第二十七節 2023/9/16 ホーム 対サンフレッチェ広島 0対2
私は本能に従うということを決めてから、世界の見え方が変わった。
今まで私はねばならぬで生きてきた。そこから解放された。
「自由ってこういうことか」
「それは、退院直後に言うセリフじゃないですか。村田さん」
「退院直後も思ったけどね。今の方が思いは強いかな」
「好きに生きるって、そんなに難しいことですか?」
「僕にとってはね。先のことや世間体ばかりを考えてしまうんだ」
「優秀だからこそだと思いますよ。私には世間体という視点がないので。村田さんは優秀で素直だから、いろんな考えを吸収している」
「そうかな」
「そうです。だから、逆に自分が分からなくなっている。だから、ヴィッセルを応援するのは、村田さんの原点に戻っているようでいいことだと思います」
「確かにね」
思い返してみると小学校の時、本当はサッカー選手になりたかった。でも、そんな叶いそうにない夢を言って、笑われるのが怖くて言えなかった。
「本能のままにやりたいことをやる」
「そう。村田さんに必要なのはそれですよ」
「じゃあ、今日は思いっきり応援したいな」
「やりましょう!応援しましょう」
試合は2点を先制されそのままだった。試合内容といい、完敗と言ってもいい内容だった。
「悔しいな!」
「そうですね!悔しいです」
「本気で応援するとこんなに悔しいってわかったよ」
「いいですね。村田さん。何だか熱い部分が出てますよ」
そうだ。確かに私は、心の中に燃える部分を持っていた。いつの間にか、人には見せなくなっていたけど。
その部分を見せることで、こんなにも開放感が得られるのだと感じた。
「残り7試合本気で応援しようね」
「そうですね」




