少年の知らない世界
更新が夜中で申し訳無いです。
「大丈夫ですか?はい、お薬ですよ。」
「ありがとうリベルさん…いてて…」
俺は鼠花を飼育用のカゴに移送した後、再度家の中に入って噛られた親指をリベルさんに治療して貰っていた。
リベルさんが持ってきた軟膏は痛む傷口に染み、痛みを生むこと無く体に浸透していく。
次第に痛みが消えた、どうやら即効性のある薬の様だ…。
「そのお薬は鼠花の頭部の花を煎じて水と混ぜた物なのですよ♪
彼等の花は非常に治癒力の高い薬草にもなるのです。」
「へー…ってかそれって取っても大丈夫なのか?」
「はい!勿論!
一週間程でまた生えますし、彼等の体には影響ありませんよ!」
ただネズミが出て来て繁殖する…って訳じゃなく、しっかりとした用途もあるとはな…
しかもこの花は彼女自身が錬金術で産み出した物だ、偶然作れる存在ではないだろうな。
きっと彼女はこの機能や利便性を取り入れて錬金術で産み出したのだろう。
花自体もけして悪くない、充分綺麗な花だ。
外に生えている他の花も丁寧に世話がされていた…この子は相当花好きで、それも頭脳も飛び抜けている…これが本当の天才か…。
「これだけの利便性…作り出すのに時間が掛かっただろう?凄いなフィオラちゃんは…」
「え?いえ!ただちょっと適当に錬金術用の箱に押し込んだら出来たものですよ!
まさかこんな花になるなんて驚きでしたけど…可愛いから良いですよね!」
…。
ごめん前言撤回、やっぱこの子ただの天然だったわ、深読みが過ぎたぜチクショウ!
あー…でも花が好きなのは本当だし可愛いし…まあいいか…これも個性…うん、そうしておこう。
と、痛みも引いた所で肝心なことを思い出した。
興味をそそる日常離れの現場の連続で振り回されていたが…
そもそも俺…何でここに居るんだっけ…?
考えてみると違和感だらけだ。
そこで彼女に改めて聞いてることにした。
「あー…フィオラちゃん?錬金術の事はある程度分かったし興味も湧いたんだけど…
そもそも俺何でここに居るのかって話をし忘れてると思うんだけど…」
「まあ!そうでしたね!
リュウノスケさんは何を求めてここに来たのですか?」
「いやそれ俺が知りたいんだけど…何のためにここに居るってか、何でここに居るのか…
そもそも幾つか疑問が有るんだけど…今更いいかな?」
彼女は笑顔で頷いた。
どうやら彼女もようやく思い出したようで、何故俺がここに現れたのかを考えた。
まずは状況を整理しよう。
「俺はだな、まず自分の家で親父の荷物を物色…じゃなくて片付けてたんだけど、そこである本を見つけて…えーと確か表紙に宝石が付いてる…」
「表紙に宝石…ですか?」
そこで、ハッとして彼女に先程の事を聞いてみた。
彼女が実験室で棚にしまったあの本だ。
良く考えたら俺があの時手に持ってた本と類似している…。
「あの実験室に置いた本あったよね?
あれちょっと持ってきてくれないか?気になる事があるんだけどさ…」
「あの本…そう言えばあの本も母の部屋から見つけたもので、表紙に宝石が…持ってきますね!」
「ああ、頼むよ。」
そう言うと彼女は直ぐに実験室へと小走りで向かった。
そこで探している最中にもう一つ、リベルさんに対して話したいことがあった。
「リベルさん、あなた達は日本人じゃないんですよね?
だとしたらここは何処の国なのか…それに何故リベルさんやフィオラちゃんは日本語が達者なのか教えてほしいんだけど…。」
良く考えた結果の話だ…いや、良く考えなくても違和感を感じるはずだ。
フィオラの見た目は完全にアニメやゲームのキャラにも匹敵する容姿…まるで妖精でも見ている気分だ。
コスプレにしても完成度が高すぎる。
目や髪の色からしても日本人でないことは確か。
しかし、こうして話せている事が何故可能なのか…それが不思議でたまらなかった。
そんな疑問に対して俺に答えたリベルさんの答えは俺の予想の斜め上だった。
「日本人…と言う種族は知りませんし、この言葉はこの世界が生まれて以来の言葉とされる物で、"ニホンゴ"等と言った名前ではありません。
源の言葉…と呼ばれています。」
「源の言葉…」
聞いたことが無い言葉だ、英語でも仏語でもない…それどころか俺の世界にはない言葉の種類だ。
しかしだとしたら何故日本語と同じ言葉で、同じ意味で使われているのか…
「じゃあ…ここは…何処なんですか?」
日本でもない、外国でもない…だとするとここは…?
「ここは、天空の大陸…"ニーズホッグ"の一画です。
そして私達はそこに済むただの人間でしかありませんよ。」
「天空の…大陸?
ニーズホッグ…?じゃああの山脈も…」
「そうですね…あれも大陸の地脈を支える物。
この大陸の一部、勿論…ちゃんと浮いてますよ?」
そんな馬鹿な…嘘は…言ってないようだしな。
じゃあこのゲームの様な展開も、錬金術も…あの光も…
そうだ!…俺はあの時あの本の言葉を読んで…光に包まれたんだった。
夢じゃないのか?だとしたら…。
言葉も同じ、文化も似通っている…だがその世界の根本は全く違う物…。
「ここは…異世界…なのか?」
「リュウノスケさん!持ってきましたよ!」




