虚ろ目の鮪 / 痲れる瞼
うつろめのしび / しびれるまぶた
◆虚ろ目の鮪
神は、
何故に我等をこんなにも脆く
創ったものか
生ききれぬ
逝ききれぬ
深過ぎる塩水の底は
追い込む術も
逃げる術さえ奪い取る
神は、
我等にいったい何を望んだのだろうか
捕って喰われるその為か
何の術も持たぬ我等は
生き残り、種を絶やさぬ術だけを備えて
貪欲に
人間とは可笑しなものだな
我等より知恵も力もありながら
なにを不満にうちひしがれる
我等を喰らい
自らの血肉に変え
意志は異なりながらも
形は変わらず、
神と云う未知なるものが求めた姿に
最も近いはずではないか
生き抜く為──…
その為か。
その為に破壊し、歪めると言うのか
滲みを増すのは明日だけではないと言うのに。
神は予想できたのか
自ら造り出したものの
“ほんもの”を
我等が生きて
その生きる意味
人間を生かせと言うのか
解せないのだよ
生かす為に生きるという事が
人間とは可笑しなものだな
何かを起こし
何かに砕け
何かに這い上がり
何かを手にする
永遠ともいえる繰り返しにも
僅かながら光が見えるのだから
我等とは何とも可笑しなものだな
どんなに人間に裏切られようと
希望が絶えぬ自分が、そこにはいるのだから
本当に、
本当に“生きる”とは可笑しな事ばかりで
狂いそうな程に美しい話だ。
◆痲れる瞼
時々泣くのはいいことだ。
DVDを見て泣くのはいいことだ。
馬鹿げた話も感動もんも
ホラーもアクションもラブストーリーも
流した涙はおんなじ匂いだ
…多分ね?




