闇に囀る / 雨の灰色
やみにさえずる / あめのはいいろ
◆闇に囀る
きっとあの頃から、ずっと正義とか正しいとかを疑っていたんだ
親は何でも出来る凄い人じゃない
そんな事わかっていたんだ
ただ、信じて信じて疑わなかっただけ
先生は何でもわかる凄い人じゃない
そんな事わかっていたんだ
ただ、信じて信じて疑わなかっただけ
信じる事は醜い
疑わない事は愚かだ
正義なんてこの世には存在しない
言葉で象られただけの驕りと情けだ
人間であるはずの自分でさえも人間の事がよくわからない
生きる事とは残酷で
死ぬ事さえも残酷
僕を支えていたのは
僕を導いてくれる存在
そして“それ”さえも人間
意味を掴めない
理でさえも矛盾している
出逢った人々を憎むのは可笑しい事なのか
この音は無と漆黒の狭間で谺するように鳴く
どくん…どくん、
意味もなく、理由もなく
理屈も成り立たない生存目的
孤独に歌うこの鼓動をいつまで刻み続けるか
この囀りはいつになったら枯れるのだろうか。
◆雨の灰色
後悔した、
後悔した
過ぎてしまった一秒前を
悔やんでいた、
悔やんでいた
掴めそうになる程実は遠くて
ぴちゃぴちゃ濡れた靴で歩く地面も濡れていた
くるくる回る傘は僕の脳味噌に良く似ていた
じわじわ染みる雨は僕の身体を冷たくした
ゆらゆら揺れる何かは僕の心臓の鼓動と同じなの
見えた、笑った
動いた、凄い速さで
君といたら破裂しそうなの、
でも凄く嬉しいよ
回る回る、揺れる、回る
開く傘が雨を反発して
触れる触れる、軋む、触れる
この響く心臓を君は聞いてるの
指切りしたよね、ずっと一緒だと
でもね、それは永遠を望んだの
欲張りかな、我が儘かな
こんな僕は可笑しいかな
君とずっと、ずっと、ずっとずっと、いたいなんて…
それでも永遠なんてないと知ってたんだ
後悔した、悔やんでいた、
掴めそうになる程実は遠くて
手を離したら消えていった
消えていった
浅く、深く、雨のように。




