龍を巻く、洪水の如し / 煙雨の瞳
りゅうをまく、こうずいのごとし / えんうのひとみ
◆龍を巻く、洪水の如し
夕焼け、色付いた空
雲は薄い膜を張るように
突き抜けぬ風にただ瞼を寄せる
此処からみた景色は僕に愛を漂わせる
此処からみた光は僕に涙を与える
少しだけ、暗い瞳の奥に
貫ける眩さに佇む
ただ真っ直ぐに吹き抜けた
嗚呼、夕焼け色に染まる
風達は龍を象る、全ての濁りをのみ込んで
緑鮮やかに空に香る温かい鱗
夕焼け、色付いた海
青は深く、橙を抱くように
辿り着く汐にただ瞼を寄せる
此処からみた景色は僕の胸を和ませる
此処からみた光は僕に色を与える
少しだけ、暗い瞳の奥に
貫ける眩さに目を開く
ただ真っ直ぐに吹き荒れた
嗚呼、夕焼け色に彩る
揺れ音は龍を象る、全ての偽りをのみ込んで
雫淑やかに空に濡れる温かい鱗
心を押し潰すような暗黒も
何故か優しく掌に触れる
ただ一つ想いが届くなら、
此処にいない君に
愛を贈るのに
ただ真っ直ぐに舞い上がる
嗚呼、夕焼け色に変える
風達は龍を象る、全ての蟠りをのみ込んで
君への想い空に架かる温かい笑顔
風達は龍を象る、全ての祈りを纏いながら
僕等の想い空に昇る温かい瞳
温かい、温かいんだ。
◆煙雨の瞳
深い緑が風に纏う濃い霧色になる
縋るように引き摺る足を
影の無い僕の足を
暮れる夜に風が誘う濃い霧色になる
躓くように凭れる足を
進む事無い僕の足を
永く聴こえる魂、月だけが見える
僕の心臓は少しだけ目を覚ます
煙のように、消えてはまた現れ
荒んだ瞳の奥を潤す
ただ一人、独り、徨浪う
深い森が風と紡ぐ濃い霧色になる
煙のように、消えてはまた現れ
荒んだ瞳の奥を潤す
深い闇は僕と雨の濃い霧色になる
俯くように見つめる瞳を
光の無い僕の瞳を
ただ一人、独り、徨浪う
ただ一人、独り、徨浪う。




