『その指輪、セーフティにつき』
「アイッテー!アルーー!アイタタ。アルーーー!」
『何なんですか?騒々しいですね?』
「ゆ、ゆびが……」
『え?これ?指どうなってます?見た事ない色になってますね?』
「やばいやばい指輪が小さくなって、指がぶっ壊れる!」
『何したらこんな事になるんですか?どうやったら取れますか?』
「あそこにあるペンチで破壊するんだ!今すぐ!」
『はいはい。これですか?』
「違う違う!その隣のデカいやつだ馬鹿!」
『馬鹿?ふーん。馬鹿だからわからないですねー』
「!!!。あははは。馬鹿は俺に決まってるじゃないか〜。最高にイケてる天才ロボットのアルさん。そこのペンチで俺を助けてくれませんか?」
『えーっと。ペンチはどれかなーー?』
「死、死ぬ。指が取れて死ぬ」
『指がないくらいどうという事はありませんよ。でも優しい私は切ってあげます』
「神様仏様アル様!ありがとうございます!」
指輪は取れたが、痛む指を撫でている。
「いやー死ぬかと思った」
『大袈裟ですねー。でも何したらそんな事に?』
「脱力の指輪を作ってたのよ。そして試してみたら、思いの外脱力して、指輪に流れるマナが0になってな。そしたら大きさ調節機能も切れてこの通り。」
『元々小さな指輪なんですね』
「女性や子供も使えるようにな」
『女性?』
「ああ。居ないけど念の為な」
『ふーーん』
「意味深だな」
『切っちゃって良かったんですか?』
「一応予備を作ってあるから大丈夫」
『またなるのでは?』
「ダイヤル式になってるから大丈夫!」
『今回は回しすぎたんですか?』
「その通り!」
『はあ。気をつけて下さいよ』
「シャチョー!デンチの在庫が少なくなってまーす!」
店の奥からトトの声が聞こえる。
「お?よく売れてるな?今日は?」
『遠くから買い付けに来た方が多かったですね?ご主人様の商品大分遠くまで売れていってるみたいですね』
「まあ、便利だからな」
『とにかく1つの機能に特化した商品作りますよね?』
「まだみんな貧しいからな。とにかく安全に家事が出来れば良いって言う人が多いんだろう」
『結構、長屋に1個置いてる所も多いらしいですね』
「そりゃ賢いな。金が無くてもみんなで使えば利用出来るだろう」
『みんなの家に1つずつの時代きますかね?』
「すぐ来るさ」
話しながらも、手慣れた様子で電池の補充をする。
『ご主人様。電池は交換してますけど、充電出来ないんですか?』
「出来る。だが、交換の方が効率がいい。あえて金のかかる充電を使ってない」
『なら限定的に、便利なものもあるかもしれませんね。充電の方が』
「絶対あるよ。アルちゃん天才だなぁ」
『褒めても何も出ませんよ』
「こんにちは!」
初めてみる客が、よく通る声で呼びかける。
「こんにちは」
ケイはいつも通りの対応。
「こちらがケイ氏の魔導具店で間違いありませんか?」
「ええ、私が店主のケイです」
「!!!貴方を探しておりました!」
「え?」
『ご主人様何か恨みでも買いました?』
「思い当たる節がありすぎるんだが」
「いえいえ!違います!ケイ氏は天才です!」
「いやあ。そうですけど、俺何かやっちゃいました?」
「私の街にも、ケイ氏の商品が出回り始めまして、私も家にコンロとライトを持ってます!」
「それはありがとうございます」
「あれはとんでもない商品ですよ!絶対大陸中でめちゃくちゃ売れると思ってます!」
「は、はぁ」
流石のケイも勢いに押されている
「そうそう、私フォルトゥーナ商会のフェルです」
「これはこれは御丁寧に」
「これから売れまくると思ってるので、我々に商品を取り扱わせてくれませんか?」
「それは構いませんけど、前払いなら別にいくらでも」
「それが、まとめて払える額は限りがあるんですが、必ず売り切って、また買いに参ります!一度で運べる限界まで商品を先渡しして貰えませんか?」
「いいですよ」
『え?』アル
「え?」フェル
「え?」ケイ
(何で驚いてる?パクられても最悪電池で儲かるんだが?)
「だから構いませんて」
「信用してもらえるんですか?」
「ええ。どうぞ持っていってください。足りればですが」
「ありがとうございます!必ずすべて売り切ってみせます!」
「手形でもらいましょうか。残りの分は」
「半年以内に売り切って、また仕入れに参ります」
「問題ありません。書類をかわしておきましょう」
ケイは慣れた手つきで、書類を取り出し、フェルに確認してもらう
「問題ありませんか?500個も大丈夫ですか?売れます?」
「絶対売れますし、売ります!」
「それでは、半分の250個分を手形で」
「ありがとうございます!」
フェルは確認してハンコを押した。
「こんなスピードで商品をお渡しいただけるとは」
「まだ結構在庫ありましたね。次回までに作っておきます」
「今度はもっと仕入れに来ますよ!」
「また面白い商品でも作ってみますよ」
「楽しみです!また売れまくる商品作っていただけると信じてます!」
「ハハハ。そうだといいですね」
『ご主人様。真面目な話出来たんですね』
「そりゃ商売に関してはな」
「それでは荷物を積み込みますので、確認をお願いいたします」
「あいよ。トト!一緒に確認だ!こっちこい!」
「はい!シャチョー!」
「確認してから、積み込み手伝うんだ!」
「了解です!シャチョー!」
『いつもこんなに真面目ならいいんですけど』
積み込みが終わり、せっかくだから食事を一緒にすることに。
「この先にな。うまい魚料理を食わせる店があるんだよ」
「そうなんですか?港町でないと魚料理食べられないので楽しみです!」
今日もゴライアス食堂へ。
「いやーこんなおいしい料理初めてですよ」
「だろ?ここのおやじ、顔は怖いのに料理はうまいのよ」
『顔は関係ないでしょう』
「ところでフェル、どこまで帰るんだ?明日から」
「バルザムです」
「バルザム?どこだ?遠いのか?」
『ご主人様。バルザムと言えば、大都市ですよ。交易で発展した都市です』
「アルさんよくご存じですね。そのバルザムです。馬車で2週間程度でしょうか?」
「へぇ。200ルーン(1ルーンが1km)くらいだな。そうかそうか」
「流石です。おそらくその程度になるかと」
「いやいや。俺必要な知識以外全く持ってないからな」
『ご主人様は必要な知識も欠けてますよ』
「ははは。確かに」
「今日は本当にありがとうございました。必ず大きな紹介になってみせますよ!」
「おお。期待してるよ」
商売談議に花咲かせるケイ達だった。
そしてフェル達も帰った翌日。
「よーし。今日こそ指輪完成させるぞ!安全装置をつけてなかったのが悪かったんだよ。
いざという時は自動停止するようにすればいいだけ。簡単ね」
『大丈夫なんでしょうね?』
「よゆーよゆー。……よし。完璧。付けてみようか……見ろ!アル!ここを押すことで、速やかにマナが遮断されて……アイテテテテ!安全装置どうなった?!この状況で止まってどうする!指が!アル!ペンチペンチ!」
『馬鹿なんでどれかわかりかねます』
「何言ってんの!天才アル様!ペンチで切ってくださいませ!死んでしまいます!」
『だから、指が取れるくらいで死にませんって』
「タスケテー!」
今日も平和な魔道具屋だった……?




