薬指の墨 / 三日月の穂
くすりゆびのすみ / みかづきのほ
◆薬指の墨
あの日、君が言ってたの
覚えてるのか聞いたの
白の成り方を探したの
無くてもいいからと探したの
君は白に成りたいと言ったの
もう濁るのは嫌と言ったの
何を失ったっていいから白に成りたいと
言ったの
時計を壊して
止めようとしてみたけど
僕等の時間は止まらなかったの
約束しただろう
ずっと一緒だと
どんなに濁りが増しても
消えはしないから
歪に濁る僕等は
真っ白な色に憧れる
硝子だと胸の奥底が見えてしまうだろう
派手じゃなくていいから
濁らなければいいの
混ざらなければいいの
だから言っていたの?
一人じゃ寂しいけど
沢山の大切な物があると
重た過ぎて立てなくなるの
悲しいから
悲しいから
一人にして、
独りにしないで
矛盾する心が、
僕の心臓を早く動かせる
どれだけこの心臓は鳴ったら
動かなくなってくれるのだろう
まだある、
まだある前に
明日がまだある
何が嬉しくて続くのだろう
だから言っていたの?
独りじゃ寂しいけど
沢山の大切な物があると
抱えきれず落としてしまうの
約束しただろう
ずっと一緒だと
どんなに濁りが増しても
消えはしないから
この指の墨も、
この指の輪も。
◆三日月の穂
掴む事の出来ない光は
時として、螺を狂わせ惑わせる
その鋭い矛先で僕の胸を突いてくれ
血も垂れない程に深く、きつく
その光りを放つ鋭い刃に
僕の汚れた血を吸わせてあげて
この醜い血を僕から消して
触れないならその光りの種を
僕に落としてくれないか
少しでいいから光りを感じていたいんだ
冷めた心臓を潤してくれる、
乱れた体温を包み込んでくれる
そんな光りを感じていたい
綺麗な酔いに惑わされていたいんだ
消される寸前の僕の迷いは
わかっていても、小さな希望を探そうとする
だから誘う月に汚れた血を鏤めて
その完璧じゃない形に少し螺をわけてあげる
少しでいいんだ
零れた涙を掬ってくれよ
掴む事の出来ない光は
時として、螺を狂わせ惑わせる
触れないならその光りの種を
僕に落としてくれないか




