13.「決戦(その1)」
「脱獄!? じゃあ、全ての元凶!?」
三メートルほどの漆黒の悪魔に対して、僕は問い掛ける。
「儂は大したことはしておらんのじゃ。あの人間を脱獄させ、この儂のダンジョンに呼び寄せ、モンスターを喰らってその力を複製しろと促し、あとはモンスター化する呪いの力を授けたくらいじゃのう」
とんでもないことを言う。
「元凶じゃないか! 許せない! うおおおおおッ!」
空中に制止する悪魔に対して、僕は跳躍して左腕を食わせんとするが。
「マズいのう。要らんのじゃ」
「なっ!?」
口内に入れた、かなりの推進力を持つ左腕を、悪魔はペッと吐き出した。
「お返しじゃ」
「ぐはっ!?」
デコピンされて僕は吹っ飛ぶ。
「サク君! よくもサク君を! 『聖光』!」
「ハッ! サクを傷付けるたぁ良い度胸してるし! あーしがぶっ潰すし! 『聖炎』!」
「サクサクに怪我させるとか、万死に値するの! 『精霊光矢』!」
ソウを倒す際に大きな力となったミシロたちの攻撃は。
「鬱陶しいのう。ほれ」
「え!?」
悪魔が無造作に翳した手から放出された漆黒の光線によって相殺された。
「そ、それなら! ふっ!」
「肉弾戦に持ちこむだけだし! おらああああッ!」
「食らえなのッ!」
三人が長剣で、棍棒で、そして矢で悪を撃ち滅ぼさんと地を駆け、弓を引くが。
「それが人間の限界かのう。ほれ」
「きゃああああッ!」
「うわああああッ!」
回避すらせず、全て身体で弾いた悪魔は、僕に対して行ったのと同じくデコピンでミシロとルリを吹っ飛ばした。
「サクタロウ君、ごめんね。ボクも参戦させてもらうよ。はあああああッ!」
カエを地面に寝かせたビクトさんが跳躍、雷魔法を纏わせた魔法剣で攻撃を仕掛けるが。
「良い筋してるがのう。儂には効かんのう」
「がはっ!?」
やはり避けようともしない悪魔の身体で剣を弾かれた後、デコピンで反撃された。
「ヘビーな相手ね! でも、任せて!」
「誰だろうが関係ない。倒すのみ。『アイシクル』」
「強敵ね。でも、私倒すね」
また地中を通って巨大な結界の壁を超えてこちら側に来たらしい外国人部隊のメリカ・シアン・リンリンが、戦斧・氷魔法・大量の魔力で覆った拳による殴打でダメージを与えんとするが。
「その程度かのう。残念だったのう」
「ぐぁっ!?」
「がぁっ!?」
「ぐはっ!?」
やはり回避すらしない悪魔が、指一本で彼女たちを返り討ちにし、また、シアンに対しては指弾による遠距離攻撃で吹っ飛ばした。
「誰が攻撃しても、通らない……こんなの、どうしろって言うのよ!?」
ミシロが唇を噛む。
「そろそろ死んでもらおうかのう」
悪魔が手を翳した。
少しずつ漆黒の魔力が集まっていく。
一体どうすれば、みんなを救える!?
考えろ! 考えるんだ!
…………………………
……そうだ!
僕は、俯いて素早く思考すると、ミシロたちに近付いて語り掛けた。
「ミシロ、ルリ、ユミ。みんなの『聖光』と『聖炎』と『精霊光矢』で、僕の身体を攻撃して」
「「「!?」」」




