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アリア 2-22 近接戦


「ドラァッ」


アドラは異形の魔人の背中を槍で突き刺した。


オルティアにおいて里の入り口を守る彼はドウマに次ぐ実力の持ち主であった。

里を守るため、この命の危険のある接近戦に率先して参加していた。



彼は魔人の背中から槍を力一杯引き抜くと、すぐさま距離を取った。


その直後、魔人は4本ある腕をアドラがいた場所に振り回す。


その拳圧によりアドラの髪型がボサボサになってしまう。


目の前で空を切る腕を見たアドラは肺に溜まった空気をゆっくりと吐き出した。


(ふぅ。今のところ問題なく対応できてるけど、こっちが与えたダメージもすぐに修復されちまう。しかも向こうの攻撃は動きは単純だが、一撃でも貰ったら軽く死ぬな。)


そんなことを考えながらも冷静に攻撃を重ねていくアドラ。


他の戦士たちも今の状況に慣れ始めていた。



「ギロロ、ロロ・・・」


そんなとき魔人が突如奇妙な鳴き声を上げ始める。


その響きは先ほどまでの魔法を使う前兆に似ていた。


魔人に攻撃を仕掛けていた戦士たちは警戒して距離を取る。


しかし、


(何も、起きない?)


ドウマやアドラは何も起こらないことを不思議に思いつつも警戒しながら魔人の動きを注視していた。



しかし、比較的歳の若い戦士は魔人の行動を別の意味に受け取っていた。


「こけ脅しかよ。驚かせやがって。どうやらアイツはただ悲鳴を上げてただけみたいだな。」


そんな発言をする青年の名前はイムドといい、アドラの甥っ子であった。

先日20歳になったばかりであったが、同年代の中では突出した実力を持っており、ベテランの戦士とも肩を並べることのできる実力を持っていた。


そして彼はその実力ゆえにこの近接戦闘の参加が認められていた。



「ドウマ様。私に奴と一対一で戦う栄誉をいただけませんでしょうか?」


イムドはドウマのそばに寄ると、あろうことか1人で戦うと言い出した。


「イムドよ。お前は一体何を言っている?」


「・・・」


アドラが甥の発言の意味を確認しようとするが、イムドはドウマに期待を込めた視線を送り続け、アドラの質問を無視する。


そんなイムドに対し、ドウマは一瞥もくれることはなく、


「ならん。今は里全体の危機。貴様の自尊心を満たすためだけに里を危険に晒すことはできん。」


と切り捨てた。


「ドウマ様、奴は所詮鈍間な亀のようなものです。現に我らはこれまで難なくアイツに手傷を負わせてきました。私が負ける道理はありません。」


それでも食い下がるイムド。

そこで初めてドウマはイムドに視線をやる。

しかしその目はとても冷たいものであった。


「貴様のいう手傷はすぐに修復されている。それに奴には強力な魔法がある。どうして我らが優勢だと言える?・・・いや、もういい。貴様は下がっておれ。この状況で足並みを乱す者は必要ない。」


「なっ、なぜですか?!」


イムドは予想外の戦力外通知に驚きの声を上げる。

だがドウマは完全に興味を失くしたのか魔人に視線を戻した。


それに腹を立てるイムド。


「ど、どうやらドウマ様は臆病風に吹かれているご様子。私が行って、その原因を取り除いてご覧にいれましょう。」


そう言うとイムドは魔人に向かって駆け出した。


「待て、馬鹿者っ!」


アドラが呼び止めようと声をかけるが、イムドは止まらない。

むしろ意地になっているのか、さらに加速してしまった。


そしてイムドは魔人の近くまで行くと、立ち止まることなく魔人を中心に円を描くように走り続ける。

背後に回り隙を見つけると、己の武器である短槍を突き入れた。


「ギルルゥッ」


魔人は嫌そうにしつつも、先ほどのように振り払おうとはしなかった。


(いける、いけるぞ。もうコイツには抵抗する力はない。このまま押し切ってあの老いぼれを見返してやる。)


イムドが勝利を確信し、わずかに気が緩んだその時、魔人の腕がイムドの方へと伸ばされた。

イムドは驚き、一瞬反応が遅れるがバックステップで先ほどのように距離をとる。


しかし、


「ぇ?」


確実に腕を避けたはずのイムドは何かに弾き飛ばされるように吹き飛んだ。


「イムドッ!」


魔人とイムドの戦いを見ていた者たちは悲鳴にも似た声を上げる。


吹き飛ばされたイムドは森の方に飛ばされ、太い木に頭から突き刺さる形で止まった。

垂れ下がる彼の手足はピクリとも動かない。


その惨状に誰もが固まってしまう。

人々が静まりかえる中、


「ギリリ、リリリリィ」


魔人の笑うような声だけが響き渡るのであった。



アドラのことを皆さん覚えていますでしょうか?

彼はアリアがオルティアに来て最初に出会った人です。


《以下 2022/06/21追加》


いつも『悪役令嬢は異世界に飛ばされて』をお読みいただきありがとうございます。


現在、作者ネムタイの都合によりいきなり更新が途絶え、長く更新できておりません。

次回更新は2022年6月21日になる予定でしたが、書きたい内容が思いつかず、本格的に休載することにいたしました。


その代わりと言っては何ですが、新作『俺は善い人なんかじゃない』を連載開始しました。

現実世界?やりなおしものです。


頑張って書いておりますので、見てやってください。

お願いします。



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