第33話 仲間を傷つけられた怒りで、絶対に倒せないはずの超大型ボスを力ずくで沈めることにしました
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第9小隊の絶体絶命の危機に駆けつけたキョウジたち第7小隊。
仲間を無残に奪われた怒りを胸に、キョウジと満身創痍のシオンが共闘!
難攻不落の超大型ボス「鎧顎型」の弱点を暴き、渾身の連携でぶっ叩く討伐戦です。
そして戦いの後、酒場に寄り添うヴァルカの優しさ――。
テンポ最速&感情直撃の濃口スタイルでどうぞ!
「遅くなった。あとは任せろ」
俺がシオンの前に立つと、周囲の雑魚(群牙型)どもがギョッとして足を止めた。
『第7小隊と第9小隊、ニューラルリンク接続!』
ミオとアイラ、2人の優秀なオペレーターの連携で、敵のデータが一瞬で共有される。
『敵大型個体・鎧顎型の弱点データを転送します!』
「助かる! まずは邪魔な雑魚掃除だ!」
突っ込んできた群牙型の下顎を、俺のアークブレードが下から一閃!
豆腐みたいに首を切り落とす。
「カイ、右!」
「おうよ!」
カイの蛇腹剣がギュルルンと唸りを上げて伸び、右から回り込もうとした雑魚の足をまとめて刈り取る。
体勢を崩したところへ、俺の刃が吸い込まれるように首を刎ねた。
「……随分減らしてくれたじゃない」
後ろでシオンが息を荒らげながら苦笑いする。
右腕は血まみれ、脇腹も折れてるっぽいのに、相変わらず強気なやつだ。
「お前は下がって休んでろ」
「簡単に言ってくれるわね」
「休むのが下手くそなのは知ってるよ」
「……いつからそんなに詳しくなったのよ」
軽口を叩き合いながらも、リオとセラが瀕死のノエルの止血を急ぐ。
「左腕欠損、側頭部裂傷! でも脈はある!」
「任せて、私がここを押さえるから!」
リオが引き継ぎ、後方はグレンが鉄壁のシールドで完全にガード。
「こっちは通さん。怪我人を頼む!」
よし。
これで心置きなく、目の前のデカブツを料理できる。
◇
ズズゥゥゥンッ!
超大型ボス『鎧顎型』が、全身の岩盤装甲を軋ませて俺たちに向き直った。
「グレン、正面止められるか!?」
「どこまで持つかは分からんが――やってみるさ!」
グレンが腰を落とし、大盾を構える。
ドガァァァァァンッ!!
猛烈な激突音!
雪煙が四方に爆発し、グレンの足がズリズリと雪にめり込む。
「ぐっ……! さすがに重ぇな……!」
「今だ!」
怪物の意識がグレンに釘付けになった瞬間、俺は側面に回り込み、第9小隊がつけてくれた腹の傷口へアークブレードを深々と突き立てた!
ギャオォォォォンッ!!
怪物がたまらずのけぞる!
そこへグレンのハルバートが右後脚をえぐり、カイの蛇腹剣が足元を切り刻む!
『右後脚に重大なダメージ! 動作に遅延発生!』
「第9小隊が削ってくれたおかげだな!」
だが、頭部から背中を覆う外殻はあまりにも分厚い。
普通に殴っても刃が通らない。
その時――怪物が大きく右へ傾いた瞬間、首の継ぎ目がチラリと開いた。
「ミオ、今の見えたか!?」
『確認! 右へ傾いた瞬間、頭部と背部の装甲に隙間が生まれます! ただし現在の体勢では高すぎて刃が届きません!』
「もっと頭を下げさせればいいのね」
背後から、凛とした声が響いた。
見ると、シオンがスピアを握り直して立ち上がっていた。
「シオン隊長!?」
『ダメよシオン! もう戦える体じゃない!』
「前脚を潰せば頭が落ちる。槍なら届くわ」
『ダメだって言ってるでしょ! ノエルまで失いたいの!?』
アイラの必死の叫びに、シオンの手がピクリと止まる。
でも――。
『……ミオより戦術更新。右前脚への荷重が最大になった瞬間に関節を破壊すれば、首の隙間が完全にキョウジ隊長の射程に入ります』
ミオが完璧なタイミングでアシスト情報を叩き込んできた。
「アイラ」
シオンがスピアを構え直す。
「大丈夫なんて言わないわ。……でも、約束する。ちゃんと生きて戻るわ」
『…………うん! 狙うなら、右前脚が接地した瞬間よ!』
俺はシオンにニヤリと笑いかけた。
「まだやれるか?」
「当たり前でしょ! 誰に言ってんのよ!」
「よし、右前脚を頼む! 関節をブチ抜いてくれ!」
「言われなくてもッ!」
◇
作戦開始。
怪物が俺目掛けて突っ込んでくる!
