緊急事態
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赤い光って何だか不安を煽るようなイメージありますよね、怖い怖い…まあそれがなんぞって話なんですけどね(殴)
「準備は出来ましたか?」
「はい!フィオラさん!
わたしも他の三人も準備は万端です!」
「おう!完成させてやるぜ!」
「不安だなぁー…ジャック本当に大丈夫なのか?」
「おいおいカイン…そう言うこと言うなよな…俺も実は不安だったりするんだからさ…。」
「あんた達もっとしっかりしなさいよ…。」
フィオラが彼等に錬成のイメージが付いたか聞くと、レンは大分自信があるように見えたが…どうやら他の三人はまだ不安がっていた。
だが、それも茶番みたいな物だ。
直ぐに彼等は真剣な表情で、再度yesの返答をした。
フィオラはそれを確認すると、俺の方を見て合図をする。最後に俺から注意事項を話すことになっていたからな。
俺は彼等の前に立ち、錬成を行う手順と、その際に注意することを説明した。
先ずは錬成開始時の『光の多さ』。
これは数々とフィオラの錬金術を見てきたことから言えるが、『色の多さ』に加え、『光の多さ』も錬金術の難易度に比例していると考えた。
実際に数日前、青色の光だけで作られる錬成物を幾つか彼女の記録冊子から漁り、彼女に手伝ってもらって光の多さを計測した。
すると単色でも、光の量が違う場合があるのだ。同じものでもな。
多ければ多いほど、時間や錬成完遂までの魔力消費何かが大幅に違いが出たのだ。
精密な機械や道具を使わないで見ただけで、ある程度分かる様には成った。
中難易度か高難易度かは、本当に錬成を開始しなければ分からないみたいだから、その部分は俺がその時に忠告することにした。
それとあと一つ…今回彼等には"全員"一緒に錬金術を行使して貰うことにした。
理由としては少し不適当かもしれないが…錬金術を複数人で行うことが可能か、あるいは不可能かを調べておきたかったからだ。
因みに過去に錬金術師が複数人で錬成をしたと言う記録は残っていないとフィオラは言っていた…つまり成功すれば、錬金術の歴史にまた一つ新しいページが増えることになるのだ。
これは彼女の意思であり、ある意味彼等の意思でもある。
一人一人ではやはり力が足りないと感じているらしく…先程彼等からその実験の有無を確認された。
一応最初に試しては見るが…俺やフィオラが観察中に異常を見つけた場合は、即刻中止と言う事だ。怪我や事故に繋がると怖いからな。
俺は、以下の事を全て彼等に説明し終わると…フィオラの使っている羽ペンを拝借し、観察記録に移る。
彼等もお互いに頷き合った後…四人がそれぞれ錬金箱を囲むように立ったのだった。
「良いですか?皆さんしっかりと共通し合ったイメージを鮮明に浮かべながら魔力を注いでください。
きっとあなた達なら…出来ると思います。」
「「はい!!」」
フィオラの最後の言葉掛けが終わると、キレのいい返事を返した彼等は、素材をそれぞれ投入すると…箱に手をかざした。
そして目を瞑り…集中を始めると…箱が青白い神秘的な光を、その側面のラインに沿って放ち始めた。
こうして、初めて複数人で行う錬金術は…その輝きと共に始まったのであった。
※※※
「ふんふふーん♪フィオラとリュウノスケ居るかなぁ~♪」
一方その頃、フィオラの家の前では一人の少女が機嫌良く鼻唄を歌いながら軽快に歩いていた。
少女はその家のベルを鳴らすと…扉が開き、女性が出てくる。
「あら…ミッシェルさん、こんにちは。」
「リベルさん!こんにちは!リュウノスケ達居るー?」
「ええ、ですが…今お客様が居らしてて、実験室に籠りっぱなしですが…。」
「えー?そうなの?
仕方ないなー…少しお邪魔してもいいですか?」
「ええ、構いませんよ。お茶を用意しますね。」
「えへへー♪ありがとうリベルさん!」
活発な少女…ミッシェルは対応に出たリベルさんにつられ、フィオラ宅のリビングで待つことになった。
出されたお茶と菓子を美味しそうに頬張る彼女にリベルさんが聞くと、どうやら土産を持ってきたとのことだった。
「今日はどうなされたんですか?」
「うーん?えっとね…確かここに…あった!
