↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
9/34

第9話 仲間を2人失った第7小隊に新しい隊員が来たので、5人でまた地表へ向かいます

セナは死亡。


ガンツは未帰還。


それでも第7小隊には、次の任務が来ます。


そして今回。


新しい隊員が加わります。

了解。第9話も、「濃口版だから短く」ではなく、普通に読みやすい小説として整える。


この回はグレン加入回だから、特に


* キョウジの武器改修

* 空いた第7小隊にグレンが入る

* ガンツの後任ではないこと

* グレン自身も第13小隊を失っていること

* 新しい5人で初任務へ向かう


この流れが自然に入るようにする。


第9話 仲間を2人失った第7小隊に新しい隊員が来たので、5人でまた地表へ向かいます


48時間の待機期間が終わる前日。


キョウジはネオ・ヘイヴン中層の整備区画にいた。


目的は、アークブレードの調整だった。


「これ1つでこの値段か……」


作業台の上には、新品の発振制御ユニットが置かれている。


かなり高い。


値札を見るたびに、買うものを間違えた気さえしてくる。


『先月も同様の発言を記録しています』


ミオの声が聞こえた。


「思い出させなくていい」


『今回は前回より高額です』


「もっと悪いじゃないか」


キョウジは古い制御ユニットを外し、新しいものへ交換していく。


ただし、アークブレード本体のフレームはそのままだった。


長年使っている旧型。


すでに何世代も前の規格だが、キョウジにとっては手に馴染んだ武器だった。


横から作業を見ていたバルドが呆れたように言う。


「まだそのフレーム使うのか?」


「まだ使える」


「新型が3つも出てるぞ」


「知ってる」


「知ってて使ってんのかよ」


「手に馴染むんだ」


バルドが鼻を鳴らした。


「新しい制御器だけ突っ込んで壊れても知らんぞ」


「壊れたらまた持ってくる」


「だから嫌なんだよ」


そう言いながらも、必要な工具はちゃんと貸してくれる。


いつものことだった。


最後の端子を接続し、キョウジはアークブレードを持ち上げる。


起動。


青白い発振光が素早く集まり、刃を形成した。


以前より立ち上がりが明らかに速い。


『起動速度の改善を確認。出力も安定しています』


「いいじゃないか」


『ただし、旧型フレームとの組み合わせは推奨構成外です』


キョウジは嫌な顔をした。


「使えないとは書いてなかった」


『そういう解釈をする隊員は少数です』


「明日使えば分かるさ」


『その前に壊れないことを推奨します』


「縁起でもないこと言うな」


         ◇


第7小隊の待機室へ戻ると、カイ、リオ、ユーリの3人がすでに集まっていた。


中央のテーブルには、翌日の任務区域が表示されている。


旧ハルシオン北西部。


広域探索。


そして、その少し離れた場所にはC-12も表示されていた。


ただし、第7小隊が見つけた未登録経路だけは、探索範囲から綺麗に外されている。


ユーリもそこを見ていた。


「やっぱり入ってないですね」


「ああ」


「あそこ、俺たちが見つけたのに」


「第2小隊へ引き継がれた」


キョウジは地図を切り替える。


「今は明日の仕事だ」


ユーリは少し黙った。


以前なら、もう少し食い下がっていたかもしれない。


だが今回は、しばらくしてから小さく頷いた。


「……分かってます」


「ならいい」


翌日の目的は、C-12で遭遇した《変異指揮種》と同様の個体が、別の区域にも存在するかどうかを確認することだった。


同時に、アバレントの分布も調査する。


見つけても無理に戦わない。


深追いもしない。


記録を持ち帰ることを優先する。


前回の任務を経験した今となっては、誰もその方針に異論はなかった。


ユーリが地図を見ながら言う。


「今度こそ、普通に帰ってきたいですよ」


カイが頷いた。


「それは俺も同感だ」


その時。


待機室の扉が開いた。


入ってきた男を見て、最初に目を引いたのは体格だった。


