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偶然は続かない

ご閲覧ありがとうございます!

 今回短めです…申し訳ない…。

 錬成を開始したレン達は、最初こそ順調に見えたものの…次第にイメージ力の違いから異常が見え…それは緊急事態へと変わっていった。


 彼等のかざした手の先には、先程までの綺麗な青白い輝き等何処にもなく、赤黒いとても不気味な色を放っていた。


「おいレン!まずいだろこれ!」


「ふ、フィオラさん!リュウノスケさん!これは一体…!?」


 困惑する彼等は、その現象を目の当たりにしながらも、その場から動けないでいた。

 身体を突き抜ける恐怖と不安を、その真っ赤な光が更に煽っていく。


 流石にまずいと感じた俺とフィオラは、意を決して彼等にイメージと力を注ぐのを中止するように言った。


「取り敢えず力を一旦遮断するんだ!失敗でもいい!このままだと身の危険があるかもしれない!」


「分かりました!」


 俺のその言葉にレンが反応すると、レンの返事を機に彼等は錬金箱に注ぐ力の遮断を試みた…のだが…。


 必死に手を下ろそうとすると、何か強力な力で引っ張られ…自然に魔力を奪われていくと答えた。


「だ、ダメだ!直接…何か吸われてる見たいに…!」


「な、何だか私クラクラしてきましたよ…。」


「クウォーラ!しっかりしろ!」


 ジャックが叫ぶと、クウォーラは頭を横に大きく振り、何とか意識を保っている様だ。


 何とか全員その状態で持ちこたえていたのだが、すると、今度は箱の中から強烈な風が巻き起こった。


 その風は部屋中の道具や色んな物を吹き飛ばしてしまう程の突風…棚や何かもぐらつき始めていた。

 この状況…やはり東の湖での箱の暴走と一緒だ…具現化へのイメージ不足と記録(レシピ)情報が一致しない事で起こったあの一件…。


 恐らくレンとジャックはしっかりとイメージの共通化が出来ていたのだろう、それは凄いことなのだが…今回問題だったのは四人だったと言うことだ。


 カインとクウォーラがそのイメージに追い付けていなかった…それが暴走の原因で間違いないだろう。


 もしも、このまま暴走していたら…彼等はもしかしたらあの時のフィオラよりも酷い状態になってしまうのではないかと不安が巡る。


「リュウノスケさん!考えている暇はありません!何か…何か方法を直ぐに見つけないと!」


 フィオラが焦りを見せ始めると、それにつられて彼等も不安に駆られていく。

 すると、更に彼等の情緒は不安定となり…更に箱は強烈な赤い光を放ち始める。


 暴発寸前…非常事態だ。


 あの時、フィオラの錬金術が暴走した時…解決した方法…。

 ゆっくり考える時間はない…そう思った俺は、ふとフィオラの胸元を見た。


 何故か、(かす)かに彼女のペンダントが光を放っている…箱から出る光りに反応しているようにも見えた。


 それを見た瞬間、はっ!と何か衝動に駆られるように彼女に頭の中に思い付いた言葉を取り敢えず吐き出した。


「フィオラ!!そのペンダントをレンに渡してやってくれ!」


「えっ!?こ、これをですか!?」


「分からん!思い付いただけだが、一か八かだ!!」


「な、何だか良くわかりませんが…待ってください!」


 彼女はそう言うと、急いでペンダントを外し…吹き荒れる風に気を付けながらレンの元へ。


 レンも驚いて居たが、今は彼女の言葉を聞いてあげる暇もないと感じ、半ば無理矢理にペンダントを首に掛けた。


「えっ!?えっ…ええっ!?」


「リュウノスケさん!これ…これって!」


 フィオラがレンの首にペンダントを掛けた途端…それは大きな青い光を放ち、みるみるその光は大きくなっていく。


 半分以上行き当たりばったりな考えで言ってみたが…どうやら俺の窮地(きゅうち)の勘は当たっていたみたいだ。


「やっぱり…ペンダントが反応しているのか…。

 フィオラが錬金術をするとき、絶対そのペンダントが光ってた…あの時だってそうだ。


 もうこれは…レンを中心に"共鳴"させて見るしかないんじゃないか?」


「"共鳴"…?」


「さっき言っただろ、俺とフィオラは湖で"共鳴"したって…つまり、お前ら四人で記憶とイメージを完全共通化させるんだ。


 この暴走はイメージの違いから生じる何らかの異常…それをこの箱が感じ取って引き起こしてる事態の筈だ。


 だとしたら、お前らが完全にイメージを統一することが…"共鳴"が出来れば…暴走は収まる筈だ!」


「でも!そんなの…出来るんですか!?」


「分からん!だけど、レンの首に掛けても『賢者の花』が反応してるのは確かだ…それなら"賢者の業技(みわざ)"を使えるのは個人限定と言う話じゃないって事だ。」


「リュウノスケさんの言う通り…それにあの巨鳥さんも、身につける人間の事は言ってませんでした!

 もしかしたら…可能かも知れません!」


「賢者の…花?」


 レンは次々に飛び出す意味不明のワードに翻弄されながらも、竜之介達の言うことを信じざるを得なかった。


 そして竜之介の指示を受け、彼等はかざし続けている手を四人でお互いに近付ける。


 あの時…"共鳴"のトリガーは二つ。

 『お互いの身体を触れさせる事』…そして『全く同じ事を考えている、もしくは同じと思える目標ややり遂げたい思いを浮かべること』だった筈だ。


 彼等は今、錬金術の成功…そして暴走の静止、更にその錬成のイメージと多々に及ぶ共通的な思いがある筈だ。

 それを使い、フィオラのペンダント…『賢者の花』の力が加わり、最後に全員で身体を触れさせれば、恐らく…発動する筈だ。


「いいか!せーので同時に触るんだ!

 それに余分な事は考えるな、ただ一つ…お前達が成功させたい思いだけを浮かべるんだ、分かったな?」


 俺の言葉に、彼等はこくんと頷いた。


 そしてお互いの手が触れあおうとする寸前まで手を伸ばす…運命の時は来た。


 これが成功しなかったら…もう俺には考え付く物はない。

 残念だが…最悪の状況に陥ってしまうだろう。


 だけど、俺は諦めなかった。

 俺は勘や偶然…賭けと言うものに絶対の信頼を置いている。


 だから今回も…きっと大丈夫だ。


 俺は生唾を飲み込み…そしてその時を迎える。




「いいか…いくぞ!いっ…せー………のっ!!」



「「はいっ!!」」



 そして、俺の掛け声と共に彼等は同時に四つの手を重ねた。

 お互いの手が勢い良く触れあう。少々パチンと音がし…彼等の手は完全に重なったのだった。


 少しの沈黙…それが答えまでの僅かな時間…。

ペンダントに変化があれば…それさえ見られれば…!


 そう思い、希望を抱いてレンの方を見た竜之介は…言葉を失った。





……レンの胸のペンダントの光は…先程の光と同じ物でしかなかった。



「そ………そんなバカな……失敗………?」


「れ、レンさん!何か変わったことは!?」


「特に……ありません。」


「俺もだ…カインは…?」


「ああ…俺も…クウォーラも…だよな?」


「ええ……じゃあ私達……。」




 絶対の信頼を置いている…そう言った筈だ。


 しかし……目の前の現実は、実に残酷で、所詮偶然は偶然なのだと言う非常な(ことわり)を、異質な赤い光で表されていた。

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