寵児の檻 / 流浪
ちょうじのおり / るろう
◆寵児の檻
彼はまだ十六歳、
世界の膨大さを、人の儚さを完璧に悟る事など出来ないと
あの虚ろな瞳の奥底でわかりきっていたのだろうか
憂いを帯びるからこそ人間だ
その言葉はあまりにも皮肉だった
闇に闇を足せば光を生むのか?
それは違った、深まる暗黒は見据えるだけでも心地好い恐怖に変わる
好奇心、安定感、欲望、そして破壊
そのどれもが結果を同じにするものだった
彼はまだ十六歳、
儚いものにこそ見えない恐怖は存在する
終わりの無いものにこそ見えすぎた欲望は戒める
この悲しい命の使い方を迷っていたのはきっと彼だけじゃなかった
繋がりがあれば、終わりは必ず来る
それを知っていながら求め、望まれたいと願う
こんな矛盾の果て無き行く先に絶望以外の終焉などあるのか
彼はまだ十六歳、
絶望に生まれた絶望、
それが彼の結果だった
だけどこの時、
この悲しい命の使い方を迷っていたのはきっと彼だけじゃなかった。
◆流浪
見ない内に大きくなったね
見ない内に賢くなった
見ない内に良く喋る様になって
見ない内に凄く凄く猛スピードで僕の前を駆け抜ける、何だかそんな気がして
目の前の現実をどう変えていけばいいのかなんてわかるはずないのに
とても久しぶりに会う君を見ていたら
心臓の鼓動が高鳴るし、凄く生き急ぎたくなってる自分がいるんだ
急がなきゃ、もっとはやく
何を急ぐのかなんて実際良くわかんないけど
とにかく焦らないと怖くなる
独りになる自分が、世界から削り取られてく様な自分が
変わらないもの、
いつしかそれだけを求める様になってた
変わる事を望んで、変わってしまう事に怯えて
こんな僕は君の目にはどう映ってるんだろう
少しずつでも何か変わってるのかな
君の様な明るすぎる灯は
生き急いで、もがいて変わる僕の矛盾の灯りの原動力になるんだ
言葉だけでも紡いでみたりして
まぁ、何とか頑張ってみるよ
何だか今、ほんのちょっとだけだけど僕が少し変われた様な気がしたよ。




