表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/39

〇危険察知スキル全開! ……からの、ダンプカーサイズ猪のお目覚め

 

 大融解ザ・メルトから数年。

 海に沈みかけた旧東京エリアの片隅で、(アッシュ)は一人で生き延びていた。


「……アンモニア臭、それに硫化水素。前方30メートルに腐敗ガス溜まり。右の通路には、未知の真菌カビの胞子群」


 俺の感覚(スキル)が、警報をガンガンと鳴らしている。

 俺のスキル『危険察知』は、魔法なんて大層なものじゃない。大融解前、食品衛生局の検査官として、ありとあらゆる食中毒やバイオハザードの現場を見てきた経験と、ウイルス変異によって過敏になった「交感神経の悲鳴」だ。

 この能力のおかげで、俺は「ヤバいものから逃げる」ことだけは誰よりも上手かった。


 今日潜入したのは、旧自衛隊の『特殊糧食生産・研究施設』の廃墟。

 目的はただ一つ、賞味期限切れの安全な缶詰(ドッグフードでも可)を見つけることだ。


「よし、このルートなら安全……」

「おっ、そこのお兄さん! ちょっと手伝ってくれない?」


 安全確認をした直後、天井のダクトから、派手なピエロメイクしてビジカジスーツ姿の男が降ってきた。

 男はニヤニヤ笑いながら、目の前の巨大な隔壁の電子錠をいじっている。


「なんだお前は!? 俺に構うな、死にたくない!」

「つれないねぇ。俺はジョーカー。昔、こういう無駄に堅牢なシステムを設計してた社畜の成れの果てさ。ねえ、この奥に『陸海空特殊軍用キャンピングカーのプロトタイプ』があるんだけど、配線ショートさせるから、そっちのレバー引いてくれない?」


 ジョーカーと名乗る男は、迷いなくショートさせた配線を素手で掴んだ。


「バカ! お前が触ってるの、高圧電流のフェイルセーフ回路だぞ!」

「大丈夫だって! 人生なんてバグだらけのクソゲーなんだから、フラグは折れる時に折っとか……バチィィッ!!」


 ジョーカーが感電して吹っ飛ぶと同時に、けたたましいサイレンが鳴り響き、施設の巨大な隔壁がゆっくりと開き始めた。


『警告。隔離セクターのロックが解除されました。実験体M-01が解放されます』


「ジョーカーてめぇぇ! 何を開けやがった!!」

「いやー、アハハ! 開いちゃった☆」

「開いたっちゃじゃねーよ! 実験体ってなんだぁっ」

 開いた隔壁の奥から、ズシン、ズシンと重い足音が響く。

 現れたのは、ダンプカーサイズの巨大なイノシシ。

 全身が有毒な古代菌の粘膜の鎧を纏ったバイオハザードの権化。

 『厄災猪カラミティ・ボア』だ。


「ブモォォォォォォッ!!(訳:誰だ俺の昼寝を邪魔したのは)」

「終わった……。俺の生存記録、今日で終了……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