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第十二節 2023/5/7 ホーム 対横浜FC 3対0

 待ち合わせで出会うなり、小林さんが謝ってきた。

「すいません。この前の死にたい理由ですが、まだ、答えが見つかってません」

 私は笑いながら答える。

「いいよ。そんなもの一生見つからなくて」

 すると小林さんが少し口を尖らせる。

「私を、理屈でねじ伏せようとしてませんか」

「そんなことをしようと思っていないよ。小林さんの目線はすごく新鮮で勉強になるんだから」

「少し、馬鹿にしてます?」

「いや、真面目な話僕の周りの人間には自分について深く考え込むような人間はいないんだ。淡々と社会のレールに乗って生きているような人間ばかり。『なぜ、生きてるのか』なんていうと、『哲学者かよ』って馬鹿にされるようなコミュニティで生きてきたんだ」

「へぇー」

「だから、僕よりも長い間そういう根源(こんげん)的なテーマを考え続けてきた小林さんの意見はすごく参考になるんだ」

「なんだか照れます」

「だから、僕の師匠のようなものだね」

「やっぱり馬鹿にしてません?」

 そんな軽口を叩きながら、自席に座る。


 試合は大迫の2ゴールを含む3ゴール。守ってもシャットアウトと、見事に快勝した。


「やっぱり行けるよ!」

「村田さんは沈んだり、浮いたり、忙しいですね」

「小林さんは嬉しくないの?」

「そりゃあ、嬉しいですよ」

「じゃあ、その気持ちを大切にしよう」

 自分で発言し、気付く。一つ一つの喜びを大事にする。そのことが『生きる』ということに、つながるんじゃないかと。

 小林さんの思いも、私の思いも、少しずつ良い方向に進んでいる。

 そんなことを思わせた。

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