『可愛すぎたアルちゃん』
7/6 第1話 一部変更しました。
7/14 最初の会話に2行追加しました
珍しく神妙な面持ちでケイが実験をしている。
「このスライムから取り出した成分を利用した物体。これは反発係数が1超えている。こんな物質が存在するのだな」
『言ってる意味が良く解りませんが、すごいことなんですね?』
「これで作った箱を作成する。その中で物体をバウンドさせると……」
『絶対ロクでもないことになるからやめてください』
「これでトランポリン作ったらおもしろそうだな」
『トランポリンとは、爆発するものですか?』
「いや、上でジャンプして遊ぶものだが」
『意外と普通ですね』
しばらくして……
「よし!完成した。かっこいいトランポリンだぞ!」
『結構大きいですね』
「落ちてきたときケガするといけないからな」
『めずらしく利用者の事考えてる……』
「おーい!トト!こっちにこーい!」
遠くからトトが近づいてくる
「なんですかシャチョー?これは?」
「これはトランポリンといって、上に載って飛び跳ねて遊ぶものだ!」
「え?シャチョーそんな楽しいものを作ることもあるんですね!」
「そうだ。必要な家具だけではなくて、おもちゃも作っていくぞ!」
「すごい!楽しそうです!」
「よし!思う存分ボヨンボヨンするのだ!ケガしないようにこの腕輪も付けておけ」
「はい!ありがとうございます!ではボヨンボヨンします!」
トトが上でジャンプ!
「すごい跳ねますね!すごいすごい!」
1回目、2回目、3回………
「わああああああぁぁぁぁぁ………」
トトは小さくなって、見えなくなった……
「結構遠くまで声って聞こえるもんなんだな」
『なんでそんなに冷静なんです?トトちゃんとここに戻ってきますか?』
「多分な」
「ぁぁぁぁぁぁああああああああ!」
トトがどんどん大きくなってくる。
「ちゃんと戻ってきたな」
「シャチョーおおおおおおぉぉぉぉぉ」
また飛んで行って小さくなっていく……
『止めてあげないんですか?』
「この星の重力超えられるかなって」
『人の心無いんですか?』
ケイは飛んでいくトトを望遠鏡のようなもので眺めている
「だめか……」
『トトの命がかかってますけど。こんな高さから落ちて大丈夫ですか?』
「ちょっと燃えるかもな」
『ちょっとで済むのご主人様だけでしょう……』
トトが無言で落ちてくる
「………………」
『ほら、トト気絶しちゃってますよ』
「怖くなくなってよかったな!」
『早く回収してあげてください!』
回復魔法陣を使う。何でも治せて便利
「すいませんシャチョー!寝ちゃってました!」
「いいんだトト。いいデータが取れたぞ!よくやった!」
「えへへ!」
『トト……』
「よーし。製品化するか!」
『まともな製品にしてくださいよ。死人が出る商品なんか売れないですよ』
デカすぎるので、庭に配置して販売している。
使い道がないので、近所の子供に解放中
『庭が公園みたいになりましたね。安全になってて偉いですよ』
「せっかくの反発係数だったが、流石に普通の数値の物に変えたよ」
『いいんですよ。みんな楽しんでますから』
「まぁそうだな」
ぼーっと子供が遊ぶ姿をみるケイ
『ご主人様。子供好きなんですか?』
「嫌いではないな。ただ子供の頃を思い出していたんだ」
『何か楽しい思い出でも?』
「ああ。お祭りに行って、大きな花火を眺めて、綺麗だなって思った思い出がな」
『普通の思い出ですね。自分の家燃やしたりしてないんですか?』
「それはしたけど」
『したんですか!当たり前みたいに!』
「すぐ燃えて困るよな。家の素材って」
『そういう発想にはならんでしょう』
「よし!花火作るか!」
『えー。絶対良くない事起きますよ』
「大丈夫大丈夫。対策するから」
『街を火の海にしないでくださいよ』
ケイは机に向かって、花火の仕組みを魔導技術で再現しようとしている
「うーむ。どんな花火にしようかな?かわいいアルちゃんの笑顔が空いっぱいに広がったら楽しいだろうな」
『え?私ですか?恥ずかしいんですけど?ご主人様じゃダメなんですか?』
「俺?いくらカッコよくても、空いっぱいに男の顔とか見るに堪えない」
『私は嬉しいんですけど』
「そう?……じゃやってみるか」
『そうしましょう』
しばらくして……
「出来たぞ試作1号 【イケメン花火1号】」
『恥ずかしげもなくイケメンという所がご主人様らしいですね』
「夜になったら打ち上げて、手直ししていこう」
夜になって……
「打ち上げ開始」
「ヒュー………ドーーーーーン!」
どうやったかわからないほどの、たくさんのケイの満面の笑みが埋め尽くす!
『これはすごい!街中にご主人様の笑顔が!』
「すごいだろ!」
『すごいですけど、これみんな見てるんじゃ?この辺だけかと思いました』
「ふふふ。その程度で収まる男じゃないのよ俺は」
『そういう問題ではないでしょう』
「2号と3号もテスト打ち上げだ」
「ヒュー………ドーーーーーン!」
次はケイの全身が映った花火が大量に!
『これはさっきよりマシですね』
「マシとは何だマシとは。かっこいいだろ!」
『はい』
「それは否定しないんだな」
「3号発射!」
「ヒュー………ドーーーーーン!」
こんどは笑顔でほほ笑むアルがいっぱいに!
『私のやつもあったんですね。あんな笑顔になったことないんですけど』
「俺の心のアルちゃんよ」
『そうですか……』
「じゃ普通の花火上げるか」
『え?普通の花火って人の姿してないんですか?』
「してないよ。花みたいなのだよ。ほらあんな感じ」
「ヒュー………ドーーーーーン!」
「ヒュー………ドーーーーーン!」
「ヒュー………ドーーーーーン!」
夜空に大輪を咲かせる
『これが花火………』
「綺麗だろ」
『ならあの人型はなんだったんです?』
「趣味だな」
『恥をさらしただけでは?』
「どうかな?ファンが増えちゃうかもな」
『いい根性してますよ……』
花火のテストをした次の日
「アルさんこれください!」
『はいどうぞ』
「アルさんこっちも!」
『はいどうぞ』
「アルさんの笑顔ください!」
『笑顔は非売品です』
『あのーご主人様。なんだか訳が分からない事になってますけど』
「ファンが増えたなぁ」
『ファンが増えたじゃないですよ!営業が大変になっちゃいましたよ!』
「仕方ないよ。アルが可愛すぎたのが悪い」
『くっ!一概に否定できない!』
「ははははは」
ファンが通う店になってしまったケイ魔導具店。今日も平和です。
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