第十四節 2023/5/20 アウェイ 対柏レイソル 1対1
「柏レイソルって、どんなチームなんですか?」
移動時から浮かない顔の私に、小林さんが気を使うように声をかける。
「そうだね。明るい男のチームって感じかな」
「へえ」
「ゴール裏の裸率がすごく多い印象がある」
「なるほど。村田さんは裸にならないんですか?」
悪ふざけを企むような顔をしながら、小林さんが私に聞く。
「脱ぐと思う?」
「思いません。でも脱いでもいいんじゃないかとは思います」
「どう言うこと?」
「この前、村田さんに『死にたい理由が他人の言葉だ』って、言われたじゃないですか」
「そうだね」
「でも、村田さんが生きてる理由も、なんだか他人事なんです。なんだか死んじゃいけないから、生きているような感じで」
小林さんに言われ、我が身を振り返る。
「だったら、どっぷりヴィッセルにハマってしまっても、いいんじゃないかって思うんです。でも、村田さんの理性が、それはみっともないって言っているようで」
「理性がみっともないって言っている?」
「そう、本心では愛しているのに、理性で拒否している感じ」
確かにそんな節はある。
「死にたい理由が見つからない私からの、村田さんへの宿題です。生きたい理由を見つけてください」
試合は大迫のゴールで先制するものの、本多のまさかのミスパスで追いつかれることとなった。
「今日は惜しかったですね」
「本当だね・・・。ある意味貴重なものを見れたと考えるよ」
「村田くんは宿題考えてこれそうですか?」
なぜか、敬礼をしながら小林さんが言う。
「考えるよ。小林さんは宿題考えなくていいからね」
「でも、考えちゃいますね」
帰り道では、二人とも無言だった。
だが、小林さんから『生きたい理由』という言葉が、出てきたことには希望を感じさせた。
この旅で、小林さんは少し死の匂いが濃くなったかもしれない。だが、それ以上に、生へ向かう足取りが強くなったように感じた。




