人飼う獸 / 肌の紫
ひとかうけもの / はだのむらさき
◆人飼う獸
あの人間とやらは可笑しな奴等だ
我等の事を“飼う”と云う
哀れな人間は“知能が高い”とほざく
愚かな人間は“人間こそが神”だと自讚する
餓鬼にも勝るその欲望の塊を
制御も出来ずに鏤める
確かなものは掴めても
生きる意味を游がせる事しか出来ていない
輝く“それ”はなんだ
始まる“それ”はなんだ
返事をしろ
俯くだけではこたえにならない
証明をしろ
結果など聞いていない
人間に結果は重過ぎる、
そうだろう
人間は結果を出すまでに時間をかけすぎるではないか
何もかも祈りに応えられる神など存在しない
ならば我等が人間を飼おうか
歪な人間よりは、我等の方が一色に近い
でも、やはりそれでは
“何か”を歪めてしまうだろう
人間とやらは可笑しな奴等だ
我等の事を“飼う”と云う
哀れな人間は“結果がすべて”とほざく
愚かな人間は“人間が世界を変える”と自讚する
悲しいものよ
我等も奴等人間でさえも
この異形ともいえる世界に飼われ、
空間に生かされているだけのただの獣にすぎないというのに。
◆肌の紫
あの色を消してしまったら
僕等はどうなってしまうんだろう
あの色を僕が作ってしまったから
君は僕の傍にいるだけなの
譲り過ぎる君の心の痛みは何処へ消えるの
消えないだろう
拭えないだろう
分け与えれない心の痛みは誰が気付くの
知らないだろう
触れないだろう
蹴り跳ばして、そんな速さで何がわかるの
震える手でも伸ばしてそこに光る僅かな希望を
握りしめていて
そこを白い布で隠さないで
たとえ完全じゃなくてもいいから
君が君であればいいんだ
怖いなら怖いと言っていいんだ
傷付ける愛なんて欲しくないだろう
それでもし修羅が道を塞いでても
立ち向かえる、それ程
愛は美しいだろう
震える手でも伸ばしてそこに光る僅かな希望を
握りしめていて
もう平気だと嘘をつかなくたっていいんだ
もう大丈夫だと言わないで
縛らないで
耐えてないで
だって涙が流れているよ。




