古の夢言 / 瞳
いにしえのゆめごと / ひとみ
◆古の夢言
飾りつけた勇者が尋ねました
貴方にだって誇りはあるだろう
「いえ、誇りなんて捨てました
そんな物より大切なものがある」
じゃあ誇りより大切な物ってなんなの
命?金?友?家族?
「それは、私の生き甲斐なんです
いや寧ろそれが無いと意味ないんだ」
神様は平等だよ、
人間だって支え合えるじゃないか
「神様は何もしないだけで、
人は見てみぬ振りが上手なだけです」
きっと、それが当たり前なんだ
「ねぇ勇者さん、
貴方はどうやって憂いを捨てたの」
捨てたんじゃないよ、
気付いたらもう失うのが無かった
「じゃあどうして、
誰のため?何のために旅を続けるの」
そんなの決まってんじゃないか
それを見つけるためだよ
「神様はいないんだよ、
人だっていない方がいいんです」
神様は見ているんだよ
人間だってまだ瞼を閉じたままなだけ
「きっと、それが当たり前なんだ」
この鼓動も熱も貴方と一緒だよ
「ねえ神様、貴方が持ってないもの私達は持ってるよ」
神様は眠ってる
「人だって眠ってる」
「神様は知っている」
人間だって本当は知ってる
大切なもの
失ったもの
捨ててきたもの
通り過ぎた旅路
その果ては見えないけど
きっと、
「きっと、」
“それが当たり前なんだ。”
◆瞳
見えない温もりをそっと掌に詰め込んだ僕が
与えられる愛は君を自由にするの?
込み上げる想いは君に伝わるのだろうか
存在したい僕と、
消え去りたい僕が
どれくらいの痛みを君にぶつけたんだろう
目を開きたい君と、
終わってしまいたい君が
どれくらいの涙を心で堪えたんだろう
まだ進んでいない僕がどんな風に
君に与えたらいい?
まだ劣等感と失速する心臓にぐしゃぐしゃにされて
君の沈んだ瞳はまだ見つからない
そうだ、
目を開いたら見つけられるかも‥
って僕、閉じた目の開き方さえも
わからない
君だってきっと知らないけどずっと踏み出すんだ
僕も孤独にばっかり浸ってないで
開けよ、僕の瞳。