激突の直前、俺は身を翻して左へ回避!
空振りした怪物の右側にリオが飛び込み、双剣で注意を引く!
カイの蛇腹剣が地面を這い、踏み込み位置を限定させる!
怪物は逃げ場を失い、傷ついた右前脚に全体重をドシンと乗せた。
――今だ!!
「沈みなさいッッ!!」
疾風のように飛び込んできたシオンが、痛む体ごと全体重を乗せてスピアを突き立てた!
バキィィィィィンッ!!
青白い刃が、右前脚の関節の継ぎ目を粉々に粉砕する!
「グガァァァッ!?」
さらにグレンが渾身のハルバートで残った右後脚を薙ぎ払う!
支えを完全に失った超巨大な体が、ドォォォンと右へ盛大に崩れ落ちた。
地面すれすれまで落ちてきた頭部。
その首元――パックリと開いた、無防備な継ぎ目。
「よくやった、シオン!!」
俺は一瞬で間合いを詰めた。
アークブレードの発振出力を限界まで引き上げる。
「――ぶっ壊れろッッ!!!!」
ズバシュゥゥゥゥゥッッ!!!!
青白い光刃が、怪物の首の奥深くまで一気に吸い込まれた。
ビクビクと激しく痙攣する巨体。
やがて前脚から力が抜け、巨木を何本も巻き込みながら完全に動かなくなった。
『……対象の生命反応、完全停止。鎧顎型の討伐を確認!』
ボスが沈んだのを見た群牙型の生き残りどもは、悲鳴を上げて森の奥へと散り散りに逃げ出していった。
「追うな! 負傷者の搬送を最優先するぞ!」
俺の号令で、全員が武器を納めた。
静まり返った雪の森。
怪物の死骸の奥で――雪に埋もれていた細いワイヤーが目に入った。
その先に、フィルがいた。
グレンが無言で怪物の死骸をどかしていく。
血まみれのワイヤー。砕けた武器。
グレンは自分の防寒外套を脱ぐと、そっと身体に被せ、そのまま両腕ですくい上げた。
大柄なグレンの腕の中で、フィルの体は信じられないくらい小さかった。
「シオン隊長!」
リオが顔を上げる。
「ノエル、生きてます! すぐ戻れば絶対に助かります!」
「……そう」
シオンは意識のないノエルを見つめ、それからグレンに抱かれたフィルへ目を向けた。
「……帰ろう」
絞り出すような声とともに、俺たちは地下都市への帰路についた。
◇
数時間後。
ネオ・ヘイヴン中層、薄暗い酒場のカウンター。
包帯を巻いたシオンが、グラスを両手で包んだまま俯いていた。
中に入った大きな氷が、カランと小さく揺れる。
その隣には、第8小隊の豪快な隊長・ヴァルカが座っていた。
「……飲みな」
ヴァルカがそっとグラスを寄せる。
「あんまり自分を責めるんじゃないよ。あんたは本当によくやったさ」
シオンの手が、ぎゅっとグラスを握りしめた。
戦場では張り詰めていた感情が、今になって胸を押し潰す。
フィルの死。
重傷のノエル。
自分の判断がもっと早ければという後悔。
ポタ、とグラスの琥珀色の酒に波紋が広がる。
シオンの肩が、小さく震えていた。
ヴァルカは何も言わず、ただ静かに隣に座り、自分の酒を傾けていた。
第33話をお読みいただきありがとうございました!
第9小隊と第7小隊の怒りのフル連携!
シオンの決死の一撃から、キョウジのトドメの一閃で超大型ボスを見事撃破!
しかし、その代償はあまりにも大きく……フィルの死という過酷な現実が突きつけられました。
ラストの酒場、言葉少なに寄り添うヴァルカの姐御肌が染みますね。
「キョウジとシオンの連携熱すぎ!」「フィル安らかに……」「ヴァルカさん優しい、惚れる」「ここからの巻き返しに期待!」など、胸を打たれた方は、
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