大柄な男。


だが、それ以上に目立つものを背負っている。


ハルバード型アークブレード。


そして反対側には、巨大なシールド型アークブレード。


リオが思わず声を漏らした。


「……大きい」


男は室内へ入り、4人を見た。


「第7小隊で間違いないか?」


「ああ」


キョウジが立ち上がる。


「俺が隊長のキョウジ・キサラギだ」


男は頷いた。


「グレン・バルディス」


少し間を置く。


「本日付で、第7小隊へ配属になった」


「よろしく頼む」


こうして、第7小隊に新しい隊員が加わった。


4人になっていた小隊は、再び5人になった。


         ◇


グレンが大型シールドを床へ下ろす。


重い音が響いた。


ユーリがすぐにそこへ目を向ける。


「それ、アークブレードなんです?」


「ああ」


「ハルバードも?」


「ああ」


「両方?」


「必要なら」


ユーリが一瞬黙る。


「同時に?」


「使う」


今度は本当に言葉を失った。


リオも盾を見る。


「ガンツの盾だけでも重そうだったのに……」


その名前が出た瞬間、空気が少し変わった。


グレンが壁際へ目を向ける。


まだ認証表示だけが残っている。


ガンツ。


セナ。


「前の隊員か?」


「ああ」


キョウジが答える。


「前の任務でな」


グレンはそれ以上聞かなかった。


代わりに、ユーリがまた盾を見る。


「これ、1人で使うの大変じゃないです?」


「慣れている」


「最初から?」


「いや」


グレンは真顔で答える。


「最初に持った時は腰を痛めた」


ユーリが目を丸くした。


「え?」


「3日動けなかった」


ユーリが吹き出す。


リオも笑った。


カイまで口元を緩めている。


「いや、もっと最初から平然と持ってた人かと思ってました」


ユーリが言う。


「そんな人間はいないだろう」


「グレンさん見てると、いそうなんですよ」


「そうか?」


本気で聞いているらしい。


その反応で、また笑いが起きた。


ほんの少しだけ。


第7小隊の待機室に、久しぶりに軽い空気が戻った。


         ◇


カイが立ち上がった。


「副隊長のカイ・ヴェルナーです」


グレンと握手を交わす。


「明日の経路は俺がまとめています」


「助かる」


そのままカイの視線が、グレンの装備へ移った。


「第13小隊でしたよね?」


グレンの動きが、僅かに止まる。


「ああ」


それだけ答えた。


だが、少しして続ける。


「俺以外は、もういないがな」


誰もすぐには言葉を返せなかった。


グレンも、それ以上は説明しなかった。


第7小隊は、前回の任務で2人を失った。


そして新しくやってきたグレンも、自分の小隊を失っている。


キョウジは地図を開いた。


「明日の話をしよう」


グレンも中央のテーブルへ近づく。


「ああ。それを聞きに来た」


         ◇


翌日の任務目的を、もう一度全員で確認する。


変異指揮種と同様の個体が存在するか。


アバレントの分布に変化がないか。


探索区域は広い。


グレンが地図の端まで確認した。


「全部回るなら、かなり歩くな」


「全部にこだわるつもりはない」


キョウジが答える。


「地表じゃ、予定通りにいかない方が多い」


誰も反論しなかった。


前回。


6人で地表へ出た。


帰ってきたのは4人。


全員、それを十分すぎるほど知っている。


グレンが聞いた。


「変異指揮種を見つけた場合は討伐するのか?」


「いや」


キョウジは首を振る。


「記録を優先する。無理に仕留めない」


「分かった」


「危ないと思ったら引く。今回はそれでいい」


グレンは地図を見ながら頷いた。


         ◇


翌朝。


地表接続区画に、第7小隊の5人が揃っていた。


キョウジ。


カイ。


リオ。


ユーリ。


そして、新しく加わったグレン。


認証表示にも、5人の名前が並んでいる。


ユーリはまたグレンの装備を見ていた。


