『野球で世界を救おう!』
「バルトさんどうしましたか?」
「実は、ヴァルカナス騎士団の問題なのです」
「騎士団の?私に何か出来る事が?」
「最近モンスターが強くなってきておりまして、騎士団の集中運用をしております」
「数で押してるわけですか?」
「そうです。普段の倍の人員を1か所に投入している状態です」
「数足りないでしょう?」
「そうなんです。どうやっても、抑えきれない場所が出てきております」
「中央はなんと?」
「そちらも騎士団が出払っており、手伝う事が不可能だと……」
「うーむ。被害が増えてそうですねぇ」
「そうなのです。騎士団不足の地域が軒並み襲われております。このままでは……」
「とはいえ、しがない魔導具職人に何を頼むのです?軍用食とかですか?」
「せめて、何か防衛に便利な魔導具を制作してもらえないでしょうか?騎士団が向かうまでの時間を持たせられれば十分なのです」
「うーん」
ケイは国の問題にかかわるのが嫌いだ。
ケイが解決出来たとしても、それは違うと考えている。
だが、無駄に襲われて人が死ぬのもかわいそうだと思っている。
「よし!野球で救いましょう!」
「え?ヤキューですか?」
「強いボールを作りますので、村人をボール投げが上手になるよう育てます」
「強いボール?」
「はい。ボールが当たれば勝てるようなボールです」
「可能ですか?」
「可能です。ただ、軍で使用しないでください。あくまで村人に渡します」
「なぜでしょう?」
「軍人は人数が限られているので、もし来ることが不可能な時に自分で守れるようにです。まさに今の状態です」
「ふーむ。国は許可するでしょうか?」
「しないなら村人が死ぬだけですよ」
「うううむ」
「初めの数個だけ、国か領主が買って配ってください。まだ必要となれば、村が買います」
「村に料金支払えますか?」
「野球で倒した敵から魔石や素材を取って、売って金にするのです」
「冒険者のようですな」
「そうです。敵がたくさん来るなら、倒せるだけ稼げます。場所ごとに必要な数も違うでしょう」
「確かにそうですな」
「ヴァルカナス領だけでもやってみては?」
「取り敢えずギルバート様に進言してみますので、ケイ殿はボールの準備お願いします」
「了解しました」
商売の話に出来てほっとするケイ。
政治に関わりたくないが、放置しておくわけにもいかない。難しい選択だ。
まずはボールを作らないとな。
♦♦♦
しばらくして……
「ジャキン!ジャキン!」
ボールから周りに針が出たり入ったり続けている
「ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!」
『あのー。ボールからする音ではないと思うのですが』
「攻撃スタイル考えてる。これは【スーパーハリネズミ君】だ」
『確かに聞けばわかりますけど、どうなんです?』
「今の所、村人を串刺しにするだけのボールだな」
『最低なんですけど……』
「どのタイミングでハリネズミになるかを調べてる」
『いいタイミングとは、敵に当たった瞬間ですね?』
「そう。難しいのよ」
『針はだめかもですね』
「そうなぁ。もうちょっと頑張ってみる。せっかくだからな」
『うまくやってくださいよ』
数時間後……
「あはははは!」
『何か面白い要素ありましたか?』
急にケイが笑い出したので、アルが部屋から出てきた
「見てくれ!面白いぞ!」
どこから連れて来たか、モンスターにボールがくっついて、ジャキンジャキンしてる。
『グロくないですか?』
「何か面白くてな。どんどん連れてきて投げつけてる」
『それみて笑ってたら、サイコパスですよ』
「そうかな?いやー久々に笑ったわ」
『……どう表現すれば……』
ボールを投げつけると、近くに来るとひっつく。そしたら、敵方向に針がたくさんジャキンジャキン繰り返す。単純だが強い。
『魔法とかじゃないんですね?』
「魔法をな、誰でも使えるのは、批判が多いのだよ。この国は」
『そうなんですか?』
「そう。俺は魔導具の学園に行ってるから知ってるのよ。魔法使いの面倒さを」
