第32話 他部隊が絶望的な包囲で全滅しかけていたので、雪原を爆走して救入することにしました
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今回は「俺」視点をベースにしつつ、第9小隊を襲った絶望的な地獄絵図、そして各部隊の熱すぎる連携を、テンポ最速&感情直撃のなろうスタイルでお届けします!
フィルの壮絶な最期、追い詰められたシオンたちの絶体絶命の危機。
そこに全速力で駆けつけたのは――!?
疾走感全開の第32話、どうぞ!
「ミオ、あとどれくらいだ!?」
『救援地点まで残り4.1キロです!』
雪煙を巻き上げながら、俺たちは廃道を全速力で爆走していた。
呼吸が凍りつくような極寒の中、足音と装備の擦れる音だけが響く。
『現地の生体反応、さらに急増中! コード4発信時よりも敵の群れが膨れ上がっています!』
「クソッ、増えてやがるのか! アイラに繋げ!」
『アイラとの回線は維持していますが、交戦が激しすぎて会話不能です!』
「『第7小隊が全速力で向かってる』ってのだけ伝えてくれ!」
『了解!』
シオン、絶対に死ぬなよ……!
◇
俺たちが救難信号を受け取る、数時間前。
第9小隊長・シオンたちは、外縁の深い森へと足を踏み入れていた。
「ビーコンの破壊痕、完全に何かに噛み砕かれてるわね……」
シオンがスピアを構えた、その時だった。
『シオン、敵よ! 3……いや、10、20! まだ増えてる!』
オペレーター・アイラの悲鳴のような声とともに、森の奥から無数の赤い眼光が浮かび上がった。
未知の変異種――『群牙型』。
全身を硬い鱗で覆い、異様に裂けた大顎を持つ凶暴な獣の群れだ。
「セラは高所から狙撃! フィル、ワイヤーで足止め! ノエルは私と前へ!」
シオンの鋭い号令で、第9小隊は即座に応戦した。
シオンの槍が先頭を貫き、ノエルの細剣が眼窩を刺し貫く。フィルのワイヤーが群れを狭い通路へ追い込み、セラの光矢が頭部を正確に撃ち抜いていく。
だが――敵の数が異常だった。
『ダメ、北からも流入してる! すでに30体を超えてるわ! シオン、一度退いて救援を呼んで!』
「まだよ! 今背中を見せたら一瞬で飲み込まれる!」
その時だった。
ズズゥゥゥン……! と地面が激しく揺れ、巨木がなぎ倒された。
現れたのは、全長6メートルを超える超巨大な怪物――『鎧顎型』。
全身を分厚い岩盤のような外殻で固め、全てを噛み砕く巨大な顎を持つ絶望の化け物。
「なっ……グリズ級以上の外殻……!?」
鎧顎型は暴れ回り、フィルの張ったワイヤーを鉄骨ごと力任せに引きちぎる!
『シオン、もう無理よ! コード4を出して!』
「まだ立て直せる! 腹を狙って隙を作るわ! ノエル、いける!?」
「立ってくれれば、なんとか……!」
怪物が上体を起こした瞬間、ノエルが死角から懐へ飛び込んだ!
細身の刃が、外殻のない脇腹へ深々と突き刺さる!
「効きましたよぉっ!」
だが――怪物の反応速度は、ノエルの予想を遥かに超えていた。
巨体が恐ろしい速度で捻られ、巨大な顎がノエルを左肩ごと丸呑みにした。
「ノエルッッ!!」
シオンが狂ったように槍を怪物の口内へ突き立て、無理やり顎をこじ開ける!
