動物にして植物
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俺は彼女に促されるままに、外へと繋がる扉に手を掛けた。
その扉を少し開くと、外からはなにやら自然を身体中に感じる不思議な匂いが漂ってくる…。
そして、そのまま一気に扉を押すと、軋む音と共に大きく開いた扉の向こうには…。
「…すっげぇ…ッ!!!」
思わずそう呟いてしまった。
俺が見た光景は、東京のビル街や観光地の自然など忘れてしまうほどの草原…そして花々。
全ての色が交わりあって、まるで虹色の花のカーペットを敷き詰めている様な、そんな大自然が俺を迎えていた。
空気は済んでいて、ほのかに漂う花の匂いも相まってか、空気に甘さを感じるほどであった。
奥に見えるのは山脈、空、雲…ただそれだけだ。
しかし、それだけで俺が立ち止まるには充分なほど透き通った世界だった。
「此方です!リュウノスケさん!」
左手の方、様々な花に囲まれた人工的な道路の先。
一画だけ柵やビニールハウスの様に囲まれた場所が見えた、きっとそこでさっきのネズミの尻尾が生えた良くわからない種を植えるのだろう。
俺は周りの自然に心を奪われながら、彼女達の元へと歩く。
ここは本当に俺の生きていた世界…なのか?
こんな場所、もしもあったとしたら観光地として紹介されて無いとおかしい筈だが…。
「俺夢でも見てるのだろうか…こんなパーフェクトな自然は見たことが無いぞ…」
「リュウノスケさん早く~!」
「ああ!すまない!」
※※※
比較的大きなビニールハウスと言ったところか、その場所の中は畑の様に土が整備され、所々に白い花が咲いていた。
「では!これを植えますね、えっと、土を…かるーく掘って、この種を植える。
この時尻尾は出しておいて下さいね!中に入れてしまうと育った時にわからないので!」
丁寧にその種の上に土を被せ、フィオラはスカートのベルトポーチの中から一つの小瓶を取り出した。
キュポッと可愛らしい音を立てて栓を抜き、中に入っている透明の液体を振りかけた。
「それも錬金術で作った物か?」
「そうですよ!育成促進液って言うアイテムです!材料が結構多いのですが、今回は使っちゃいますね♪」
振りかけながら彼女は自慢げに答えた。
すると、振りかけた土が何やらモコモコと動き始め、同時にキラキラと光だした。
これがこのアイテムの効力なのか、先程まで尻尾しか出てなかった場所に、ここに入る前に見た白い花が咲き始めた。
綺麗な五つの花びらの白い花。
どうやらこれでもう育ち終わったらしい。
「その育成液とやら凄いな…一瞬で育っちまったぞ。」
「錬金術は何でも作れますので!
さてと…リュウノスケさん、これ…思い切り引き抜いて下さい!」
「えっちょ、育ったばかりだし引き抜くって…」
「大丈夫ですよ!信じてください!」
彼女の勧められるまま、渋々その花をそっと掴む。
すると、外に出てる尻尾がぴょんと反応した。
…うーん何だかやっぱり嫌な予感するぜ…。
「よい…しょっと!!」
ズポッ!と俺は思い切り力を込めてその花を引き抜いた。
と、俺は引き抜いた花を見ると…何やら引き抜いた根の部分に付いている…。
そして俺は、その"花に付いている物"とは程遠い物を見て驚愕した。
「チュウ~っ!」
「ふがぁ!?なんじゃこりゃ!?」
ディスイズマウス!?
何と、花の根に付いてたのは生きているネズミ…そうか、尻尾ってそう言う…じゃなくて何だこれは!?
ネズミが生える花とか意味わからんぞ!
「ふぃ、フィオラちゃん!?何これ!?ネズミ出てきたんだけど!?」
「そうですよー、それは鼠花と言って、ネズミさんが出てくるんです!可愛いですよね!」
鼠だけに、チュー花ってか?
HAHAHAHAHA!
やかましいわ!駄洒落かよ!
「可愛い…いやまあ確かに可愛いけどさ、動物が植物見たいに生えてくるってどういう原理だよ…お兄さん頭痛くなってきたよ!」
訳が分からないがこれが今現実に起きている真実であることに変わりはないので、その内考えるのを止めた。
しかし…確かに良く見ると可愛いな。
昔ハムスターとか飼ってたし。
そこで、フィオラはリベルさんに頼んでカゴを持ってきてくれた。
飼育をするらしいのだが、気になるので聞いてみた。
「なあなあ、こいつって一応花…何だよな?
種とか、花粉とか、そう言うところってどうなってんのさ?」
見た目は完全にネズミそのもの。
しかし、成長過程は種子からの成長と常識が通じない。
そんな中での素朴な疑問に、彼女は丁寧に答えてくれた。
「そうですね、鼠花は育てるまでは植物と同じなのですけど、それからは一種の動物と同じで、鼠花同士で花粉を交換して、それによって受粉した方が種子を産む…と、こんな感じでしょうか?」
動物でありながら、その生命の受け継ぎは花そのもの…か。
「生殖行為は受粉で、産むのは種子…か。
やっぱり花何だな…こいつ。」
不思議なことだ、動物にして植物……正に万能の存在だ。
それにこんな女の子がそれを作ったんだからな…驚きだぜ。
俺は彼女のこの想像力の賜物を指で撫でながらそう考えていたのだった。
「生きてりゃ不思議な事に出会うもんだな…全く。」
「あっ、言い忘れましたけども…
背中を撫でると噛まれますよ♪」
「ガジガジガジ!!」
「イデデデ!!早く言ってよフィオラちゃん!!
てか親指ばっかり執拗に噛むんじゃねぇ!
やめ!おま…あががが!!」




