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わたくしだけに魅了がかかっていた件  作者: 鈴木べにこ


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17/23

17.予想されていた結果


 三ヶ月後。


 王城の大広間には国中の貴族達が集められていた。


 重苦しい空気が漂っている。


 誰もが今日の発表を予想していた。


 王座に座る国王はゆっくりと立ち上がった。



「これより王家に関する重大な決定を発表する。」



 広間が静まり返る。


 アイルは嫌な予感を覚えていた。


 隣に立つシャーロットも不安そうな顔をしている。

 


「まず、シャーロット嬢についてだ。」



 シャーロットが顔を上げた。

 


「王太子妃適性試験の結果を報告する。」

 


 全員の視線が集まる。



「結果は――失格である。」

 


 どよめきが起きたと同時に貴族達は納得していた。


 最初から誰もシャーロットに期待などしていなかった。



「なっ!」



 シャーロットが顔を真っ赤にする。



「おかしいです!私は頑張りました!」


「努力と適性は別だ。」



 国王は冷静に告げる。

  


「王妃教育の大半を修得できていない。外交、歴史、法律、礼儀作法、政治知識、その全てが基準に達していなかった。」


「そんな・・・。」



 シャーロットの顔から血の気が引いていく。


 そして国王は視線をアイルへ向けた。

 


「次にアイル・ヨランド。」



 アイルの身体が強張った。



「お前と側近達についてだ。」

 


 側近達も顔色を変える。

 


「お前達は卒業パーティーでの婚約破棄騒動、その後の対応、そして国中に混乱を招いた責任を取らねばならない。」


「父上!」


「黙れ。」



 国王の一喝にアイルは言葉を失った。



「貴族社会の信用を失墜させた。王家の権威を傷付けた。国内に深刻な混乱を招いた。」

 


 その全てが事実だった。


 広まった噂は止まらない。


 魅了騒動。


 王家への不信。


 平民達と貴族達の対立。


 国は未だ混乱の中にあった。  



「よって。」



 国王の声が響く。

 


「アイル・ヨランド及び側近六名から全ての爵位継承権を剥奪する。」

 


 会場が騒然となる。


 アイルは目を見開いた。



「父上・・・?」


「本日をもって平民とする。」 



 シャーロットが悲鳴を上げた。  



「そんな!アイル様平民になるの!?」



 側近達も青ざめる。


 アイルは信じられないものを見るような顔をしていた。



「僕が・・・平民・・・?」



 将来は王になるはずだった。


 それが今。


 一瞬で消え去った。



「異議は認めない。」



 国王の宣言で全てが決まった。


 アイルは力なく俯く。


 もう何を言っても遅かった。


 そして、国王は最後の発表へ移る。

 


「次期王太子についてだ。」



 再び会場が静まり返る。


 誰もが予想していた名前がある。


 国王はゆっくりと口を開いた。



「第三王子バロン・ヨランド。」

 


 バロンが目を見開く。

 


「前へ。」



 バロンは静かに進み出た。


 広間中の視線が集まる。



「余はお前を次代の王に相応しいと判断した。」

 


 国王は真っ直ぐ息子を見る。



「責任感。判断力。人望。そして国を支える覚悟。その全てを備えている。」



 バロンは静かに跪いた。



「ありがたき幸せ。」

 


 国王は頷く。



「本日よりお前を王太子に任命する。」



 大広間に拍手が響いた。


 貴族達の表情は明るい。


 久しぶりに希望が見えたのだ。


 王家は立て直せる。


 そう思わせるには十分だった。


 アイルはその光景を見つめる。


 かつて自分のものだった場所に、今は弟が立っている。


 そして誰よりもその位置に相応しく見えた。


 バロンはゆっくり立ち上がる。


 その姿は堂々としていた。


 誰も異論を唱えない。


 それが答えだった。


 こうして、王太子アイル・ヨランドは王位継承権を失い平民となった。


 そして新たな王太子として。


 バロン・ヨランドの時代が始まるのであった。

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