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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第四幕 王都の闇編

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第12話 整理と方針

「で、整理しましょうか」


 オカルト研究部の部室で、リーネは机の上に紙を広げた。

 昨夜のパーティで拾った話を、順に書き出していく。


「一つ。シリウス殿下が、教団のすごい人に魔道具を作ってもらったと言っていたこと。

 二つ。その話をグレン殿が止めたこと。

 三つ。殿下は次の定期討伐に同行すること。

 四つ。第二騎士団は王都周辺の討伐担当であること。

 五つ。商会の話では、その辺りで魔物が強くなり、騎士団は魔道具を多用しているらしいこと」


 レイヴンが紙を覗き込んで、小さく頷いた。


「ずいぶんと、同じ場所に集まりましたね」


「ああ。偶然にしては出来すぎている」


 王都周辺の討伐、第二騎士団、シリウス殿下の魔道具、それに教団。

 まだ一本に繋がったわけではないが、無関係とも思いづらい。


(昨夜の収穫としては十分でしょう)


「ただ、殿下の言う教団が、そのまま死神教団を指すかは分かりません」


「殿下自身が、どこまで知っているかも怪しいね」


「ええ。あの殿下、深く考えずに口にしていそうではありますから」


 シリウスは悪い意味で裏表のある人物には見えなかった。

 だからこそ、周囲に何かあるなら、本人よりもそちらの方が気になる。


「でも、あのグレンとかいう護衛騎士が、止めたこと自体は確かです。あの場で隠したい話題だった、ということですから」


「中身を聞けなかったとしても、収穫はあったわけだ」


「ええ。追いかけ回すよりは、あれで十分ですね」


 レイヴンが少しだけ口元を緩めた。

 どうやら同じことを考えていたらしい。


「それと、話は変わるが……君は気がついたかい?」


 紙から目を上げずにレイヴンが聞いてきた。


「なんのこととは聞きませんよ。ヴィクトル様ですよね? ミゼリオール家との関係の話をした時、一瞬だけ妙な顔をされた気もしますし」


「……気づいていたんだね」


「ええ。ただ、何かはわかりませんけどね」


 少なくとも、今すぐそちらに踏み込む理由はなかった。


「となると、次に触れられそうなのは殿下の魔道具ですね」


「ああ。もう一度見られれば十分違う」


「できれば触りたいところです」


「昨夜の会場では無理だろう。グレン殿がいる」


「見ていないようで、よく見ていましたからね」


 シリウスが懐から出した瞬間、グレンはすぐに止めた。

 あの反応を見る限り、ただの自慢の品で片付けていいものではなさそうだ。


「でも、ちょうどよく誘われましたからね」


 リーネは紙の上で指先を滑らせた。

 今書いた三つ目と四つ目をなぞる。


「殿下は自分から見に来るかと言っていました。少しくらいは成長したところを見せたいのでしょう」


「君は泣き虫と言っていたけどね」


「事実でしたので」


「本人の前で言うことではないかな」


「でも、おかげでちょうどいい口実ができましたよ」


 少なくとも、リーネが見学に行く理由としては十分だ。

 しかもシリウスの方が乗り気なら、魔道具をもう一度見せびらかしてくる可能性も高い。


(子どもの自慢話は、二回目の方が長いものですしね)


「殿下への話は私がしておきましょう」


「助かる。騎士団側はもう少し僕の方で当たってみるよ」


「お願いします」


 これで全部……ではなく、リーネはもう一つ名前を思い浮かべた。


「ノエラにも話を振ってみますか」


「ユランシエル嬢に?」


「ええ。ノエラの魔道具を見る目は確かですからね。昨夜の話を聞けば、何か思うところがあるかもしれません」


「連れていくかは、反応を見てからだね」


「いきなり危ない場所に連れ出すつもりはありませんよ。まずは相談です」


 ノエラは好奇心が強い。

 だが、だからといって何でも巻き込んでいいわけではない。

 そこは話してから決めればいいだろう。


「では、ひとまず次は二つですね。殿下への返事と、ノエラへの相談です」


「忙しくなりそうだ」


「ええ。でも、ようやくカケラが見えてきましたね」


 リーネは書き終えた紙をくるりと丸めた。

 その表情は薄く笑みを浮かべているようにも見えた。


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