これこれ!じゃじゃーん!何だと思います?」
ミッシェルが元気良く取り出したのは、どこかで見覚えのあるような中くらいの大きさの箱…黒々としたその見た目には、小さく青く光るラインが浮かび上がっていた。
それを見たリベルさんは驚いて声をあげてしまった。
「こ、これは!」
「あっ、そうだった!リベルさんはそのモノクルで何でも見えちゃうんだったっけ…そう!これはね…。」
と、彼女が改めて説明をしようとした時だった。
突然隣の実験室から、大きな青い光が溢れだしてきたのだ。
その輝きに思わず喋るのを忘れ、眩しさに目をかばうミッシェルは驚いていた。
何事!?と言わんばかりに目を丸くして居た彼女は、リベルさんと目を合わせると…二人して気になったのか、実験室の扉をこっそり開き…中を覗き見たのであった。
「えっ?あの人達だれ?しかも錬金術やってる!…あれ?二人とも何で見てるの?」
「あっ、ミッシェルさんには言ってませんでしたが…あの方々は"錬金術協会"の方々で、実際にお嬢様が錬金術を体験させようとしている見たいですよ…少々不安な所はありますが…。」
「へぇ…ってあれ?四人で錬金術するの?
……これはもしかして…貴重な映像ってやつかな?」
二人ともすっかり話を忘れ…こっそりその"映像"を目に焼き付けまいと見ていた。
そうとは知らず…彼等は竜之介とフィオラの観察の元…錬金術を開始していたのであった。
※※※
更に数分後、彼等は順調に錬成を進めていた時、観察を続けていた竜之介が異変に気付き、フィオラに報告する。
それは錬金箱の光の量の事だ…まだ僅かではあるが、変化が見られた。
「フィオラ、見てくれ…ジャックの周辺だけ光の量が多くなってないか?」
「えっ?…あっ、本当ですね…どう言うことでしょうか?」
良く見ると、ジャックの周辺だけ光量が多く発生しているのが分かった。
何故そうなっているのか分からないが…それはどんどん増え、次第に他の彼等にも変化が見られてきた。
四人と言う環境で、出だしは順調に思えたのだが…光にムラが出始めたのだ。
ジャック、レンは多く…カイン、クウォーラの辺りは光が少ない。
光の多い二人は特に異常は見当たらないが…問題は光の少ないカインとクウォーラだった。
その二人を見ると、発汗や瞬きの多さが目立ってきた…気になった俺は彼等に声を掛けた。
「カイン、クウォーラ。
大丈夫か?少々疲れが見えるが…。」
「だ、大丈夫ですこれぐらい…もっとイメージをしっかり持たなきゃ…。」
「私も大丈夫ですわ…こんなのどうって事はありません…。」
そうは言っているが、そんな内にもどんどん光に差が付いていく。
すると、あまりにも異常だと感じた俺が一旦止めに入ろうとしたところで……問題は起きた。
急に箱の側面から光を放っているラインの一部が点滅を始めたのだ。
これは…東の湖の時と同じ…そう思った矢先に更に問題が起こる。
「フィオラ!カインとクウォーラの二面だけラインが赤くなってないか!?」
「あ、あれは…!」
俺が叫んだ通り、光の少なかった二人の…箱の二面のラインだけが赤く光を放ち始めたのだ。
これはフィオラが湖でイメージ力不足の際に現れた現象と酷似していた…。
そうか…光の量は全体的で見れば難易度指数にもなるが、それが複数人で行い、それぞれの力の調和の指数にもなっていたんだ。
つまりカインとクウォーラはイメージ力不足…一方レンとジャックはイメージ力が保たれている。
それが拒絶反応をその面で表していると言うことなのかもしれない。
どちらにせよ、これは非常に危険だ。
俺は急いで彼等に忠告した。
「お前ら!一旦錬成を中止するんだ!
少しまずいことになった!急いで停止を…」
そう言ったが、時既に遅し…今度は平常を保っていたレンとジャックの方まで赤いラインを示し始めた。
辛うじて保っていた力の均衡が崩れたのかもしれない。
全面が赤く光始めた箱は…次第にガタガタと震え始め、不可解な音まで出し始めた。
想像していなかった最悪のケース…やはり初めての複数人錬成を素人にやらせるのはリスクが大きすぎたのかも知れないと感じていた。
異変に気付いたレン達は、その不気味な光を前に、焦りと不安に駈られてしまっていたのだった。
「な、何だこれ!?レン!これヤバイんじゃないのか!?」
「落ち着いてジャック!わたしも何が何だか…。」
「カイン!あんたの所も更に赤くなってないかい!?」
「クウォーラの所ももっと赤くなってるぞ!あわわわわわ!!」
「クソ…これは止めたら止めたでまずいんじゃないか…!?
フィオラ!どうする!?」
「イメージ不足が原因だとしたら……再び彼等のイメージを合わせるしか……。」
俺達はどうすることも出来ず、ひたすら考えを練っては居るが…それがいつまで持つかも分からない。
急に起きた緊急事態に、焦りを隠せずには居られないのであった。
「り、りりリベルさん!これヤバくない!?あわわわわわ!!」
「ミッシェルさん落ち着いて…きっと二人なら…お嬢様達ならきっと…!」