大型シールド。


ハルバード。


どちらも持っていくつもりらしい。


「やっぱり両方持っていくんですね」


「そのために持ってきた」


「見てるだけで肩凝りそうだな……」


「なら見なければいい」


ユーリが首を傾げる。


「そういう話になります?」


キョウジが割り込んだ。


「本人が持てるって言ってるんだからいいだろ」


「隊長まで」


「お前だって好きでアンカー使ってるだろ」


ユーリが自分の武器を見る。


「……まあ」


「なら同じだ」


その横で、リオがグレンの盾を見る。


「でも、前にいてくれるなら助かりそう」


少しだけ声が小さくなる。


「ガンツがいなくなってから、やっぱり不安だったから」


グレンがリオを見る。


それからキョウジへ視線を向けた。


「ガンツというのが、前に盾を使っていた隊員か?」


「ああ」


キョウジが答える。


「頼りになる奴だった」


「そうか」


グレンはそれ以上言わなかった。


代わりにはならない。


グレンはガンツではない。


だが、今日からは第7小隊の仲間だ。


         ◇


昇降機が地表へ向かって上昇していく。


今回の目的地は、旧ハルシオン北西部のE-17。


『現在確認されているアバレント反応は9体です』


ミオが報告する。


ユーリが地図を見る。


「昨日より増えてません?」


『3体追加されています』


さらにミオが続ける。


『地中にも断続的な反応があります』


カイが眉を寄せた。


「地中ですか。少し面倒そうですね」


「地形も当てにしすぎるな」


キョウジが言う。


「現地で経路を決める。勝手に先へ出るなよ」


ユーリがこちらを見る。


「俺を見て言ってません?」


「心当たりあるのか?」


「あります」


「じゃあお前だろ」


「そこ否定してくださいよ」


カイが笑う。


リオもつられて笑った。


そして。


グレンまで僅かに口元を緩める。


ユーリはすぐに気づいた。


「今、笑いました?」


「いや」


グレンは顔を逸らした。


「笑っていない」


「絶対笑いましたよね?」


「気のせいだ」


キョウジはため息をつく。


「馴染むの早いな」


グレンが振り返る。


「俺がか?」


「ユーリが勝手に絡んでるだけだ」


昇降機の中の空気が、少しだけ軽くなった。


         ◇


やがて昇降機が減速を始める。


『地表接続層へ到着します』


ミオの声。


『外気温マイナス18度。風速毎秒7m。視界は約30mです』


5人がそれぞれ装備を確認する。


グレンは大型シールドを持ち上げ、ハルバードにも手を掛けた。


キョウジは開く前の隔壁を見ながら声をかける。


「グレン」


「なんだ?」


「初日だからって、無理に俺たちへ合わせなくていい」


グレンがこちらを見る。


「こっちも、お前の戦い方をまだ知らない。やりづらかったら言え」


「ああ。俺もその方が助かる」


「それと」


キョウジは大型シールドを見る。


「全部受けようとするな。無理なら退け」


グレンは少し考えた。


「それは相手を見て決める」


キョウジが笑う。


「十分だ」


隔壁が開き始める。


地表の冷気と雪が、昇降機の中へ流れ込んできた。


その向こうには、灰色の空に覆われた旧市街が広がっている。


『周辺に敵性反応なし』


ミオが確認する。


『第7小隊、地表接続を確認しました』


キョウジは新しい4人を見る。


カイ。


リオ。


ユーリ。


グレン。


昨日までとは違う5人。


「よし」


アークブレードへ手を掛ける。


「行こう」


第7小隊は、新しい5人で地表へ踏み出した。

お読みいただきありがとうございます!


新隊員――


グレン・バルディス。


ハルバート。


そして大型盾。


自分以外の第13小隊員を失った男です。


第7小隊は、新しい5人で再び地表へ。


次の探索区域は――


北西ブロックE-17。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。