夏を鎮めて / 栗の花弁
なつをしずめて / くりのはなびら
◆夏を鎮めて
みなぎるのは、身体中の小さな穴から
吹き出る汗なのか
それとも悲しみの行く末に
狂って高鳴る僕の血か
暑いよ
でも、此処が僕の望む場所なら耐えられる
五月蝿いよ
でも、君が居るから此処に居られる
つらいよ
だけど、此処が君との距離が近づける
一番の場所なら
それでもいいと思ってたんだ
君を近くに感じて
君を好きになっていく程に
僕は嫌な奴に成り下がる
それがどんな事なのか僕にはよくわからなかった
この長過ぎる夏は
過ぎて終わる事を忘れてしまっているかのように
ただ僕に迫るだけ
君の事が見えないふりをして
君の声が聴こえないふりをして
何もない一点をずっと眺めるようになったのはいつの日からか、
耳に障る蝉の鳴く聲は
何を考えればいいのかわからなくする麻薬のように
僕の身体の全部に響いた
夏は、僕の中の君を消してしまったみたいだ
君の事が見えないんだ
君の声が聴こえないんだ
感じるのは、
血の滴る感触と鋭い銀の匂い
五月蝿いよ
僕の神経に密接な程に近過ぎる夏が怖い
空を飛ぶ鉄の塊の騒音は、
僕の中の見えない衝動を掻き鳴らした
僕と
君と、
或る夏の季節。
もう、鎮まらないんだ。
◆栗の花弁
ねぇそこの女の子
強烈な栗の花の匂いしちゃってますよ
昨晩なにしちゃったの
しかも風呂入ったの?
それともこれ
君の体臭?
(笑)
…っイタ!!
馬鹿(笑)
冗談ってば
…え
俺も栗の花の匂いするって?
…(汗)
(笑)




