幟の魚 / ゆらぎ
のぼりのさかな / ゆらぎ
◆幟の魚
父の魚は勇み鋭く、風を従え空を泳ぐ
その姿は空気を飲み込み
背中も影も包み込んでくれる様で
母の魚は優しく歌う、風と共に空に揺れる
その姿は空気を抱き締め
涙も闇も愛で満たしてくれる様で
僕の魚は小さく弱く、それでも必死に風を纏う
その姿は空気を透き通し
雨も風も抗うものなどないかの様で
消えない“何か”が、この幸せなのだと
空の青さを忘れてしまった
悟ったかの様に泪するのは、それはきっと間違いなんだ
失ったという事実も感覚も、忘れる事のない消えない“何か”
幸せが消えると何故にこれ程心臓が震えるのだろう
消えた事さえわからない程の一瞬で瞬き一つの出来事に
この青すぎる空に
風が止んでしまっても
消えない“何か”を夢みていたんだ
破れた風に折れた雲と影
取り戻せない“何か”がきっとそこにはあったんだ
ねえ、何で僕等は要らなくなったの?
ねえ、何で狂いを植え付けてしまったの?
ねえ、何で記憶なんて要らなくなったの?
ねえ、何で僕は要らなくなったの
そう一度緩んでもう絡む事などない
壊れたんだ
血なんて出ないよ、
ただ、一人一人が孤独を知っただけ。
◆ゆらぎ
感情は正常に動く機械なの
そうなら心なんてただの塊
揺れて揺れて、また知らない方向に
回って回って、時に潰れて
鉄の檻、引き裂いて引き摺り出してくれよ
昔話を潰して、そう痕の残らない様に
消えてしまった過去なら
もう俺はいないから
感情は正常に動く機械なの
そうなら心なんてただの塊
揺れて揺れて、まだ知らない方向に
回って回って、時に光って
保証のない煌めきはもう俺は守ってやれない
そろそろ握り潰してしまいそうだよ
破裂するんだ
血の動く度に
保証のない煌めきは
もう俺はいらない。




