって。」


「本当に良かった。」


「そして。」


「今。」


「世界で一番幸せです。」


悠真さんの目にも涙が浮かぶ。


私はそっと手を握り返した。


「私も。」


「愛しています。」


陽菜が二人の手をぎゅっと握る。


「ずっと。」


「いっしょね!」


「うん。」


「ずっと一緒。」


青く澄み渡る空へ。


祝福するように。


教会の鐘が高らかに鳴り響く。


あの日。


小さな手で差し伸べた優しさは。


十六年の時を越えて。


世界で一番幸せな家族という奇跡を、私たちに届けてくれた。


【 完 】

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


投稿二作目となる本作も、本日無事に完結を迎えることができました。


小説を書き始めて、まだ二ヶ月ほど。


現代恋愛、離婚、ざまぁ、再生。

これまでとは少し違った物語に挑戦し、執筆中も新鮮な発見が多く、とても楽しい時間を過ごすことができました。


なにより、連載を続ける中で、たくさんの方に作品を見つけていただき、想像していた以上に多くの反響をいただきました。


20話という物語の中で、ここまでたくさんの方に読んでいただけたことを、改めて嬉しく、そしてありがたく感じています。


ブクマや評価、そしてリアクションを送ってくださったこと。


作品を読んでくださったことも含め、一つひとつの反応が、最後まで執筆を続ける大きな励みとなりました。


本作を見つけてくださった皆さま、最後までお付き合いくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。


これからも、さまざまなジャンルや物語に挑戦していきたいと思っています。

また次の作品でお会いできましたら嬉しいです。


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。



今回は「14歳の悠真と11歳の菫」のイメージイラストです。


挿絵(By みてみん)


少しでも「面白かった」「読んで良かった」と思っていただけましたら、

ブックマークや評価、ご感想をいただけると今後の励みになります。


新作を予定しています。


学園ラブコメ『赤面決闘』


現在、執筆中です。


今回はガラッと雰囲気を変えて、 異世界×学園×ラブコメ!


じれじれ、じれキュン、恋のライバル、決闘、聖女、隣国の王子……。


いろいろ詰め込んだ、笑ってキュンとできる物語です。


現在連載中の「夫ざまぁ」とは、まったく違うタイプのお話になりますが、こちらも楽しんでいただけたら嬉しいです。


そんな新作のあらすじを、少しだけ。


「私は、今月分の学費免除(100ポイントカード)が欲しいだけですわ!」


「……そうか。(可愛すぎる)」


名門学園に通うセレナ・エヴァンスは、貧乏な男爵令嬢。


今日も彼女は「先に照れた方が負け」の【赤面決闘】に挑む。


狙う相手は、学園最強の生徒会長。 『氷の貴公子』こと、アルベルト・フォン・グラナート。


最高の笑顔、渾身の上目遣い、可愛い制服。


背に腹は代えられないセレナは、あの手この手でアルベルトを赤面させようとする。


ところがアルベルトは、なぜか一向に赤面してくれない。


セレナは知らない。


自分が必死に赤面させようとしている相手が、すでに彼女に夢中になっていることを。


隣国の王子や聖女まで巻き込み、時には本物の決闘まで勃発。


夏休み、ダンスパーティー、そして初めてのデート。


決闘や学園での出来事を重ねるうちに、二人の距離は少しずつ、確実に近づいていく……!?


果たしてセレナは、念願の100ポイントカードを手に入れられるのか。


【第1巻・全38話・完結保証】


これは、100ポイントカードを追いかける少女と、恋愛だけは不器用な生徒会長の、不器用な恋の始まりの物語。


現在、公開に向けて執筆中です。


「夫ざまぁ」とはまったく違う、明るく楽しいラブコメになっています。


ドロドロの次は、笑ってキュンキュンしませんか?


公開まで、もう少しお待ちください。


新作も、ぜひ楽しみにしていてくださいね!


また次の作品でお会いできることを楽しみにしています。


本当にありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。