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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第四幕 王都の闇編

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第22話 集会と神父

「……だから、殿下が通っていたその集まりも、無関係とは思えないんですよ」


 そこまで話したところで、シリウスはすっかり黙り込んでいた。

 話が長くなりそうだったので、結局リーネはシリウスをオカルト研究部の部室まで連れてきていた。

 校舎裏よりこちらの方が落ち着くし、少しくらい長居しても変には見えない。


「まさかあの連中が……」


 どうやら、驚いているらしい。

 予想はしていたけれど、やはりショックは大きいのだろう。


「ということで、さっきの問いに対する答えも、まだ出ていない状態です」


「教団が悪い者たちなのか、という話か」


「ええ。断定できるほど、私はまだ知りませんからね」


 だからこそ聞く必要がある。

 リーネは机に指先を乗せたまま、改めてシリウスを見た。


「さて、では次は殿下の番です」


「余の?」


 グレンに紹介されたことも、目隠しをされて通っていたことはもう聞いている。

 今、知りたいのは、その中で何が行われていたのかだった。


「ええ、以前伺ったのよりも、もう少し教団の実態について教えてもらえますか?」


 シリウスは少し考えるように視線を上げて、それからゆっくりと口を開いた。


「そうだな……余が知っている限りでは、そんなに怪しいことはしていなかった。普通の宗教のような感じだ」


「説教みたいなものですか?」


「近いかもしれぬ。皆の前で神父が死神がいかに素晴らしい存在かを説いておった。皆、静かに聞いておるし、途中で祈るような時間もあった」


 死神崇拝という時点で、既に十分怪しくはあるが、まだ常識の範囲だ。

 もっとも、シリウスにすべてを見せていたとは思わないが。


「そういえば、その神父様は、もう少し詳しくどんな顔立ちでしたか?」


「ああ。痩せた男だったな。歳は父上より少し上くらいか。妙に穏やかな顔をしておった」


 シリウスはそこまで言って、少しだけ眉を寄せた。


「皆は神父様と呼んでいたが……そういえば、一度だけグレンがローガン殿と呼んでいた気がする」


(その名前は……)


 アリアから聞いていた名前だった。そしてこれで確定した。


「リーネ殿が探している神父と同じ名前だったか……人違いというには一致が多すぎるな」


「ええ、そうですね……」


 いったいどういう流れでそうなっているかは知らないが、少なくともアリアが探しているローガン神父は、死神教団側の人間だ。


 アリアに聞かせるにはまだ早いが、これでかなり近づいたらしい。


「やはり怪しいことは間違いないか……それはつまり……」


 シリウスは黙る。

 グレンを疑いたいわけではないが、疑わずにもいられない。そんな顔に見えた。


「殿下が騙されていたと決めつけるつもりもありません。ただ、グレン様は殿下に秘密を持っていることは間違いないでしょう」


「……そう、だな」


 それっきりシリウスは黙ってしまった。


「今のところこれくらいですかね……情報提供ありがとうございます」


「うむ……今度、また連れて行かれることになったらもう少し調べてみることにしよう」


「ええ、ですが、無理はしないでくださいね。変に考えすぎて怪しまれたら大変なことになるかも知れないのですから」


「それは……! うむ……気をつけよう」


 少しだけ反論をしようとして、言葉をつまらせた。

 どうやら自分でも何かやらかす未来が見えたのだろう。

 少しは成長しているようだ。


 そんなシリウスの様子を見て少しだけ笑ったリーネ。

 その時だった。部室の扉が軽く叩かれた。


「失礼……リーネ嬢……それに殿下まで……」


 入ってきたのはレイヴンだった。

 息は乱れていないが、歩いてきたにしては部屋へ入る動きが少し早い。

 リーネと一緒にいるシリウスを見て、レイヴンは少しだけ表情を強張らせた。


「レイヴン様? どうかしたのですか?」


「いや、すまない……ちょっと今、外でとある騒ぎになっていてな」


「騒ぎ?」


 深刻そうな顔をしているレイヴンにリーネは少しだけ眉をひそめた。


「ミゼリオール侯爵令嬢が殿下を連れ去ろうとしている、だそうだ」


「「は?」」


 リーネとシリウスの声が重なった。

 あまりにも予想外の展開だった。


「誰がそんなことを言っておるのだ!」


「第二騎士団の方々が、殿下を探して動いているようです。少なくとも、そこから広がっているのは間違いなさそうですね」


 言い方はやわらかいが、ほぼ名指しだった。

 つまり、出どころはグレンだ。


 シリウスの顔が強張る。

 怒りというより、信じたくないものを見せられた時の顔に近い。


「グレンが……?」


「ふむ、思っていたよりも優秀ですね。こんなに早く動きますか」


 リーネはそう言ってから、小さく笑った。

 どうやら、グレンがリーネに会いに来たということは筒抜けだったようだ。

 そうしてその状況を利用して、リーネに罪を被せようとしているのだろう。


「殿下から情報が出たことを察して口封じに来ましたか」


「そういうことだろうな……」


 レイヴンも否定はしなかった。


 思っていた以上に大胆な動き。

 なによりも直接動いてきたことは褒めるべきだろう。

 しかし、それは逆に言えばリーネが動くチャンスにもなる。


「ふふっ、これは面白くなってきましたね」


 まだ混乱しているシリウスの前で、リーネは楽しそうに笑った。


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