吐き出されたノエルを受け止めた瞬間、シオンの息が止まった。
左腕は肩から千切れ飛び、側頭部は血に染まり、すでに意識はない。
「脈はある! でも出血が酷すぎる!」
セラが必死に止血材を押し当てる。
「フィル、セラの周りを守りなさい!」
「任せて……っ!」
フィルがワイヤーを乱舞させ、殺到する群牙型を必死に食い止める。
だが、セラの援護射撃がない状況で、たった一人で数十体を抑えられるはずがなかった。
背後から飛びかかった怪物の尾が、フィルの足を払う。
雪原に倒れ込んだフィルへ、無数の牙が一斉に群がった。
「フィルッッ!!」
シオンが駆け出そうとするが、鎧顎型が立ちはだかり、大顎が足元を噛み砕く。
「やめろ……フィルを……フィルを返せぇぇぇッ!!」
シオンが必死に槍を叩きつけるが、岩盤のような装甲に弾かれる。
群れの中から、フィルの短い悲鳴が響き――通信リンクから、彼女の生体反応が完全にロストした。
フィルの左手から、青白い武器の光がプツリと消える。
「ああああああああああああああッッ!!」
シオンの喉から、絶叫が引き裂かれるように溢れ出した。
後悔と絶望で視界が涙で滲む。
もっと早く判断していれば。自分が意地を張らなければ。
「アイラァッ!! 救援要請……コード4ッ!!」
◇
その通信は、地上の各部隊へと一瞬で駆け巡った。
水没地区で大型種と交戦中だった第3小隊のレイジ。
『コード4だと!? 一番近いのは誰だ!?』
『第7小隊ですが、それでも4キロ以上離れてます!』
「心配すんなノア! キョウジなら絶対に行く! あいつはそういう男だ! 俺たちは目の前を秒で片付けるぞ!」
地下本部にいた第8小隊のヴァルカ。
「第8、出るよ!」
『ヴァルカ隊長、今からじゃ間に合わない可能性が――』
「間に合うかどうかは着いてから考えるんだよ! 昇降機を回せ、走るよッ!」
◇
そして――第9小隊の現場。
シオンは満身創痍だった。
鎧顎型の一撃を受け、脇腹の骨は軋み、呼吸するたびに激痛が走る。
背後には瀕死のノエルを抱えるセラ。
フィルを食い殺した群牙型たちが、口元から血を滴らせてシオンたちを取り囲んでいた。
「ほら……かかってきなさいよ……!」
シオンは震える手で槍を構え直す。
鎧顎型が咆哮を上げ、雪を蹴って突進してきた。
左右からは無数の群牙型。
完全に逃げ場はない。
(ああ……ここまで、なの……?)
シオンが覚悟を決め、目を閉ざしかけた――その瞬間だった。
――ズバァァァァァァッッ!!!!
眩い青白い光刃の嵐が、薄暗い森を一瞬で切り裂いた。
突進してきた群牙型が、悲鳴すら上げることなく空中で両断される!
雪煙を突き破り、鮮烈な軌跡を描いて飛び込んできた人影。
――キョウジだった。
息を乱し、肩を上下させながらも、その切っ先は微塵の揺らぎもなく巨大な化け物を捉えている。
「グレン、背後を固めろ!」
「任せろ!」
「リオ、負傷者を回収!」
「了解です!」
「カイ、周囲の雑魚を散らせ!」
「おうよ!」
ドォォォンッ! とグレンの巨大シールドが怪物の突進を真正面から受け止め、リオとカイが瞬く間にシオンたちの周囲に絶対防御の陣形を敷いた。
雪の上に横たわるノエルの凄惨な傷、そして群れの奥で動かなくなったフィルの残骸を、キョウジは視界の端で捉えた。
何が起きたのか、誰が悪いのか、そんな無駄な問い詰めは一切しない。
キョウジは傷だらけで震えるシオンの前に立ち、アークブレードを構えた。
「キョウジ……」
シオンが呆然と呟く。
「遅くなって悪かった」
青白い刃が、目の前の巨大な鎧顎型へと向けられる。
「――あとは、全部俺たちに任せろ」
第32話をお読みいただきありがとうございました!
第9小隊を襲ったあまりにも非情で過酷な現実……フィルの死とノエルの重傷。
絶体絶命の危機に、全速力で駆けつけたキョウジたち第7小隊!
「あとは任せろ」の安心感と頼もしさが半端じゃない引きとなりました!
仲間を無惨に奪われた怒りを込めて、次回、キョウジたちがこのバケモノどもを文字通り叩き潰します!
「キョウジかっこよすぎる!」「鳥肌立った!」「フィル仇を討ってくれ……!」「全滅させろ!」など、熱い感情が湧き上がった方は、
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