『魔導具師と同じようなもんではないのですか?』
「あいつらは選民思想を持っててな、選ばれてない者が、選ばれしものと同じことが出来るのを許さないやつらなの。だから魔法が簡単に撃てる棒とか売ってないだろ?」
『確かに。妬まれるという事ですか?』
「妬まれるどころか、狙われるよ。命を」
『それはひどい。そんな思想もあるんですね。学びました』
「そういうやつらがいるなかで、モンスターから国を守るのは難しいぞ」
『確かに。流石に、魔法使いも選民思想があるとはいえ、今はモンスター退治に協力してるのでは?』
「してるだろうが、エリートを守るのに必死ではないかな。そういうやつらだ」
『民は?』
「見捨てるだろうな」
『ひどい』
「ひどいね。まぁ」
『まぁって。そういう事ではないのですか?』
「なんて言うか、この世界は基本的に自力救済だからさ。(仕方ない)ですませちゃうのよね」
『この世界は。とは独特な言い回しですね』
「そう。そんな世界なのよ」
「さ。このボールで勝てない敵がいないか確認していこう」
色々な敵を捕獲。動けなくなる魔導具で捕まえて、実験。
村にたくさん出る、LV50程度の敵を楽勝出来る程度の強さに調整。
これでも村が滅びる強さしてるんだから、困ったもんだ
いざという時の為に、バットの先にブースターのついた、ロケットバットも作成
強敵が出てきた場合、近距離でホームランしてやる武器。
最悪の場合のみ使用するもの。目盛りを付けて、最大LV100くらいまでに設定しておく。
「もうこれ以上しらんぞ」
『うまくできてます?』
「こういう時は……トトー!」
「はいシャチョー!」
『また……ケガさせないでくださいよ』
「このロケットバットを振ってみろ!」
「かっちょいいですね!普通のバットと何が違うんですか?」
「振る速度が違う。全部ホームランになるぞ!」
「インチキバットですね!面白そう!」
「試合では使えないぞ。モンスターに使う」
「モンスター打ってホームラン!楽しそうです!」
「よし、素振りしてみろ。目盛りはこうやって……」
「ふむふむ……」
「わかりました!見ててくださいシャチョー!」
「気分のせる為に、ボール投げてやる。思いっきり最大レベルで打ってみろ!」
「はい!絶対ホームランしますよ!」
トトはとても乗り気だ!
ちょっと離れて遠くからケイが投げる
「ピッチャー振りかぶって!投げました!」
「カキーーーーーーーーーーーーン!ゴウンゴウンゴウンゴウンゴウンゴウン!」
速度は加速を続け、竜巻を巻き起こした!
『やっぱり!威力高すぎますよ!』
「おかしいな?ボールなんか打たせたらダメだったか。重たい、レベル100の敵で反作用によって止まる予定だったから」
『ご主人様!トトが!』
「わぁあああああああぁぁぁぁぁ」
竜巻に巻き込まれてる上、まだグルグル回っている為、勢いよく飛んで行った。
「ふむ。バットでもそら飛べるんだなぁ」
『トトを助けないと。どこ行ったんですかトトは』
「さすがに宇宙ってことはない。安心しろ」
『いや、宇宙じゃなくても落ちたら死ぬでしょ』
「確かにな。こんなこともあろうかと、トトには発信機を付けてる」
『どんだけ実験台にするのを前提にしてるんですか。それでどこに?』
「すごいぞ!もう10ルーン(10Km)も飛んで行った!」
『何に対してのすごいですか。早く助けてあげてください』
「そうだった。死ぬ前に急げ急げ」
ケイは黒龍号に飛び乗り、トトを探しに行った
「ぁぁぁぁぁぁぁ……」
「お?気絶したな?それは好都合」
下手に意識があると、暴れたりして危険なのだ
トトの下に来たら、黒龍号から飛び降り、ジャンプ!
「よいしょー。キャッチ成功」
ケイは何があってもノーダメージだから、気にせず着地
「ドーーーーン」
地面が少しへこんだだけ。
「帰るか。トト」
肩にトトを抱えて黒龍号で帰る。
『ご主人様。知らない人が見たら、人さらいですよ』
「ま、大丈夫だろ」
「大体完成だな。あとはバルトさんとの相談だ」
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