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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第四幕 王都の闇編

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第5話 魔石と騎士団

 しばらく話をして、アリアとカナックの緊張も落ち着き、本題であった孤児院のこれからについても話し合いが終わった頃だった。


「失礼いたします。カナック様、お約束のお客様がお見えです」


 従業員が扉を開けて声をかけてきた。


「ああ、もうそんな時間ですか。すみません、どうやら次の会合の時間のようでして」


「あ、はい。では、私たちは今日のところはこんなところで……」


「ええ、またいつでも来てください。本当に……いつでも……」


 そうして、二人の初対面は終わった。


(これからは私が出るまでもありませんね)


 あとはお若い二人に任せて……というところだろう。

 カナックの方がよっぽど歳上だが、リーネとしてはそんな気持ちだった。


 そうして、商会を出るために従業員に案内されて、廊下へ出た。

 その時、廊下の向こうから見覚えのある顔が近づいてきた。


「おや、ノエラ?」


「……リーネ様?」


 リーネのことを見て、目を丸くしたノエラは、少し早足になりながら近づいてきた。


「な、なぜリーネ様が!?」


「ふむ、どうやら入れ替わりだったみたいですね」


 カナックが言っていた客人というのは、ノエラのことだったのだろう。

 突然のことに、リーネたちの案内役もノエラの案内役も、戸惑っているようだ。


「……どうかされましたかな?」


 何事かあったのかと、カナックが扉から顔を出した。


「ええ、少々、知り合いに会いまして」


 リーネが振り返りながら答えた。

 ノエラもそれに合わせてカナックに顔を向けた。


「ごきげんよう」


「どうも商会長のカナックと申します……ユランシエル家のノエラ様ですね。ようこそお越しくださいました。お二人はお知り合いだったのですか?」


「ええ、学園の友人です」


「ノエラ・ユランシエルですわ。失礼いたしました、少々驚いてしまって」


 ノエラが軽く頭を下げた。


「いえいえ……ささっ、どうぞこちらへ。リーネ様たちは……」


「すみません、不躾なお願いなのですが、リーネ様たちに同席していただいてもかまいませんか?」


「えっ?」


 急にそんなことを言い出したノエラに、これまで黙っていたアリアが驚いたような顔でノエラの顔を見た。

 そもそも、アリアとしては全く状況が掴めていないのだろう。


「ふむ……私どもとしては問題ありませんが……」


「でしたら、お願いいたしますわ。リーネ様たちも……お願いします」


(ふむ……ノエラがわざわざそんなことを言い出したということは、何か話したいことがあるということですよね)


 ノエラが意味もなくそんなことするとは思えない。


「ええ、私は大丈夫です。アリアは……先に帰っていてもいいですが」


「……いえ、私もリーネさんと一緒にいます」


 アリアは少し考えたあとに、そう答えた。


「でしたら、どうぞ。同じ部屋になりますが……」


 カナックに促され、今度は三人で部屋の中へ戻ることになった。

 先程も座ったソファに座り、ノエラがリーネの隣に座るなり、小声で囁いてきた。


「……リーネ様、なんで商会にいるんですの?」


「ただの友人の付き添いですよ。ノエラこそ、何しに?」


「魔石の取引ですわ。最近、天然魔石が減っていて困っていますの」


「ああ……例の件での影響ですね」


「ええ。このままだと新しい魔道具の開発に響きますので」


「なるほど……あ、こちらはアリア。前にお話したシスターです?」


「あっ、あなたが例のアリアさんですの!?」


 ノエラが勢いよくアリアの方を向いた。

 アリアがわずかに肩を揺らした。


「こ、こんにちは。アリアと申します」


「ノエラ・ユランシエルですわ。お会いできて嬉しいですわ!」


「ノエラ。少し勢いが強いですよ」


「失礼しましたわ。しかし、リーネ様のご友人ということは私とも友人になれるかもしれませんわね!」


「あ、はい……よろしくお願いします?」


 そう言いながらも、ノエラはなんだか嬉しそうだった。

 対して、アリアは戸惑いが隠せていない。


(まあ、でも、私の数少ない友人が仲良くなるならそれに越したことはないですね)


 いずれきっとアリアもノエラに慣れるだろう。どれだけ時間がかかるかはわからないが……



「ふむ……天然魔石の件ですが」


 改めて、打ち合わせが始まりノエラが尋ねてきた理由を話した。


「本来であれば、騎士団が討伐した魔物から魔石を我が商会が扱っているのですが……ただ、最近はそちらも少々厄介でして」


「厄介、ですか?」


「ええ。王都周辺の魔物が以前より強くなっていると聞いています。討伐自体が難航しているようで、魔道具も多く使用していてそちらでも結構な量の魔石を使っているのです」


(魔物が強くなっている……?)


「そんなに影響が出るほどですの?」


 ノエラが首をかしげた。


「ええ。被害も増えているそうです」


「それは……理由はわかっているのですか?」


「いえ……今のところ私の方は何も聞いておりません」


 リーネはお茶を飲みながら、黙って聞いていた。


(ここに来て、魔物が強くなっているんですか……ちょっと気になりますね)


 何かが引っかかったが、まだうまく言葉にならない。


「とはいえ、他国からの輸入などはありますので、その分を回すことはできますよ」


「ぜひお願いしますわ」


 ノエラが頷いた。

 リーネが考え事をしている間にどうやら話がまとまったようだ。


「ところで、カナックさん」


 リーネはカップを置いた。


「騎士団の討伐って、部外者でも同行できたりするんですかね」


「……ええ、実績のある方なら許可が下りることもありますが」


「そうですか」


 それだけ言って、リーネはもう一度カップを手に取った。


「リーネ様……さすがにリーネ様でも危険だと思いますわよ?」


「いえいえ、さすがに私だって理由もなくそんなことしませんよ?」


「本当ですか? リーネ様だったら、気になるからという理由でついていくと言い出しかねないと思ったのですが……」


「なるほど、それは大した理由ですね」


「駄目ですわよ!?」


 ふふっ、と笑うリーネに冗談だと思ったのか、カナックやアリアが笑った。

 しかし、リーネが割と本気で検討しているということを、ノエラはきっと気がついていたに違いない。


 


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